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25 とある日の中庭での出来事③

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「姉が捕まったというのはどういうことです? ロラルグリラ国内でですよね?」
「ああ。しかも、君の両親はフェルーナ嬢を見捨てることにしたらしい」
「姉を見捨てる? 姉は一体、何をしでかしたんでしょうか」

 焦りながら尋ねると、ルラン様はフットマンから聞いた話を教えてくれた。

 お姉様は家での待遇が悪くなったので、奉仕活動をメインにしはじめて、遠征が多くなったのだそうだ。

 そして、奉仕活動をしている時に知り合った悪い男に騙されたのだと訴えているらしい。
 お姉様が好きになった男は警察に聞いたところ結婚詐欺師だった。
 ローク殿下や家族に冷たくされて、心が弱っていたお姉様は、優しくしてくれるその男に恋をしてしまった。
 交際が始まってすぐは順調だったけれど、少し経った頃、男は「あともう少しお金があれば君と結婚できるのに」と言いはじめた。
 
 奉仕活動をしているお姉様の所へやって来るのは、貧乏な人たちばかりではなく、お姉様を支援しようという、お金持ちの貴族もやって来る。
 お姉様はその貴族からもらったお金を自分のために使うのならまだしも、結婚という言葉にのせられて、全て男に貢いでしまった。
 そこで終わるだけなら、まだ許されていたのかもしれない。
 でも、その後が駄目だった。

 男から「まだ足りない」と言われたお姉様は、貴族からお金をだまし取ろうとしたらしい。

「……何をしたんでしょうか」
「ご利益があると嘘をついて、色々なものを高値で売りつけたらしい」
「結婚詐欺のために詐欺をしたということですか」

 公爵家としては痛い話でしょうね。
 責任を取るのはお父様でしょうけれど、お兄様にも少なからず痛手ではあるでしょう。
 それに、私やユリアス家にも良くないものだわ。

「義兄と連絡をとったらどうだ」
「そうですわね。実家の状況よりもお兄様のほうが気になります」

 頷いてから、今の段階ではわからないかもしれないけれど、一応確認してみる。

「お姉様がどんな刑になるかや、相手の男性がどうなったかはまだわかりませんわよね」
「悪い。今のところ知らされているのは、先程話した内容だけなんだ」
「謝らないでくださいませ。先程のお話を、すぐに教えていただけただけでも十分に有り難いことですわ」

 フットマンにはチップを多めに渡してもらうようにお願いしなくちゃ。

「今日はユリアス邸に帰りますわ。お義父さまたちともお話がしたいですから」
「では、時間になったら一緒に帰ろう」
「よろしくお願いします」

 ルラン様に笑顔で頷いた時に、ふと気が付いた。

 最近は、ルラン様とよく目が合うようになったかもしれない。
 
 マオだけじゃなく、ルラン様も徐々に心を開いてくれているのだと思うと、嫌な話を聞かされたのに、少しだけ良い気分になった。
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