24 / 24
23. 神との会話
しおりを挟む
フィーンドとの一件の次の日の朝、リリアナは祈りの間に来ていた。
昨日は、行方がわからなくなった神官の姿が、いつになっても見つからなかった事と、アッシュの両親との初顔合わせもあった為、祈りの間に行かなければいけないと思った時には、すでに夜も遅かった。
夜遅い時間には失礼かもしれないと思い、リリアナは1人で早朝に祈りの間に来る事にしたのだ。
フィーンドと一緒に消えた、リリアナに冷たい態度を取った神官は、結局は見つからなかった。
彼女がどこに消えたのか知りたかったという事もあり、リリアナは聖女像の前で膝をついた。
(お礼が遅くなり申し訳ございませんでした。オーブリー達の目を覚まさせていただき、ありがとうございます)
口には出さずに、頭の中でそう思うと、答えが返ってくる。
『お疲れさまでした。あなたを試すような事をしてしまい、申し訳ない事をしたと思っています』
(試す?)
『ええ。あの独房に入れる事により、あなたが本当に聖女にふさわしいのか確認をしたのです』
(そ、そうだったんですか。でも、聖女様の日記を読んだから何とかなりましたし、良しという事で…)
そこから、リリアナは神官の行方の事を尋ねると、神は悲しげな声で告げた。
『彼女は邪神の使いになりました。フィーンドに唆されたのです』
(そんな…!)
『いつかまた、あなたの前に現れる事があるかもしれません。その時には…』
(大丈夫です。邪神の使いなんかに騙されたりしません)
『ありがとう、リリアナ。あなたにはたくさん謝らないといけない事があります』
(神様が謝られる事なんてありません…!)
『いいえ。アッシュの事では特に謝らないといけません』
(アッシュの事ですか? もしかして、アッシュが3の数字を持つ聖騎士様なのに教えてくれないって事ですか?)
姿は見えないが、リリアナからの問いかけに、神は一瞬、驚いた様に間をおいてから呟く様に言う。
『気付いていたのですね…』
(気付かないわけないですよね。アッシュは色々と知りすぎてました。何度聞いても答えてくれなかったので、何か理由があるのかなって。それに、正直、素直に言われても困っていたのもあると思います)
『……どうしてです?』
(だって、アッシュって王太子じゃないですか。そんな人に気軽に話しかけられないです。それに、3の数字を持つ聖騎士様だからって私と結婚しないといけないって決められてるのは可哀想じゃないですか)
『あのね、リリアナ、アッシュはあなたの事を…』
そこまで言った所で、リリアナの頭の中で、耳に心地よい低い声が聞こえた。
『やめておけ。そこまで干渉してはいけない』
『ですが、このままではリリアナは勘違いしたままなのでは…?』
『そこはアッシュに任せよう。我らが首を突っ込んでよいものではない』
『そ、そうね。だけど、隠せと言ったのはあなたよ。最初から伝えるようにさせておけば…』
神様同士が会話しているのを聞いて、リリアナは呑気な事を考える。
(神様って1人かと思っていたけれど、そうじゃないのね)
そんなリリアナの考えが聞こえてしまったのか、珍しく慌てた女神の声が返ってきた。
『ごめんなさいね、リリアナ』
(いいえ。あの、お願いがあるんですが、アッシュには私に正体を明かす事を急かさないで下さい)
『…わかったわ。あなたもまだ、彼の口から聞きたくみたいだから』
(だって、3の数字を持つ聖騎士様と結婚するとかいう話をしていたんですから、何だか恥ずかしいじゃないですか。アッシュの事だから本当に私を嫁にしようとするかもしれませんし、アッシュなら私よりも良い人が絶対に見つかりますから、その人と幸せになってもらわないと)
『何だか、アッシュに申し訳なくなってきたわ』
『リリアナの事はアッシュに任せればいい。下手に我らが口出しすればするほど、リリアナに逃げ場がなくなる。彼女にだって選ぶ権利があるのだから』
『そうね、わかったわ…』
『それよりもリリアナ、今回の事はご苦労だった。これからも邪神の使いは聖女や聖騎士達だけでなく、善良な民を闇に落とし、我らの力を削ごうとするだろう。苦労をかけるが、これからも他の聖女達と力を合わせて、罪なき人達が平和に暮らせる様に尽力してほしい』
神からの願いに、リリアナは閉じていた目を開けて、聖女像と聖騎士像を見上げて声に出して応えた。
「出来る範囲になりますが、頑張らせていただきます!」
結局、オーブリーやカトリーヌは聖女の力は使えるものの以前の様には使えなくなった。
