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21 落ち着いてください!
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旦那様と犬化についての詳しい話をする。
そう決めた時に限って、旦那様と顔を合わせなくなってしまいました。
もしかして、避けられているのでしょうか…。
次の日のティータイムの時間、ぼんやりとそんな事を考えていましたら、モヤモヤ考えているくらいなら、会いに行ってみる事にした方が良いと考えて、実行する事にしました。
これで、会えないと言われて、避けられているとわかったら、それこそ、ご迷惑をかけない様に近付かない様にすればいいだけです。
ジャスミンには休憩していてもらい、一人で旦那様の元を訪ねて行ったのですが、旦那様の執務室の前で、旦那様の側近である、ビーク様と出くわし、入室するのを止められてしまいました。
「奥様、大変、申し訳ございませんが、あと少しだけお待ちいただけませんでしょうか」
「待つとは…?」
「実は、犬…のせいで、仕事がたまっていまして」
誰かに聞かれては困るからか、ビーク様は言葉を選びながら答えてくれました。
「そ、それは申し訳ないです!」
「いえ。奥様のせいではございませんし、お二人の仲が良い事は私達にとっても喜ばしい事ですから」
「でも、迷惑をかけてしまっていたのですよね。配慮が足りなくて申し訳ないです」
「とんでもございません。何より、そうなるという事は、旦那様が奥様に触れようとなさっているという事ですからね」
旦那様の犬化を知っている、側近の方の一人なので、旦那様がどうすれば犬になってしまうかも、当たり前の事ですが、知っておられます。
そんなビーク様が笑顔で続けます。
「旦那様は奥様に少しでも会わないと、自分の事を忘れてしまうと思い込んでおられます」
「私が記憶をなくしてしまう病気にかかっていると勘違いされているのでしょうか…」
眉をひそめて聞いてみると、ビーク様はなぜか笑いを噛み殺す様な顔をして言います。
「旦那さまから聞いてはおりましたが、奥様は普通のご令嬢とは違うようですね。返ってくる反応が予想と違います」
褒めてくれているのかどうなのかわかりかねましたので、小首をかしげて聞き返します。
「良い意味ででしょうか、それとも悪い意味で?」
「もちろん良い意味でですよ。旦那様は女性に人気がありますが、今まで、公爵になる為の勉強ばかりで、女性の扱いには慣れていないんです。それにあんな事になってしまいましたから、余計に女性から遠ざかる様にされましたから」
「それでも結婚されたんですね」
「仲の良いご友人の妹君であられる奥様ですから、興味を持たれたのでしょう」
ビーク様は私を立たせたまま、しかも廊下で待たせる訳にはいかないと、執務室を入ってすぐにある、応接のソファーに座る様に促して下さいました。
旦那様にバレてしまうのでは?
と思いましたが、私が中に入る前に、旦那様の位置から、入ってきた私が見えない様にパーテーションで隠してくださいました。
「誰か来ていたのか?」
「ええ。少しお話をさせていただきました」
旦那様がビーク様に話しかけ、彼が答えると、旦那様は言います。
「これで終わりか?」
「…にしようかと思っておりましたが、あと一件だけ」
「どういう事だ!? 今日はもういいだろう!? もう、エレノアと昨日の夜から会っていないんだぞ!? これ以上会わなかったら、今度、顔を合わせた時に、あら、旦那様、今日は一緒に食事されるおつもりですか? なんて、また縮めた距離を離してくるに決まっている!」
旦那様…、私に対してのイメージ酷すぎませんか?
