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18 祝賀会当日③
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ルラン様と一緒に会場に戻ると、先程よりも人が増えていて騒がしさが増していた。
マゼッタ様は派手だと言っていたけれど、改めて見てみると、調度品は落ち着いた色合いだし、何度か出席したことのある、ローク殿下の誕生日の祝賀会と比べれば質素なものだった。
このことを言えば、それは勝利国だからだと言われてしまいそうだけれど、今回の祝賀会が派手ではないことは確かだ。
各国の王族には貴賓席が設けられているので、ローク殿下は会場の奥にある壇上にいた。
マゼッタ様と談笑をしているのを見ると腹が立ってきて睨み付けていると、背後から気配を感じて素早く振り返った。
「ラナリー!」
現れたのは、ピンク色のドレスを来たお姉様だった。
ハーフアップにした髪には大きなピンク色のリボンを飾り、ドレスにもたくさんのリボンが付いている。
救済の聖女の時にはできない贅沢な格好だった。
お姉様は私の腕を掴もうとしたようだった。
でも、私が腕を引いたので転びそうになっていたけれど何とか踏みとどまった。
「お久しぶりですわね、お姉様」
「久しぶりだな、フェルーナ嬢」
私とルラン様が声をかけると、お姉様はルラン様にカーテシーをしたあと、私に話しかけてくる。
「ラナリー、あなたに話があるの。ちょっとこちらに来てくれない?」
「もうすぐ祝賀会が始まりますので無理です」
「お願いよ。すぐに終わる話だから」
お姉様は私の腕をつかんで、ぐいぐいと引っ張ってくる。
お義母さまたちから習った体術を使いたいところだけれど、関係のない人が近くに多くいるので、体術を使えば、その人を巻き込んでしまう。
もっと広い場所にいかないといけないわ。
「おい、いくら姉でもやって良いことと悪いことがあるだろう」
ルラン様が止めに入ってくれたけれど、とりあえず話を聞くだけ聞いて終わらせることに決めた。
そうしなければ、いつまでも私にしつこく付きまとってくるでしょうし、せっかくの体術を試す機会がなくなってしまう。
「ルラン様、ありがとうございます。聞くだけ聞いてきますわ」
「君が良いならいいが、何かあったら大声で叫んでくれ」
「大丈夫ですわ。その前に暴力でねじ伏せます」
笑顔で答えると、ルラン様は顔をひきつらせた。
お姉様には『暴力』という言葉が聞こえていなかったみたいで、必死に急かしてくる。
「ちょっと、早く行きましょう!」
「わかりましたわ」
壇上のほうに目を向けると貴賓席に座っている人たちは、まだ談笑を続けているので、もう少し時間がありそうだった。
「で、何のお話ですか?」
会場の端のほうに避けてから、早速尋ねてみると、お姉様は両手を合わせて言った。
「お願いよ。ラナリー、あなたの居場所を私に譲って! ローク殿下に婚約破棄されてから、両親の態度がとても冷たいの。お兄様は奉仕活動を頑張ればいいって言うけど、もう、限界よ! だからね、私がルラン様の妻になるわ。あなたの居場所に私がおさまったら、また両親も優しくしてくれると思うのよ」
この人、何を寝ぼけたことを言っているのかしら。
ルラン様に婚約破棄されたことをすっかり忘れているらしい。
「嫌です」
きっぱりとお断りすると、お姉様がしつこくお願いしてくる。
「そんな冷たいことを言わないでよ。もう二度と、猫をどうかしようとしたりしないから」
さて、近くに人もいないことだし、腕を伸ばしてきたら、その腕を掴んで……と考えていた時、騒がしかった会場が一瞬にして静まり返った。
壇上を見ると、シュティル様が現れたところだった。
マゼッタ様は派手だと言っていたけれど、改めて見てみると、調度品は落ち着いた色合いだし、何度か出席したことのある、ローク殿下の誕生日の祝賀会と比べれば質素なものだった。
このことを言えば、それは勝利国だからだと言われてしまいそうだけれど、今回の祝賀会が派手ではないことは確かだ。
各国の王族には貴賓席が設けられているので、ローク殿下は会場の奥にある壇上にいた。
マゼッタ様と談笑をしているのを見ると腹が立ってきて睨み付けていると、背後から気配を感じて素早く振り返った。
「ラナリー!」
現れたのは、ピンク色のドレスを来たお姉様だった。
ハーフアップにした髪には大きなピンク色のリボンを飾り、ドレスにもたくさんのリボンが付いている。
救済の聖女の時にはできない贅沢な格好だった。
お姉様は私の腕を掴もうとしたようだった。
でも、私が腕を引いたので転びそうになっていたけれど何とか踏みとどまった。
「お久しぶりですわね、お姉様」
「久しぶりだな、フェルーナ嬢」
私とルラン様が声をかけると、お姉様はルラン様にカーテシーをしたあと、私に話しかけてくる。
「ラナリー、あなたに話があるの。ちょっとこちらに来てくれない?」
「もうすぐ祝賀会が始まりますので無理です」
「お願いよ。すぐに終わる話だから」
お姉様は私の腕をつかんで、ぐいぐいと引っ張ってくる。
お義母さまたちから習った体術を使いたいところだけれど、関係のない人が近くに多くいるので、体術を使えば、その人を巻き込んでしまう。
もっと広い場所にいかないといけないわ。
「おい、いくら姉でもやって良いことと悪いことがあるだろう」
ルラン様が止めに入ってくれたけれど、とりあえず話を聞くだけ聞いて終わらせることに決めた。
そうしなければ、いつまでも私にしつこく付きまとってくるでしょうし、せっかくの体術を試す機会がなくなってしまう。
「ルラン様、ありがとうございます。聞くだけ聞いてきますわ」
「君が良いならいいが、何かあったら大声で叫んでくれ」
「大丈夫ですわ。その前に暴力でねじ伏せます」
笑顔で答えると、ルラン様は顔をひきつらせた。
お姉様には『暴力』という言葉が聞こえていなかったみたいで、必死に急かしてくる。
「ちょっと、早く行きましょう!」
「わかりましたわ」
壇上のほうに目を向けると貴賓席に座っている人たちは、まだ談笑を続けているので、もう少し時間がありそうだった。
「で、何のお話ですか?」
会場の端のほうに避けてから、早速尋ねてみると、お姉様は両手を合わせて言った。
「お願いよ。ラナリー、あなたの居場所を私に譲って! ローク殿下に婚約破棄されてから、両親の態度がとても冷たいの。お兄様は奉仕活動を頑張ればいいって言うけど、もう、限界よ! だからね、私がルラン様の妻になるわ。あなたの居場所に私がおさまったら、また両親も優しくしてくれると思うのよ」
この人、何を寝ぼけたことを言っているのかしら。
ルラン様に婚約破棄されたことをすっかり忘れているらしい。
「嫌です」
きっぱりとお断りすると、お姉様がしつこくお願いしてくる。
「そんな冷たいことを言わないでよ。もう二度と、猫をどうかしようとしたりしないから」
さて、近くに人もいないことだし、腕を伸ばしてきたら、その腕を掴んで……と考えていた時、騒がしかった会場が一瞬にして静まり返った。
壇上を見ると、シュティル様が現れたところだった。
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