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21 祝賀会当日⑥
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「おい、ラナリー。いつまで意地を張るつもりなんだ。お前が結婚した相手が誰だかわかっていないのか?」
「わかっておりますわ。ルラン・ユリアス様です」
「なら、自分の言っていることがおかしいことはわかるだろう」
ローク殿下はルラン様が目の前にいるのに、まったく気にした様子はない。
すると、お兄様がローク殿下に話しかけた。
「ローク殿下、こちらでお会いすることができて光栄です」
「ああ、レヴか。長らく顔を見ていなかったが元気そうだな」
「元気にやっております。ところで、殿下、お話したいことがございます。少しだけお時間をいただけないでしょうか」
「今は駄目だ。ラナリーとの話が終わってからにしてくれ」
「話は終わりましたわ。ごゆっくりどうぞ」
お兄様が助けてくださったのだとわかって、私とルラン様は素早くローク殿下から離れようとした。
「おい、ラナリー! 俺の言うことを聞かないなんて無礼じゃないのか!?」
すかさずローク殿下が文句を言ってきたけれど、ルラン様が間に入ってくれる。
「夫の前で堂々と妻を口説こうとする殿下もマナーが良いとは思えませんが」
周りの目を気にしたのか、ローク殿下は周りを見回し、自分たちに視線が集まっていることに気づくと笑顔を作る。
「気分を悪くさせたのなら謝ろう。ただ、それだけ君の妻が魅力的だったからだと思って許してくれ」
私に利用価値があると思っているから、そんなことを言っているのだということが見え見えで、呆れてため息が出そうになった。
「では、失礼いたします」
ルラン様はローク殿下の言葉には応えることなく、私を促して歩き出す。
「ラナリー、陛下のところに行こう。そのほうが色々と楽だ」
「そうですわね」
シュティル様は今頃は裏でお着替えをされている最中で、準備ができれば壇上にある席に座り、招待客からの贈り物をもらう段取りになっている。
壇上に出てしまっては、またしばらくお話ができなくなるので、急いでシュティル様の所へ向かった。
私たちが着いた時にはお着替えが終わっていて、シュティル様は今度は白のスーツを着ていた。
白い蝶ネクタイがとても似合っていて可愛らしい。
「ラナリー! ちゃんと話せたよ!」
シュティル様は私たちに気づくと、ぱたぱたと駆け寄ってきて、キラキラした瞳で褒めてと言わんばかりに見上げてくる。
「存じ上げております。とてもご立派でしたよ」
「ありがとう! ルランはどうだった?」
「とても良いスピーチでございました」
ルラン様に褒めてもらうと、シュティル様は白い頬をピンク色に染めて、満足そうに微笑んだ。
シュティル様は照れるとすぐに頬が赤くなるのでわかりやすくて、とても可愛い。
でも、こんな風に頬を赤くしてしまうことを好まない貴族がいるのも確かだ。
成長していけば気持ちもコントロールできるようになってくるだろうし、 こんな小さな内から感情を殺せだなんて、私には言えなかった。
「ラナリー、ルラン、しゅくがかいが終わったら、ぼくの部屋にきてくれない?」
「かまいませんが」
私が代表して答えると、シュティル様は嬉しそうに笑う。
「いつもぼくのお世話をしてくれる人だけよんで、おたんじょうび会をするんだ。良かったら、ふたりにも来てほしいな」
「もちろん参加させていただきます」
食い気味に言うと、シュティル様はまた笑ってくれた。
「陛下、そろそろお時間です」
「じゃあ、またあとでね!」
メイドに声を掛けられたシュティル様は、私とルラン様に手を振って走っていく。
その姿を見ながら、ルラン様が話しかけてくる。
「俺は何があっても陛下にお仕えするつもりだ」
「私もですわ。ロラルグリラの望むようにはさせません」
先程のローク殿下のことを思い出し、改めて気持ちを引き締めた。
「わかっておりますわ。ルラン・ユリアス様です」
「なら、自分の言っていることがおかしいことはわかるだろう」
ローク殿下はルラン様が目の前にいるのに、まったく気にした様子はない。
すると、お兄様がローク殿下に話しかけた。
「ローク殿下、こちらでお会いすることができて光栄です」
「ああ、レヴか。長らく顔を見ていなかったが元気そうだな」
「元気にやっております。ところで、殿下、お話したいことがございます。少しだけお時間をいただけないでしょうか」
「今は駄目だ。ラナリーとの話が終わってからにしてくれ」
「話は終わりましたわ。ごゆっくりどうぞ」
お兄様が助けてくださったのだとわかって、私とルラン様は素早くローク殿下から離れようとした。
「おい、ラナリー! 俺の言うことを聞かないなんて無礼じゃないのか!?」
すかさずローク殿下が文句を言ってきたけれど、ルラン様が間に入ってくれる。
「夫の前で堂々と妻を口説こうとする殿下もマナーが良いとは思えませんが」
周りの目を気にしたのか、ローク殿下は周りを見回し、自分たちに視線が集まっていることに気づくと笑顔を作る。
「気分を悪くさせたのなら謝ろう。ただ、それだけ君の妻が魅力的だったからだと思って許してくれ」
私に利用価値があると思っているから、そんなことを言っているのだということが見え見えで、呆れてため息が出そうになった。
「では、失礼いたします」
ルラン様はローク殿下の言葉には応えることなく、私を促して歩き出す。
「ラナリー、陛下のところに行こう。そのほうが色々と楽だ」
「そうですわね」
シュティル様は今頃は裏でお着替えをされている最中で、準備ができれば壇上にある席に座り、招待客からの贈り物をもらう段取りになっている。
壇上に出てしまっては、またしばらくお話ができなくなるので、急いでシュティル様の所へ向かった。
私たちが着いた時にはお着替えが終わっていて、シュティル様は今度は白のスーツを着ていた。
白い蝶ネクタイがとても似合っていて可愛らしい。
「ラナリー! ちゃんと話せたよ!」
シュティル様は私たちに気づくと、ぱたぱたと駆け寄ってきて、キラキラした瞳で褒めてと言わんばかりに見上げてくる。
「存じ上げております。とてもご立派でしたよ」
「ありがとう! ルランはどうだった?」
「とても良いスピーチでございました」
ルラン様に褒めてもらうと、シュティル様は白い頬をピンク色に染めて、満足そうに微笑んだ。
シュティル様は照れるとすぐに頬が赤くなるのでわかりやすくて、とても可愛い。
でも、こんな風に頬を赤くしてしまうことを好まない貴族がいるのも確かだ。
成長していけば気持ちもコントロールできるようになってくるだろうし、 こんな小さな内から感情を殺せだなんて、私には言えなかった。
「ラナリー、ルラン、しゅくがかいが終わったら、ぼくの部屋にきてくれない?」
「かまいませんが」
私が代表して答えると、シュティル様は嬉しそうに笑う。
「いつもぼくのお世話をしてくれる人だけよんで、おたんじょうび会をするんだ。良かったら、ふたりにも来てほしいな」
「もちろん参加させていただきます」
食い気味に言うと、シュティル様はまた笑ってくれた。
「陛下、そろそろお時間です」
「じゃあ、またあとでね!」
メイドに声を掛けられたシュティル様は、私とルラン様に手を振って走っていく。
その姿を見ながら、ルラン様が話しかけてくる。
「俺は何があっても陛下にお仕えするつもりだ」
「私もですわ。ロラルグリラの望むようにはさせません」
先程のローク殿下のことを思い出し、改めて気持ちを引き締めた。
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