そこまでお馬鹿さんじゃないですよ…。
ビーク様の立っている位置からは、私の方も見えるので、彼は私の方に苦笑しながら視線を向けてこられましたが、すぐに旦那様に言います。
「旦那様に対して、奥様は心を開いてくださらないのですね。まあ、焦らずに頑張られてはどうですか」
「だから、ゆっくりしていたら、エレノアの方が凄い勢いで遠ざかっていくんだ!」
今は、とても近くにおりますけれど…。
それにしても、旦那様、焦っておられるからか、パーテーションの不審さには気が付かれていない様です。
明らかにおかしいですよね…。
「それはお気の毒に。では、今日はここまでにしておきましょう。もちろん、犬化しなければ、夜にやっていただきますが」
「無意識に触ろうとしてしまうから、どうなるかわからん。だから、その仕事は今の内にやっておく事にしよう」
「有り難い申し出ではありますが、お客様がいらっしゃってますので」
「どうして先にそれを言わないんだ。というか、予定が入っているなら、なぜ俺に連絡しておかないんだ」
「申し訳ございません。予定外でしたので…」
旦那様が椅子から立ち上がる音が聞こえ、急いで歩いてくる足音も耳に届きました。
パーテーションの向うに影が見えましたので、そちらを向いて待っていますと、旦那様がやって来られました。
「お待たせして申し…、エ、エレノア!? どうしてここに!?」
「旦那様にお会いしに来たのでしたが、お時間が悪かったでしょうか」
「いや、全然だ。仕事は終わったからな」
「先程、今の内にやっておくと言われていませんでしたか?」
「気のせいじゃないか?」
「気のせいでしたか!?」
はっきり言葉が聞こえていたと思ったんですが?
「それより、どうしたんだ? 会いに来てくれたのは嬉しいが、何かあったのか?」
「いえ、ただ、旦那様とお話をしたかっただけなんです。なんでしたら、残っているお仕事が終わるまで待ちますよ?」
「そんなものはない」
「ありますでしょう? ねえ、ビーク様?」
「ありますが、奥様優先です。では、私はお邪魔のようですから、失礼させていただきます」
「そんな、気を遣われなくてもよろしいですのに」
ビーク様を引き止めようとすると、なぜか旦那様が首を横に振って言います。
「気を遣ったわけではなく、当たり前の事だから、君は気にしなくて良い」
「そういう訳にはいきませんよ。お仕事も大事ですから」
「エレノア、もしや、もう俺を忘れて」
「そんな訳ありませんよ! 私はそこまで旦那様に冷たい態度を取っておりました!?」
旦那様の様子が何だか変です。
私の隣に座られるのは良いのですが、とても近いと言いますか…。
「取っていたな」
「それは申し訳ございませんでした」
仲良くなれたと思っていましたが、旦那様には大きなトラウマを植え付けてしまった様です。
そんなつもりはなかったのですが…。
「旦那様、今日は旦那様がなぜ頻繁に犬化してしまう様になったのか知りたくて来たのですが」
「…やっと俺に興味を示す様になってくれたのか」
「旦那様、そんなに傷付いておられたのですか!? 私に何を言われても気にされないと思っていたのですが、もしかして、旦那様は…」
まさか。
そんな事はありませんよね?
「エレノア、出来れば人間の姿で言いたいから、今、言うが…」
旦那様は私に視線を合わせ、私の方に手を伸ばされながら言います。
「俺はどうやら君の事を」
「あ」
旦那様は何か言いかけていましたが、私の頬に手が触れる感触を覚えたので声を上げたと同時に、旦那様はやはり犬になってしまわれました。
「旦那様、あの…」
「やってしまった…」
旦那様がソファーの背もたれに、可愛らしい頭を何度もぶつけるので慌てて抱きしめて止めます。
「旦那様、落ち着いてください!」
「あ、あの、エレノア! 落ち着いた、落ち着いたから!」
