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6−4 ロードウェル伯爵家 3(オルザベート視点)
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馬の脱走事件の次の日の朝、結局、馬はすぐに戻ってきたものの、3頭が3頭ともロンバートの気配を感じただけで興奮するようになってしまい、彼は、馬に乗る事も家の馬車で移動する事もできなくなった。
「くそ! どうしてこんな事になるんだ!?」
徒歩で職場に通いたくないロンバートは、辻馬車が停まっている場所に行くのも面倒な様で、昼前だというのに仕事にはいかず、オルザベートを抱きしめながら、寝巻き姿で寝室のベッドの上に寝転んでいた。
「ロンバート、落ち着いて? たまたま、不幸が重なっただけよ。これから良いことがあるわ」
「僕の味方は君と母上だけだよ。優しかった父上は僕を見捨てて逃げてしまったし」
すりすりと自分に頬ずりしてくるロンバートに、一瞬、冷たい視線を投げたオルザベートだったが、目を閉じている彼にはそれが見えなかった。
「…でも、エアリスがいなくなってからおかしくなったのよね?」
「そうだ! あいつが疫病神なんだ!」
「違うわ、ロンバート。逆だとは思わない?」
「逆?」
「私とあなたが出会ったのも、エアリスの友人だったからよ。そうでなければ、こんな関係にはなっていなかったわ」
ロンバートの頭を撫でながら、オルザベートは言い聞かせる様に続ける。
「エアリスはこの家に必要な人なの。彼女がいなくなったから、この家はおかしくなってるのよ。だって、彼女は特別だから」
「あ、ああ…。魔法使いの家系だものな。もしかしたら、彼女が気付かない内に魔法を使っていたのかもしれない」
オルザベートとは違う意味でロンバートはとらえたが、彼女はいちいち訂正してやる気にもならなかった。
「エアリスが戻ってくれば、この家も明るくなるわ」
「でも、君のことを悪く言うような馬鹿な女だぞ?」
「エアリスが馬鹿ですって!? そんな訳ないでしょう!」
オルザベートは声を荒らげて、ロンバートに続ける。
「あなたの仕事がうまくいっていたのだって、エアリスが来てからじゃないの?」
「そ…、そう言われればそうかもしれない…。じゃあ、彼女は僕や君にとって必要な人物なのか?」
「ええ、そうよ。ロンバート。エアリスがいなければ、私達も、お腹の子も幸せになれないのよ」
「そうだったのか…! ああ、出ていけだなんて言うんじゃなかった。でも、もう遅いよな? それと、たまにこの家に戻ってきてもらうだけでもいいのかな。もう、今更、エアリスを抱くだなんて無理だよ」
ロンバートはオルザベートの耳や頬に口づける。
オルザベートは嫌悪感を感じながらも我慢していた。
ロンバートを上手く使い、自分の元へエアリスが戻ってくるまでは、彼のご機嫌をとらなければいけないからだ。
大人しくしていると、ロンバートは彼女の豊満な胸に手を伸ばしてきた。
「ちょっと、やめてよ、ロンバート」
「エアリスにはなかったものなんだ。少しくらい、いいだろ?」
「なかったものだなんて。彼女の胸を触ってもいないくせに」
「見たらわかるよ。彼女は君の様に胸は大きくない」
ロンバートがオルザベートに夢中になった理由の1つは、彼女の豊満な胸や大きなお尻だった。
それを知っていたオルザベートは彼の手を払い除けて、上半身を起こす。
「お腹の中に子供がいるのよ?」
「わかってるさ。だから触るだけだ」
「そんな事する前に、早くエアリスを探すように手配してちょうだい!」
「何を言ってるんだ、オルザベート。エアリスの居場所はもうわかっているよ」
「なんですって!?」
オルザベートが聞き返すと、ロンバートは笑いながら答える。
「エアリスは今はカイジス公爵の元にいるんだ。伯父上からの話によれば、エアリスは彼の婚約者として迎えられたそうだ。だから連れ戻すには骨が折れそうだよ」
「カイジス公爵…? あなたの事業を邪魔したのもカイジス公爵だったわよね? …じゃあ、そういう事なの?」
「君が何を思っているのかはよくわからないが、そういう事だと思う」
「でも、婚約者ってどういう事なの!? 奥様はお亡くなりになったの!? それに年齢が違いすぎるわ!?」
「知らないのか? カイジス公爵家は昨年、息子であるエドワード様に代替わりしたんだ」
「そんな…!」
オルザベートは叫んだあとに頭を抱えた。
(せっかく、エアリスからあの男を引き離したのに、またあの男が私の邪魔をするの!? 許せない!)