しかし、チャンスが与えられていて、禊を済ませれば、少しずつだが力が戻っていくとの事だった。
オーブリーは元夫に謝りに行き、子供達とは月に1回会う事が可能になった。
しかし、また同じ様に道を踏み外す事があれば、今度こそ、二度と子供達に会えなくなる事に決まった。
オーブリーは不倫はしてしまったが、神からの警告もあり、弱まっていた聖女の力が少しずつ戻っていく事により、邪神に対して抵抗する力もついた為、子供が自分にとって一番大事である事、そして今まで支えてくれた夫に対しての申し訳無さが芽生えていったようだった。
カトリーヌとトールは2人共単純な為、神様に叱責され素直に反省し、学園から帰ると教会内の掃除をしている。
リリアナにとって一番面倒だったのはフェナンだった。
フェナンはリリアナと、再度婚約したいと迫ってきたのだ。
もちろん、そんな事を言われたリリアナは腹を立てて、近付いてきたフェナンに平手打ちをして断った。
フェナンはショックを受けて崩れ落ちたし、リリアナも暴力をふるったことに対しては謝ったが、それくらい嫌なのだという事をフェナンに伝えたところ、彼も諦めたようで、オーブリーの元夫や子供達に謝罪をし、公爵令嬢との婚約を進める事に決めた。
そして、リリアナとアッシュの関係は、30日以上経っても相変わらずだった。
アッシュはリリアナと2人になるタイミングがあれば、自分が聖騎士である話をしようとするのだが、なぜかタイミング悪く話をしようとしたところで誰かが来たり、魔物が侵入してきたという連絡が入ったりで伝える事が出来なかったのだ。
「何でだ。まさか、神様のせいか…?」
「どうかしたの?」
もう何度目かになるかわからないチャンスを潰されたアッシュがリリアナを連れて、結界が破られたという場所に転移してから呟いたので、リリアナが尋ねると、アッシュは真剣な表情で口を開く。
「あのさ、リリアナ」
「おい、お前ら何してんだ! 早く来てくれ!」
トールの呼び声にリリアナが振り返って返事をする。
「ちょっと待って! ごめん、アッシュ! 急ぎの用事?」
「結界を張る方が急ぎだから、今はいい」
アッシュは苦虫を噛み潰したような顔をして首を横に振った後、リリアナを促す。
「行くぞ!」
「うん!」
走り出したアッシュの後を追って、リリアナも駆け出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただき、本当にありがとうございました!
エールも励みになりました。ありがとうございました!
リリアナとアッシュの恋の行方を番外編として、のんびり書いていこうかと思っておりますので、番外編開始までは完結表示とさせていただきます。
本日から新作「私にだって幸せになる権利はあるはずです!」を投稿開始いたしました。
ご興味ありましたら、読んでいただけますと幸せです。
昨日は、行方がわからなくなった神官の姿が、いつになっても見つからなかった事と、アッシュの両親との初顔合わせもあった為、祈りの間に行かなければいけないと思った時には、すでに夜も遅かった。
夜遅い時間には失礼かもしれないと思い、リリアナは1人で早朝に祈りの間に来る事にしたのだ。
フィーンドと一緒に消えた、リリアナに冷たい態度を取った神官は、結局は見つからなかった。
彼女がどこに消えたのか知りたかったという事もあり、リリアナは聖女像の前で膝をついた。
(お礼が遅くなり申し訳ございませんでした。オーブリー達の目を覚まさせていただき、ありがとうございます)
口には出さずに、頭の中でそう思うと、答えが返ってくる。
『お疲れさまでした。あなたを試すような事をしてしまい、申し訳ない事をしたと思っています』
(試す?)
『ええ。あの独房に入れる事により、あなたが本当に聖女にふさわしいのか確認をしたのです』
(そ、そうだったんですか。でも、聖女様の日記を読んだから何とかなりましたし、良しという事で…)
そこから、リリアナは神官の行方の事を尋ねると、神は悲しげな声で告げた。
『彼女は邪神の使いになりました。フィーンドに唆されたのです』
(そんな…!)
『いつかまた、あなたの前に現れる事があるかもしれません。その時には…』
(大丈夫です。邪神の使いなんかに騙されたりしません)
『ありがとう、リリアナ。あなたにはたくさん謝らないといけない事があります』
(神様が謝られる事なんてありません…!)
『いいえ。アッシュの事では特に謝らないといけません』
(アッシュの事ですか? もしかして、アッシュが3の数字を持つ聖騎士様なのに教えてくれないって事ですか?)