旦那様の焦る声が聞こえましたが、ふわふわが心地良くて、そのままでいますと、出るに出れずに残ってくださっていたビーク様が、ゆっくり近付いてきて言います。
「奥様、犬になった旦那様のお顔が奥様の…」
少し困ったような顔で言われて、旦那様のお顔を見てみると、私の胸に押し付けた状態になっておりました。
「申し訳ございません! 旦那様!」
「や…、やわらか…」
慌てて引き離しましたが、旦那様は謎の言葉を残して、こてんとひっくり返ってしまったので、旦那様が犬化する理由、今日も聞けそうにない気がしてきました。
そう決めた時に限って、旦那様と顔を合わせなくなってしまいました。
もしかして、避けられているのでしょうか…。
次の日のティータイムの時間、ぼんやりとそんな事を考えていましたら、モヤモヤ考えているくらいなら、会いに行ってみる事にした方が良いと考えて、実行する事にしました。
これで、会えないと言われて、避けられているとわかったら、それこそ、ご迷惑をかけない様に近付かない様にすればいいだけです。
ジャスミンには休憩していてもらい、一人で旦那様の元を訪ねて行ったのですが、旦那様の執務室の前で、旦那様の側近である、ビーク様と出くわし、入室するのを止められてしまいました。
「奥様、大変、申し訳ございませんが、あと少しだけお待ちいただけませんでしょうか」
「待つとは…?」
「実は、犬…のせいで、仕事がたまっていまして」
誰かに聞かれては困るからか、ビーク様は言葉を選びながら答えてくれました。
「そ、それは申し訳ないです!」
「いえ。奥様のせいではございませんし、お二人の仲が良い事は私達にとっても喜ばしい事ですから」
「でも、迷惑をかけてしまっていたのですよね。配慮が足りなくて申し訳ないです」
「とんでもございません。何より、そうなるという事は、旦那様が奥様に触れようとなさっているという事ですからね」
旦那様の犬化を知っている、側近の方の一人なので、旦那様がどうすれば犬になってしまうかも、当たり前の事ですが、知っておられます。
そんなビーク様が笑顔で続けます。
「旦那様は奥様に少しでも会わないと、自分の事を忘れてしまうと思い込んでおられます」
「私が記憶をなくしてしまう病気にかかっていると勘違いされているのでしょうか…」
眉をひそめて聞いてみると、ビーク様はなぜか笑いを噛み殺す様な顔をして言います。
「旦那さまから聞いてはおりましたが、奥様は普通のご令嬢とは違うようですね。返ってくる反応が予想と違います」
褒めてくれているのかどうなのかわかりかねましたので、小首をかしげて聞き返します。
「良い意味ででしょうか、それとも悪い意味で?」
「もちろん良い意味でですよ。旦那様は女性に人気がありますが、今まで、公爵になる為の勉強ばかりで、女性の扱いには慣れていないんです。それにあんな事になってしまいましたから、余計に女性から遠ざかる様にされましたから」
「それでも結婚されたんですね」
「仲の良いご友人の妹君であられる奥様ですから、興味を持たれたのでしょう」
ビーク様は私を立たせたまま、しかも廊下で待たせる訳にはいかないと、執務室を入ってすぐにある、応接のソファーに座る様に促して下さいました。
旦那様にバレてしまうのでは?
と思いましたが、私が中に入る前に、旦那様の位置から、入ってきた私が見えない様にパーテーションで隠してくださいました。
「誰か来ていたのか?」
「ええ。少しお話をさせていただきました」
旦那様がビーク様に話しかけ、彼が答えると、旦那様は言います。
「これで終わりか?」
「…にしようかと思っておりましたが、あと一件だけ」
「どういう事だ!? 今日はもういいだろう!? もう、エレノアと昨日の夜から会っていないんだぞ!? これ以上会わなかったら、今度、顔を合わせた時に、あら、旦那様、今日は一緒に食事されるおつもりですか? なんて、また縮めた距離を離してくるに決まっている!」
旦那様…、私に対してのイメージ酷すぎませんか?
