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12 「このおへや、なあに?」
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ピンク色のドレスを着た私は、ダニエル殿下に抱きかかえられて、ロアリン様の元に向かった。
普段の彼女は王城内の自室で本を読んだり、お茶をしたりと、仕事をするわけでもなく、好き勝手に暮らしているらしい。
全てデルトロさん情報だから間違いはない。
人のプライベートを勝手に覗いているわけだけど、こっちも命がかかっているのだから許してもらいたい。
というか、ロアリン様には許してもらわなくても良い。
喧嘩を売ってきたのは向こうなんだもの。
ダニエル殿下が扉をノックすると、まずは侍女が顔を出した。
侍女はダニエル殿下を見て焦った顔で尋ねる。
「ダニエル殿下、ロアリン様に何か御用でしょうか」
「婚約者の様子を見に来るのはおかしいことではないと思うんだけど」
「少々、お待ち下さい」
侍女は反論することはせずに、扉を閉めて、ロアリン様に確認しにいく。
かといって、ダニエル殿下を追い返すわけにはいかなかったみたいで、すぐに扉を開けてくれた。
中に通されると、窓際の安楽椅子に座ったロアリン様が尋ねる。
「ダニエル殿下、どうされましたか? 今まで、私の部屋に来てくださることなんてありませんでしたのに」
「済まない。以前にあなたが子供の相手をするのが好きだと言っていたのを思い出して連れてきたんだ」
「……こちらはどなたのお子様で?」
ロアリン様は笑顔になったけれど、私の瞳を見て、あからさまに嫌そうな顔に変わった。
「エアリー嬢の親戚の子供だよ。最近、彼女は毒殺されそうになっただろう? 心配した親戚が様子を見に来たんだよ」
ダニエル殿下は私をカーペットの上におろして紹介してくれた。
「……そうでしたか」
ロアリン様は不満げな顔をしたまま、私に話しかけてくる。
「お名前は?」
「……ちらないひとと、はなしちゃだめなの!」
私はそう叫ぶと、ロアリン様の部屋の中を走り回る。
足が短いし、そう早くは走れない。
でも、部屋の中を把握することはできた。
ぱっと見た限りでは、エディールさんが捕まっている、鳥かごは見当たらない。
どこかに隠しているとしたら、ウォークインクローゼットの中かしら?
「ちょっとあなた、大人しくしなさいよ!」
ロアリン様が焦った顔をして、私を捕まえようとする。
すると、それをダニエル殿下が止めた。
「子供なんだから許してあげてくれ。あ、物に触ったりしてはいけないよ?」
後の言葉は私に向けられたものだとわかり「はーい!」と元気に返事をした。
「殿下! 子供だからといって何でも許してはいけませんわ!」
「ロアリン嬢、少し話をしたいんだがいいかな?」
「か、かまいませんけれど、あの子供が……」
ロアリン様の視線はやはり、部屋の奥にあるウォークインクローゼットに注がれていた。
「わー! このおへや、なあに?」
私は無邪気にウォークインクローゼットに近づいていき、背伸びをして取っ手を掴んだ。
「やめなさい! そこは開けてはいけません!」
ロアリン様はすごい剣幕で近寄ってきたかと思うと、私の体を持ち上げて、後ろに放り投げた。
「何をしてるんだ!」
投げられた私の体はコロコロとカーペットの上を転がり、ダニエル殿下に抱き上げられて止まった。
「大丈夫か?」
ダニエル殿下が心配そうに尋ねてくる。
「だいじょーぶです」
正直に言うと、体が痛い。
ここは我慢しないと……って、そうでもないわね。
子供は泣くんじゃないかしら。
「うっ、えっ! うわあああん!」
突然、私が大声で嘘泣きを始めると、ロアリン様は忌々しげに私を睨みつけてきた。
普段の彼女は王城内の自室で本を読んだり、お茶をしたりと、仕事をするわけでもなく、好き勝手に暮らしているらしい。
全てデルトロさん情報だから間違いはない。
人のプライベートを勝手に覗いているわけだけど、こっちも命がかかっているのだから許してもらいたい。
というか、ロアリン様には許してもらわなくても良い。
喧嘩を売ってきたのは向こうなんだもの。
ダニエル殿下が扉をノックすると、まずは侍女が顔を出した。
侍女はダニエル殿下を見て焦った顔で尋ねる。
「ダニエル殿下、ロアリン様に何か御用でしょうか」
「婚約者の様子を見に来るのはおかしいことではないと思うんだけど」
「少々、お待ち下さい」
侍女は反論することはせずに、扉を閉めて、ロアリン様に確認しにいく。
かといって、ダニエル殿下を追い返すわけにはいかなかったみたいで、すぐに扉を開けてくれた。
中に通されると、窓際の安楽椅子に座ったロアリン様が尋ねる。
「ダニエル殿下、どうされましたか? 今まで、私の部屋に来てくださることなんてありませんでしたのに」
「済まない。以前にあなたが子供の相手をするのが好きだと言っていたのを思い出して連れてきたんだ」
「……こちらはどなたのお子様で?」
ロアリン様は笑顔になったけれど、私の瞳を見て、あからさまに嫌そうな顔に変わった。
「エアリー嬢の親戚の子供だよ。最近、彼女は毒殺されそうになっただろう? 心配した親戚が様子を見に来たんだよ」
ダニエル殿下は私をカーペットの上におろして紹介してくれた。
「……そうでしたか」
ロアリン様は不満げな顔をしたまま、私に話しかけてくる。
「お名前は?」
「……ちらないひとと、はなしちゃだめなの!」
私はそう叫ぶと、ロアリン様の部屋の中を走り回る。
足が短いし、そう早くは走れない。
でも、部屋の中を把握することはできた。
ぱっと見た限りでは、エディールさんが捕まっている、鳥かごは見当たらない。
どこかに隠しているとしたら、ウォークインクローゼットの中かしら?
「ちょっとあなた、大人しくしなさいよ!」
ロアリン様が焦った顔をして、私を捕まえようとする。
すると、それをダニエル殿下が止めた。
「子供なんだから許してあげてくれ。あ、物に触ったりしてはいけないよ?」
後の言葉は私に向けられたものだとわかり「はーい!」と元気に返事をした。
「殿下! 子供だからといって何でも許してはいけませんわ!」
「ロアリン嬢、少し話をしたいんだがいいかな?」
「か、かまいませんけれど、あの子供が……」
ロアリン様の視線はやはり、部屋の奥にあるウォークインクローゼットに注がれていた。
「わー! このおへや、なあに?」
私は無邪気にウォークインクローゼットに近づいていき、背伸びをして取っ手を掴んだ。
「やめなさい! そこは開けてはいけません!」
ロアリン様はすごい剣幕で近寄ってきたかと思うと、私の体を持ち上げて、後ろに放り投げた。
「何をしてるんだ!」
投げられた私の体はコロコロとカーペットの上を転がり、ダニエル殿下に抱き上げられて止まった。
「大丈夫か?」
ダニエル殿下が心配そうに尋ねてくる。
「だいじょーぶです」
正直に言うと、体が痛い。
ここは我慢しないと……って、そうでもないわね。
子供は泣くんじゃないかしら。
「うっ、えっ! うわあああん!」
突然、私が大声で嘘泣きを始めると、ロアリン様は忌々しげに私を睨みつけてきた。
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