姿は見えないが、リリアナからの問いかけに、神は一瞬、驚いた様に間をおいてから呟く様に言う。
『気付いていたのですね…』
(気付かないわけないですよね。アッシュは色々と知りすぎてました。何度聞いても答えてくれなかったので、何か理由があるのかなって。それに、正直、素直に言われても困っていたのもあると思います)
『……どうしてです?』
(だって、アッシュって王太子じゃないですか。そんな人に気軽に話しかけられないです。それに、3の数字を持つ聖騎士様だからって私と結婚しないといけないって決められてるのは可哀想じゃないですか)
『あのね、リリアナ、アッシュはあなたの事を…』
そこまで言った所で、リリアナの頭の中で、耳に心地よい低い声が聞こえた。
『やめておけ。そこまで干渉してはいけない』
『ですが、このままではリリアナは勘違いしたままなのでは…?』
『そこはアッシュに任せよう。我らが首を突っ込んでよいものではない』
『そ、そうね。だけど、隠せと言ったのはあなたよ。最初から伝えるようにさせておけば…』
神様同士が会話しているのを聞いて、リリアナは呑気な事を考える。
(神様って1人かと思っていたけれど、そうじゃないのね)
そんなリリアナの考えが聞こえてしまったのか、珍しく慌てた女神の声が返ってきた。
『ごめんなさいね、リリアナ』
(いいえ。あの、お願いがあるんですが、アッシュには私に正体を明かす事を急かさないで下さい)
『…わかったわ。あなたもまだ、彼の口から聞きたくみたいだから』
(だって、3の数字を持つ聖騎士様と結婚するとかいう話をしていたんですから、何だか恥ずかしいじゃないですか。アッシュの事だから本当に私を嫁にしようとするかもしれませんし、アッシュなら私よりも良い人が絶対に見つかりますから、その人と幸せになってもらわないと)
『何だか、アッシュに申し訳なくなってきたわ』
『リリアナの事はアッシュに任せればいい。下手に我らが口出しすればするほど、リリアナに逃げ場がなくなる。彼女にだって選ぶ権利があるのだから』
『そうね、わかったわ…』
『それよりもリリアナ、今回の事はご苦労だった。これからも邪神の使いは聖女や聖騎士達だけでなく、善良な民を闇に落とし、我らの力を削ごうとするだろう。苦労をかけるが、これからも他の聖女達と力を合わせて、罪なき人達が平和に暮らせる様に尽力してほしい』
神からの願いに、リリアナは閉じていた目を開けて、聖女像と聖騎士像を見上げて声に出して応えた。
「出来る範囲になりますが、頑張らせていただきます!」
結局、オーブリーやカトリーヌは聖女の力は使えるものの以前の様には使えなくなった。
しかし、チャンスが与えられていて、禊を済ませれば、少しずつだが力が戻っていくとの事だった。
オーブリーは元夫に謝りに行き、子供達とは月に1回会う事が可能になった。
しかし、また同じ様に道を踏み外す事があれば、今度こそ、二度と子供達に会えなくなる事に決まった。
オーブリーは不倫はしてしまったが、神からの警告もあり、弱まっていた聖女の力が少しずつ戻っていく事により、邪神に対して抵抗する力もついた為、子供が自分にとって一番大事である事、そして今まで支えてくれた夫に対しての申し訳無さが芽生えていったようだった。
カトリーヌとトールは2人共単純な為、神様に叱責され素直に反省し、学園から帰ると教会内の掃除をしている。
リリアナにとって一番面倒だったのはフェナンだった。
フェナンはリリアナと、再度婚約したいと迫ってきたのだ。
もちろん、そんな事を言われたリリアナは腹を立てて、近付いてきたフェナンに平手打ちをして断った。
フェナンはショックを受けて崩れ落ちたし、リリアナも暴力をふるったことに対しては謝ったが、それくらい嫌なのだという事をフェナンに伝えたところ、彼も諦めたようで、オーブリーの元夫や子供達に謝罪をし、公爵令嬢との婚約を進める事に決めた。
そして、リリアナとアッシュの関係は、30日以上経っても相変わらずだった。
アッシュはリリアナと2人になるタイミングがあれば、自分が聖騎士である話をしようとするのだが、なぜかタイミング悪く話をしようとしたところで誰かが来たり、魔物が侵入してきたという連絡が入ったりで伝える事が出来なかったのだ。
「何でだ。まさか、神様のせいか…?」
「どうかしたの?」
もう何度目かになるかわからないチャンスを潰されたアッシュがリリアナを連れて、結界が破られたという場所に転移してから呟いたので、リリアナが尋ねると、アッシュは真剣な表情で口を開く。
「あのさ、リリアナ」
「おい、お前ら何してんだ! 早く来てくれ!」
トールの呼び声にリリアナが振り返って返事をする。
「ちょっと待って! ごめん、アッシュ! 急ぎの用事?」
「結界を張る方が急ぎだから、今はいい」
アッシュは苦虫を噛み潰したような顔をして首を横に振った後、リリアナを促す。
「行くぞ!」
「うん!」
走り出したアッシュの後を追って、リリアナも駆け出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お読みいただき、本当にありがとうございました!