そこまでお馬鹿さんじゃないですよ…。
ビーク様の立っている位置からは、私の方も見えるので、彼は私の方に苦笑しながら視線を向けてこられましたが、すぐに旦那様に言います。
「旦那様に対して、奥様は心を開いてくださらないのですね。まあ、焦らずに頑張られてはどうですか」
「だから、ゆっくりしていたら、エレノアの方が凄い勢いで遠ざかっていくんだ!」
今は、とても近くにおりますけれど…。
それにしても、旦那様、焦っておられるからか、パーテーションの不審さには気が付かれていない様です。
明らかにおかしいですよね…。
「それはお気の毒に。では、今日はここまでにしておきましょう。もちろん、犬化しなければ、夜にやっていただきますが」
「無意識に触ろうとしてしまうから、どうなるかわからん。だから、その仕事は今の内にやっておく事にしよう」
「有り難い申し出ではありますが、お客様がいらっしゃってますので」
「どうして先にそれを言わないんだ。というか、予定が入っているなら、なぜ俺に連絡しておかないんだ」
「申し訳ございません。予定外でしたので…」
旦那様が椅子から立ち上がる音が聞こえ、急いで歩いてくる足音も耳に届きました。
パーテーションの向うに影が見えましたので、そちらを向いて待っていますと、旦那様がやって来られました。
「お待たせして申し…、エ、エレノア!? どうしてここに!?」
「旦那様にお会いしに来たのでしたが、お時間が悪かったでしょうか」
「いや、全然だ。仕事は終わったからな」
「先程、今の内にやっておくと言われていませんでしたか?」
「気のせいじゃないか?」
「気のせいでしたか!?」
はっきり言葉が聞こえていたと思ったんですが?
「それより、どうしたんだ? 会いに来てくれたのは嬉しいが、何かあったのか?」
「いえ、ただ、旦那様とお話をしたかっただけなんです。なんでしたら、残っているお仕事が終わるまで待ちますよ?」
「そんなものはない」
「ありますでしょう? ねえ、ビーク様?」
「ありますが、奥様優先です。では、私はお邪魔のようですから、失礼させていただきます」
「そんな、気を遣われなくてもよろしいですのに」
ビーク様を引き止めようとすると、なぜか旦那様が首を横に振って言います。
「気を遣ったわけではなく、当たり前の事だから、君は気にしなくて良い」
「そういう訳にはいきませんよ。お仕事も大事ですから」
「エレノア、もしや、もう俺を忘れて」
「そんな訳ありませんよ! 私はそこまで旦那様に冷たい態度を取っておりました!?」
旦那様の様子が何だか変です。
私の隣に座られるのは良いのですが、とても近いと言いますか…。
「取っていたな」
「それは申し訳ございませんでした」
仲良くなれたと思っていましたが、旦那様には大きなトラウマを植え付けてしまった様です。
そんなつもりはなかったのですが…。
「旦那様、今日は旦那様がなぜ頻繁に犬化してしまう様になったのか知りたくて来たのですが」
「…やっと俺に興味を示す様になってくれたのか」
「旦那様、そんなに傷付いておられたのですか!? 私に何を言われても気にされないと思っていたのですが、もしかして、旦那様は…」
まさか。
そんな事はありませんよね?
「エレノア、出来れば人間の姿で言いたいから、今、言うが…」
旦那様は私に視線を合わせ、私の方に手を伸ばされながら言います。
「俺はどうやら君の事を」
「あ」
旦那様は何か言いかけていましたが、私の頬に手が触れる感触を覚えたので声を上げたと同時に、旦那様はやはり犬になってしまわれました。
「旦那様、あの…」
「やってしまった…」
旦那様がソファーの背もたれに、可愛らしい頭を何度もぶつけるので慌てて抱きしめて止めます。
「旦那様、落ち着いてください!」
「あ、あの、エレノア! 落ち着いた、落ち着いたから!」
旦那様の焦る声が聞こえましたが、ふわふわが心地良くて、そのままでいますと、出るに出れずに残ってくださっていたビーク様が、ゆっくり近付いてきて言います。
「奥様、犬になった旦那様のお顔が奥様の…」
少し困ったような顔で言われて、旦那様のお顔を見てみると、私の胸に押し付けた状態になっておりました。
「申し訳ございません! 旦那様!」
「や…、やわらか…」
慌てて引き離しましたが、旦那様は謎の言葉を残して、こてんとひっくり返ってしまったので、旦那様が犬化する理由、今日も聞けそうにない気がしてきました。
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