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26 手紙の内容
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両親にではなく、お兄様に連絡を入れてみると、詳しいことがわかってきた。
お姉様を騙した男は今回の件をきっかけに捕まり、他にも騙されていた人がいたことが発覚した。
性格は良くなくても見た目が良くて、口が上手く、多少のずる賢さがあれば、それだけ多くの人を騙せてしまうのかもしれない。
お姉様は未だに騙されたことを信じていないらしく、このままでは結婚してもらえないと嘆いているらしい。
どうして、そこまでするくらいなら実家に帰ってお金を融通してもらわなかったのだろうと思ってしまうけれど、精神状態が普通ではない場合は、そんな判断も難しくなってしまうのだろうと感じた。
それに、両親がそんな男との結婚を認めるわけがないし、男のほうもお姉様が公爵令嬢だということはわかっているだろうから、親に連絡をするなと言ったのかもしれない。
「何か力になれることがあるのなら言いなさい」
「できることは少ないかもしれないけれど、何かできることがあったら言ってちょうだいね」
談話室で、お兄様から届いた手紙の話をすると、お義父さまやお義母さまも優しい言葉をかけてくれた。
お兄様は自分のことは心配しなくても良いと書いていたけれど、エードル公爵家の評判は、ロラルグリラ王国内では最悪になってしまったようで、このままでは公爵家ではいられなくなる可能性が高い。
お姉様を放置したのは、私も含め家族の責任でもあるから、爵位が下がることになったとしてもしょうがないとは思う。
それに、私は他国に嫁に出されているから、そこまでの影響はない。
「君の兄上だけでも、この国に呼んだらどうだろうか。落ち着くまではこの家に一緒に暮らしたら良いと思うんだが」
ルラン様が優しい言葉をかけてくださった。
「ありがとうございます。兄にもその話はしてみますわ。ですがきっと、自分でなんとかすると言うと思います」
そこで一度言葉を区切ってから、ルラン様たちに相談する。
「兄はなんとかなると思うのですが、問題は私の両親です。爵位が下がることになれば恥ずかしくてロラルグリラにはいられないと言って、私に助けを求めてくるでしょう。ですが、王家への忠誠心は変わらないと思うのです」
「スパイになる可能性があるから、この家どころか、シュテーダム王国に入国させないほうが良いということだろうか」
「そうしてもらったほうが良いかと思います。金銭面の援助は私からするかもしれませんが、絶対にこの国に入国できないように手配をしていただくことは可能でしょうか」
「わかった。国家の危機に繋がる可能性があるからといえば入国を禁止することはできるだろう」
お義父さまは頷くと「手配をしてくる」と言って、談話室を出て行った。
お義父さまが出ていってから、ルラン様とお義母さまに頭を下げる。
「色々とご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません」
「君が謝ることじゃない。逆に俺が婚約破棄をしなければ、彼女は犯罪に手を染めなかったんだろうかと思うと申し訳ない」
「ルラン様は悪くありませんわ。お姉様は深く物事を考えていない人ですから、シュテーダムの内部事情を悪気なく、ローク殿下や両親に伝えていた可能性があります」
ロラルグリラがシュテーダムをまた支配下に置こうとしているとわかった今では、私が代わりにここに来て本当に良かったと思う。
それに私自身も幸せだわ。
「ローク殿下が何か言ってくる可能性があるな」
ルラン様が予想した通り、次の日の朝、ローク殿下から「姉の責任を取るように」と書かれた手紙が届いたのだった。
お姉様を騙した男は今回の件をきっかけに捕まり、他にも騙されていた人がいたことが発覚した。
性格は良くなくても見た目が良くて、口が上手く、多少のずる賢さがあれば、それだけ多くの人を騙せてしまうのかもしれない。
お姉様は未だに騙されたことを信じていないらしく、このままでは結婚してもらえないと嘆いているらしい。
どうして、そこまでするくらいなら実家に帰ってお金を融通してもらわなかったのだろうと思ってしまうけれど、精神状態が普通ではない場合は、そんな判断も難しくなってしまうのだろうと感じた。
それに、両親がそんな男との結婚を認めるわけがないし、男のほうもお姉様が公爵令嬢だということはわかっているだろうから、親に連絡をするなと言ったのかもしれない。
「何か力になれることがあるのなら言いなさい」
「できることは少ないかもしれないけれど、何かできることがあったら言ってちょうだいね」
談話室で、お兄様から届いた手紙の話をすると、お義父さまやお義母さまも優しい言葉をかけてくれた。
お兄様は自分のことは心配しなくても良いと書いていたけれど、エードル公爵家の評判は、ロラルグリラ王国内では最悪になってしまったようで、このままでは公爵家ではいられなくなる可能性が高い。
お姉様を放置したのは、私も含め家族の責任でもあるから、爵位が下がることになったとしてもしょうがないとは思う。
それに、私は他国に嫁に出されているから、そこまでの影響はない。
「君の兄上だけでも、この国に呼んだらどうだろうか。落ち着くまではこの家に一緒に暮らしたら良いと思うんだが」
ルラン様が優しい言葉をかけてくださった。
「ありがとうございます。兄にもその話はしてみますわ。ですがきっと、自分でなんとかすると言うと思います」
そこで一度言葉を区切ってから、ルラン様たちに相談する。
「兄はなんとかなると思うのですが、問題は私の両親です。爵位が下がることになれば恥ずかしくてロラルグリラにはいられないと言って、私に助けを求めてくるでしょう。ですが、王家への忠誠心は変わらないと思うのです」
「スパイになる可能性があるから、この家どころか、シュテーダム王国に入国させないほうが良いということだろうか」
「そうしてもらったほうが良いかと思います。金銭面の援助は私からするかもしれませんが、絶対にこの国に入国できないように手配をしていただくことは可能でしょうか」
「わかった。国家の危機に繋がる可能性があるからといえば入国を禁止することはできるだろう」
お義父さまは頷くと「手配をしてくる」と言って、談話室を出て行った。
お義父さまが出ていってから、ルラン様とお義母さまに頭を下げる。
「色々とご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません」
「君が謝ることじゃない。逆に俺が婚約破棄をしなければ、彼女は犯罪に手を染めなかったんだろうかと思うと申し訳ない」
「ルラン様は悪くありませんわ。お姉様は深く物事を考えていない人ですから、シュテーダムの内部事情を悪気なく、ローク殿下や両親に伝えていた可能性があります」
ロラルグリラがシュテーダムをまた支配下に置こうとしているとわかった今では、私が代わりにここに来て本当に良かったと思う。
それに私自身も幸せだわ。
「ローク殿下が何か言ってくる可能性があるな」
ルラン様が予想した通り、次の日の朝、ローク殿下から「姉の責任を取るように」と書かれた手紙が届いたのだった。
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