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28 「しゃいあくなおとこでしゅ」
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ベラと新しい愛人である子爵令嬢のミュウミュウはレイシール様の部屋の前で取っ組みあって喧嘩をしているのだとデルトロさんが教えてくれた。
レイシール様の部屋とダニエル殿下の部屋は隣同士である。
でも、ダニエル殿下が自分の部屋に外からの騒音を少なくする防音魔法をかけていたため、二人の叫び声が聞こえてきていなかっただけだった。
「防音魔法も良し悪しだな」
ダニエル殿下が私を抱き上げて言った。
「しゅうちゅーしたいときは、よいかもしれましぇん」
「そうだな」
ダニエル殿下が片手で部屋の扉を開けると、二人の怒鳴り合う声が耳に飛び込んできた。
「何で新しい愛人なんかが来るのよ! とっとと家に帰りなさいよ!」
「嫌よ! あなたが帰ったらいいじゃないの! あなたは愛人試験を受けていないんでしょう!? 私は愛人試験に合格したのよ!」
「ふざけないでよ! 何よ、愛人試験って! それに、あなた補欠合格でしょう!? 偉そうにしないでよ!」
「補欠合格でも合格は合格よ! 偉そうにしたって良いでしょう!」
それは間違っていないと思う。
補欠合格さえできなかった人だっているでしょうから。
ただ、愛人の試験に合格したと言われても、心からすごいとは思えないわ。
「私は愛人の試験を受けなくても愛人になれたんだから、特別な存在なのよ!」
ベラはメイド服姿でミュウミュウの髪を掴み、馬乗りの状態で叫んだ。
令嬢がこんな喧嘩をするだなんて信じられないわ。
呆れ返ってしまい、ものも言えずにいると、ダニエル殿下が話しかけてくる。
「兄上は自室にいるはずだ。責任を持って彼女たちをどうにかしてもらおう」
「どうにかできるのでしょーか?」
「わからないが、彼女たちは兄上が好きなんだろ? それなら、ここまで酷い姿をさらすこともないだろう」
ダニエル殿下が冷めた目でベラとミュウミュウを見つめた。
「わたちから、おせっきょうしてみましょーか?」
「何を言うつもりだ?」
「たいしたことをいうつもりはありましぇん」
あんな興奮状態の二人だと、ダニエル殿下に守られていないと、ロアリン様の時のように投げられてしまう恐れがある。
だから、ダニエル殿下にしがみついた状態で、二人に向かって叫ぶ。
「やめなしゃい!」
「うるさいわね!」
ベラとミュウミュウは恐ろしい形相で私のほうを振り返って声を揃えた。
やっぱり、変な人の愛人になりたいと思う二人だから、気が合うところもあるのね?
なんて、呑気なことを考えてから言う。
「おとななのに、みっともないでしゅし、はしたないでしゅ! ダニエルでんかにみられてしまったじてんで、はじゅかしいとおもわないといけないのでしゅ!」
「そ、それはっ……」
子供に言われてやっと、大人げないと感じたらしく、ベラがミュウミュウの髪を放すと、ミュウミュウも掴んでいたベラの腕を放した。
「はなちあいでかいけつできりゅものは、はたちあいでかいけつしましょう! ぼうりょうはよくないでしゅ!」
「シャーロットの言うとおりだ。しかも、王太子の部屋の前で何をしているんだ」
ダニエル殿下が叱責しはじめた時、レイシール様の部屋の扉が開いた。
「一体、なんの騒ぎなんだ!」
叫んだレイシール様の隣には、愛人らしき女性がぴたりとくっついていた。
「しゃいあくなおとこでしゅ」
「そうだな」
呟くと、ダニエル殿下も頷いた。
レイシール様の部屋とダニエル殿下の部屋は隣同士である。
でも、ダニエル殿下が自分の部屋に外からの騒音を少なくする防音魔法をかけていたため、二人の叫び声が聞こえてきていなかっただけだった。
「防音魔法も良し悪しだな」
ダニエル殿下が私を抱き上げて言った。
「しゅうちゅーしたいときは、よいかもしれましぇん」
「そうだな」
ダニエル殿下が片手で部屋の扉を開けると、二人の怒鳴り合う声が耳に飛び込んできた。
「何で新しい愛人なんかが来るのよ! とっとと家に帰りなさいよ!」
「嫌よ! あなたが帰ったらいいじゃないの! あなたは愛人試験を受けていないんでしょう!? 私は愛人試験に合格したのよ!」
「ふざけないでよ! 何よ、愛人試験って! それに、あなた補欠合格でしょう!? 偉そうにしないでよ!」
「補欠合格でも合格は合格よ! 偉そうにしたって良いでしょう!」
それは間違っていないと思う。
補欠合格さえできなかった人だっているでしょうから。
ただ、愛人の試験に合格したと言われても、心からすごいとは思えないわ。
「私は愛人の試験を受けなくても愛人になれたんだから、特別な存在なのよ!」
ベラはメイド服姿でミュウミュウの髪を掴み、馬乗りの状態で叫んだ。
令嬢がこんな喧嘩をするだなんて信じられないわ。
呆れ返ってしまい、ものも言えずにいると、ダニエル殿下が話しかけてくる。
「兄上は自室にいるはずだ。責任を持って彼女たちをどうにかしてもらおう」
「どうにかできるのでしょーか?」
「わからないが、彼女たちは兄上が好きなんだろ? それなら、ここまで酷い姿をさらすこともないだろう」
ダニエル殿下が冷めた目でベラとミュウミュウを見つめた。
「わたちから、おせっきょうしてみましょーか?」
「何を言うつもりだ?」
「たいしたことをいうつもりはありましぇん」
あんな興奮状態の二人だと、ダニエル殿下に守られていないと、ロアリン様の時のように投げられてしまう恐れがある。
だから、ダニエル殿下にしがみついた状態で、二人に向かって叫ぶ。
「やめなしゃい!」
「うるさいわね!」
ベラとミュウミュウは恐ろしい形相で私のほうを振り返って声を揃えた。
やっぱり、変な人の愛人になりたいと思う二人だから、気が合うところもあるのね?
なんて、呑気なことを考えてから言う。
「おとななのに、みっともないでしゅし、はしたないでしゅ! ダニエルでんかにみられてしまったじてんで、はじゅかしいとおもわないといけないのでしゅ!」
「そ、それはっ……」
子供に言われてやっと、大人げないと感じたらしく、ベラがミュウミュウの髪を放すと、ミュウミュウも掴んでいたベラの腕を放した。
「はなちあいでかいけつできりゅものは、はたちあいでかいけつしましょう! ぼうりょうはよくないでしゅ!」
「シャーロットの言うとおりだ。しかも、王太子の部屋の前で何をしているんだ」
ダニエル殿下が叱責しはじめた時、レイシール様の部屋の扉が開いた。
「一体、なんの騒ぎなんだ!」
叫んだレイシール様の隣には、愛人らしき女性がぴたりとくっついていた。
「しゃいあくなおとこでしゅ」
「そうだな」
呟くと、ダニエル殿下も頷いた。
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