「ねえ、お願いよ、ロンバート。どうにかして、エアリスを連れ戻して。私達の幸せのために!」
「わかったよ、オルザベート。この家が上手くいっていたのは、エアリスのおかげだという事を信じる。だから、ちょっとだけ、いいだろう?」
「…いいわ。そのかわり、エアリスの事をお願いね」
そう言って、オルザベートはロンバートのキスを甘んじて受け入れた。
(待っていてエアリス。親友の私が助けてあげるからね?)
「くそ! どうしてこんな事になるんだ!?」
徒歩で職場に通いたくないロンバートは、辻馬車が停まっている場所に行くのも面倒な様で、昼前だというのに仕事にはいかず、オルザベートを抱きしめながら、寝巻き姿で寝室のベッドの上に寝転んでいた。
「ロンバート、落ち着いて? たまたま、不幸が重なっただけよ。これから良いことがあるわ」
「僕の味方は君と母上だけだよ。優しかった父上は僕を見捨てて逃げてしまったし」
すりすりと自分に頬ずりしてくるロンバートに、一瞬、冷たい視線を投げたオルザベートだったが、目を閉じている彼にはそれが見えなかった。
「…でも、エアリスがいなくなってからおかしくなったのよね?」
「そうだ! あいつが疫病神なんだ!」
「違うわ、ロンバート。逆だとは思わない?」
「逆?」
「私とあなたが出会ったのも、エアリスの友人だったからよ。そうでなければ、こんな関係にはなっていなかったわ」
ロンバートの頭を撫でながら、オルザベートは言い聞かせる様に続ける。
「エアリスはこの家に必要な人なの。彼女がいなくなったから、この家はおかしくなってるのよ。だって、彼女は特別だから」
「あ、ああ…。魔法使いの家系だものな。もしかしたら、彼女が気付かない内に魔法を使っていたのかもしれない」
オルザベートとは違う意味でロンバートはとらえたが、彼女はいちいち訂正してやる気にもならなかった。
「エアリスが戻ってくれば、この家も明るくなるわ」
「でも、君のことを悪く言うような馬鹿な女だぞ?」
「エアリスが馬鹿ですって!? そんな訳ないでしょう!」
オルザベートは声を荒らげて、ロンバートに続ける。
「あなたの仕事がうまくいっていたのだって、エアリスが来てからじゃないの?」
「そ…、そう言われればそうかもしれない…。じゃあ、彼女は僕や君にとって必要な人物なのか?」
「ええ、そうよ。ロンバート。エアリスがいなければ、私達も、お腹の子も幸せになれないのよ」
「そうだったのか…! ああ、出ていけだなんて言うんじゃなかった。でも、もう遅いよな? それと、たまにこの家に戻ってきてもらうだけでもいいのかな。もう、今更、エアリスを抱くだなんて無理だよ」
ロンバートはオルザベートの耳や頬に口づける。
オルザベートは嫌悪感を感じながらも我慢していた。
ロンバートを上手く使い、自分の元へエアリスが戻ってくるまでは、彼のご機嫌をとらなければいけないからだ。
大人しくしていると、ロンバートは彼女の豊満な胸に手を伸ばしてきた。
「ちょっと、やめてよ、ロンバート」
「エアリスにはなかったものなんだ。少しくらい、いいだろ?」
「なかったものだなんて。彼女の胸を触ってもいないくせに」
「見たらわかるよ。彼女は君の様に胸は大きくない」
ロンバートがオルザベートに夢中になった理由の1つは、彼女の豊満な胸や大きなお尻だった。
それを知っていたオルザベートは彼の手を払い除けて、上半身を起こす。
「お腹の中に子供がいるのよ?」
「わかってるさ。だから触るだけだ」
「そんな事する前に、早くエアリスを探すように手配してちょうだい!」
「何を言ってるんだ、オルザベート。エアリスの居場所はもうわかっているよ」
「なんですって!?」
オルザベートが聞き返すと、ロンバートは笑いながら答える。
「エアリスは今はカイジス公爵の元にいるんだ。伯父上からの話によれば、エアリスは彼の婚約者として迎えられたそうだ。だから連れ戻すには骨が折れそうだよ」
「カイジス公爵…? あなたの事業を邪魔したのもカイジス公爵だったわよね? …じゃあ、そういう事なの?」
「君が何を思っているのかはよくわからないが、そういう事だと思う」
「でも、婚約者ってどういう事なの!? 奥様はお亡くなりになったの!? それに年齢が違いすぎるわ!?」
「知らないのか? カイジス公爵家は昨年、息子であるエドワード様に代替わりしたんだ」
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「わかったよ、オルザベート。この家が上手くいっていたのは、エアリスのおかげだという事を信じる。だから、ちょっとだけ、いいだろう?」
「…いいわ。そのかわり、エアリスの事をお願いね」
そう言って、オルザベートはロンバートのキスを甘んじて受け入れた。
(待っていてエアリス。親友の私が助けてあげるからね?)
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