エールも励みになりました。ありがとうございました!
リリアナとアッシュの恋の行方を番外編として、のんびり書いていこうかと思っておりますので、番外編開始までは完結表示とさせていただきます。
本日から新作「私にだって幸せになる権利はあるはずです!」を投稿開始いたしました。
ご興味ありましたら、読んでいただけますと幸せです。
88
お気に入りに追加
2,497
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。
当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。
しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。
最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。
それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。
婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。
だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。
これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。
釣り合わないと言われても、婚約者と別れる予定はありません
しろねこ。
恋愛
幼馴染と婚約を結んでいるラズリーは、学園に入学してから他の令嬢達によく絡まれていた。
曰く、婚約者と釣り合っていない、身分不相応だと。
ラズリーの婚約者であるファルク=トワレ伯爵令息は、第二王子の側近で、将来護衛騎士予定の有望株だ。背も高く、見目も良いと言う事で注目を浴びている。
対してラズリー=コランダム子爵令嬢は薬草学を専攻していて、外に出る事も少なく地味な見た目で華々しさもない。
そんな二人を周囲は好奇の目で見ており、時にはラズリーから婚約者を奪おうとするものも出てくる。
おっとり令嬢ラズリーはそんな周囲の圧力に屈することはない。
「釣り合わない? そうですか。でも彼は私が良いって言ってますし」
時に優しく、時に豪胆なラズリー、平穏な日々はいつ来るやら。
ハッピーエンド、両思い、ご都合主義なストーリーです。
ゆっくり更新予定です(*´ω`*)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
【1/23取り下げ予定】あなたたちに捨てられた私はようやく幸せになれそうです
gacchi
恋愛
伯爵家の長女として生まれたアリアンヌは妹マーガレットが生まれたことで育児放棄され、伯父の公爵家の屋敷で暮らしていた。一緒に育った公爵令息リオネルと婚約の約束をしたが、父親にむりやり伯爵家に連れて帰られてしまう。しかも第二王子との婚約が決まったという。貴族令嬢として政略結婚を受け入れようと覚悟を決めるが、伯爵家にはアリアンヌの居場所はなく、婚約者の第二王子にもなぜか嫌われている。学園の二年目、婚約者や妹に虐げられながらも耐えていたが、ある日呼び出されて婚約破棄と伯爵家の籍から外されたことが告げられる。修道院に向かう前にリオ兄様にお別れするために公爵家を訪ねると…… 書籍化のため1/23に取り下げ予定です。
わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑
岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。
もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。
本編終了しました。
聖女のわたしを隣国に売っておいて、いまさら「母国が滅んでもよいのか」と言われましても。
ふまさ
恋愛
「──わかった、これまでのことは謝罪しよう。とりあえず、国に帰ってきてくれ。次の聖女は急ぎ見つけることを約束する。それまでは我慢してくれないか。でないと国が滅びる。お前もそれは嫌だろ?」
出来るだけ優しく、テンサンド王国の第一王子であるショーンがアーリンに語りかける。ひきつった笑みを浮かべながら。
だがアーリンは考える間もなく、
「──お断りします」
と、きっぱりと告げたのだった。
妹に婚約者を奪われ、聖女の座まで譲れと言ってきたので潔く譲る事にしました。〜あなたに聖女が務まるといいですね?〜
雪島 由
恋愛
聖女として国を守ってきたマリア。
だが、突然妹ミアとともに現れた婚約者である第一王子に婚約を破棄され、ミアに聖女の座まで譲れと言われてしまう。
国を頑張って守ってきたことが馬鹿馬鹿しくなったマリアは潔くミアに聖女の座を譲って国を離れることを決意した。
「あ、そういえばミアの魔力量じゃ国を守護するの難しそうだけど……まぁなんとかするよね、きっと」
*この作品はなろうでも連載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる