52 / 57
少しだけスッキリしました
しおりを挟む
「誰がバカだよ!」
2人の話だと言ってるのに、案の定、レイブグル卿は話に割って入ってこようとする。
まあ、わかっていた事なので、それを無視して話を続ける。
「だって、どう考えてもおかしいじゃないですか。ラス様は公爵家の人間なのに、なんで伯爵家の人が偉そうにしてるんです? 意味わかんないですよ」
「ユーニさん?」
ラス様は私の意図がまだ読めてないのか、困惑した様子。
だけど、ラス様ならきっと気づいてくれるはず。
もし、レイブグル卿が私に暴言なり暴力をふるえば、すぐに私はユウヤくんに泣きつきにいけばいい。
いくらバカでも王族を敵に回してはいけない事くらいわかるだろう。
「あの人、じゃない、あの方、平民をバカにされてるようですけど、伯爵より公爵が偉いなんてこと、平民でもわかりますよ! なのにそんな事もわからないって事は、あの方は賢くないんですよ。だからラス様は、そんな人を相手にしなくていいと思うんです」
「それはもちろん、良識のない話をしてくる人間と話すほど無駄な時間はありませんけど」
「ですよね! なら、さっきの時間はラス様にしてみたら、本当に無駄な時間でしたね!」
「そう言われれば、そうなりますね」
ラス様は私の意図を理解してくれたらしく、少し笑顔を見せて言葉を続けた。
「それに、ユーニさんの事もご存知ないようですし。どうされます、ユーニさん? このまま許しても良いんですか?」
「そうですね、どうしましょうか。腹を立ててるのは確かなので、ユウヤくんを呼んで話をしましょうか?」
私もにっこり笑って問い返す。
すると、ユウヤくんの名前が出た途端、レイブグル卿の表情が変わった。
「口を慎め! 殿下の事を、くん、付けだなんて無礼にもほどがあるだろ! 不敬罪に当たるぞ!」
「あなたに言われたくないです。あなただって、次期公爵であるラス様にひどい口のききかたをされてたじゃないですか!」
「おい、どうした?!」
ユウヤくんはやはり私達の様子を見ていてくれたらしい。
急いでくれたのか、鍛練用の木刀を持ったまま駆けつけてくれた。
「殿下!」
「挨拶は不要だ。それより、ここでお前は何をしてる?」
ラス様に対しての態度とは全く違い、レイブグル卿はユウヤくんが現れた事に明らかに動揺している。
慌てて、持っていた酒瓶を後ろに隠すと、彼はユウヤくんの質問に答えた。
「イッシュバルド公爵のご令息が平民と一緒になって、私をバカにしてきたものでつい」
「からんできたのはそっちじゃないですか!」
「ユーニ」
ユウヤくんはレイブグル卿に言い返す私の手を取ると、目で訴えてきた。
今は黙っていた方が良いらしい。
私は素直に口を閉じる。
「ラス、今の言葉に対して反論は?」
「発言の許可をいただいても?」
「許可する」
ユウヤくんとラス様のやり取りがいつもとは違っていて、よそよそしさを感じる。
親しくない人の前では、ちゃんと上下関係を守っているんだと、改めて実感した。
「ユーニ様とお話させていただいていた際に、レイブグル卿がいらっしゃいまして、私とユーニ様が逢引をしていると誤解されたようでした」
「・・・・・・それで?」
「そうではないとお伝えしたところ、我が公爵家を侮辱する発言があり、ユーニ様が割って入ってくださりました。そして今の状態に至ります」
話を終えた、と言わんばかりに、ラス様が一礼して一歩後ろに下がる。
レイブグル卿は私の名前がユーニだという事はわかったようだけど、何者かはわからないんだろう。
私とユウヤくんを不安そうな目で交互に見つめてきた。
「ユウヤくん、話してもいい?」
「ああ」
「最初は私も黙って聞いてたんだけど、レイブグル卿は私達にからんできた時にひどかったんだよ!」
親密さをアピールするために、わざと敬語は使わずに話す。
「ラス様がちゃんと否定してくれたけど、私に手を出してるんじゃないか、って失礼な事を言ってきたの!」
「はあ?」
私の言葉を聞いて、ユウヤくんの声色が怒りのものに変わった。
「レイブグル卿」
「は、はい」
「彼女が誰かわかってるのか?」
「申し訳ございません! 存じ上げません!」
レイブグル卿が頭を下げると、ユウヤくんは私の肩を引き寄せて言った。
「彼女はオレの想い人だ」
「こ、この平民がですか?!」
レイブグル卿は驚きのせいか、後ろ手に持っていた酒瓶を落としたけど、その事などおかまいなしに続けた。
「まさか、そんな・・・・・」
「何か文句があるのか」
「とんでもありません! 何も知りませんでした。どうかお許しを!」
レイブグル卿は額を地面に付け、ユウヤくんに許しを請う。
ちょっといい気味だ。
ラス様をバカにした分、しっかり反省してほしい!
私はユウヤくんによりそったまま、心の中で舌を出す。
「どうしたい?」
すると、ユウヤくんが私に問いかけてきた。
どうしたいか、と言われると、やっぱり。
「ラス様に謝ってくれるなら、私は別にいいよ。平民なのは間違いないし」
そう答えると、ユウヤくんは私の左瞼にキスを落としてから、地に頭をつけたままのレイブグル卿に言った。
「聞こえたか」
「はい!」
威勢良い返事を返すと、レイブグル卿は立ち上がり、ラス様の前で頭を下げる。
「この度の無礼をお赦し願いたい」
「・・・・・」
ラス様は冷たい瞳でレイブグル卿を見つめたあと、口を開いた。
「今回の件は水に流しましょう」
「ありがとうございます。では、失礼いたします」
レイブグル卿は頭を上げると、悪びれた様子もなく、足元に転がっていた酒瓶をひろい、逃げるように去ろうとした。
けれど、なぜか足を止めてラス様の方に振り返り、声には出さずに口だけ動かした。
「・・・・・」
ラス様の表情が険しくなったのを確認すると、今度こそ、足を止めずに、この場を離れて行った。
「なんなの、あの人! ラス様に最後、何か言ってませんでした?」
「気にしなくて大丈夫です。でも、私がレイブグル家を嫌がる理由を少しは理解していただけましたか? あんな人間が親戚になるだなんて、真っ平御免です」
「う。それはそうですね」
そう言われてしまうと何とも言えなくなってしまう。
でも。
「ミランダ様はとても良い人なのに
「長男を甘やかしすぎた事に気が付いて、育て方を考え直したのかもしれませんね」
「あの様子だと、ラスの家の悪い噂を流したのはアイツかもしれねぇな」
「詳しく調べてみないとわかりませんが、その可能性も出てきました。また、仕事が増えましたよ」
ラス様は気を張っていたのか、眼鏡をなおしながら、大きなため息を吐いた。
「私、余計な事をしちゃいましたか? もしかして逆恨みされるかも」
「そうなった場合、ユーニさんにとってはある意味、好都合ですよ」
「どういう事ですか?」
「あの方が何かをやらかせば、あの方が責任をとるんですから」
「それはそうでしょうけど」
ラス様の言っている意味がわからず、助けを求めてユウヤくんを見上げる。
「ジンはミスってどうなった?」
「ジンさん? えっと、勘当された?」
「という事は?」
「レイブグル卿も何か問題を起こしたら、そう出来るってこと?!」
ユウヤくんのヒントで意味がわかった私は、答えが合っているかどうか確かめるため、今度はラス様の方に視線を向けた。
「そういう事です」
よくできました、と言わんばかりの笑みを浮かべて、ラス様が頷いた。
2人の話だと言ってるのに、案の定、レイブグル卿は話に割って入ってこようとする。
まあ、わかっていた事なので、それを無視して話を続ける。
「だって、どう考えてもおかしいじゃないですか。ラス様は公爵家の人間なのに、なんで伯爵家の人が偉そうにしてるんです? 意味わかんないですよ」
「ユーニさん?」
ラス様は私の意図がまだ読めてないのか、困惑した様子。
だけど、ラス様ならきっと気づいてくれるはず。
もし、レイブグル卿が私に暴言なり暴力をふるえば、すぐに私はユウヤくんに泣きつきにいけばいい。
いくらバカでも王族を敵に回してはいけない事くらいわかるだろう。
「あの人、じゃない、あの方、平民をバカにされてるようですけど、伯爵より公爵が偉いなんてこと、平民でもわかりますよ! なのにそんな事もわからないって事は、あの方は賢くないんですよ。だからラス様は、そんな人を相手にしなくていいと思うんです」
「それはもちろん、良識のない話をしてくる人間と話すほど無駄な時間はありませんけど」
「ですよね! なら、さっきの時間はラス様にしてみたら、本当に無駄な時間でしたね!」
「そう言われれば、そうなりますね」
ラス様は私の意図を理解してくれたらしく、少し笑顔を見せて言葉を続けた。
「それに、ユーニさんの事もご存知ないようですし。どうされます、ユーニさん? このまま許しても良いんですか?」
「そうですね、どうしましょうか。腹を立ててるのは確かなので、ユウヤくんを呼んで話をしましょうか?」
私もにっこり笑って問い返す。
すると、ユウヤくんの名前が出た途端、レイブグル卿の表情が変わった。
「口を慎め! 殿下の事を、くん、付けだなんて無礼にもほどがあるだろ! 不敬罪に当たるぞ!」
「あなたに言われたくないです。あなただって、次期公爵であるラス様にひどい口のききかたをされてたじゃないですか!」
「おい、どうした?!」
ユウヤくんはやはり私達の様子を見ていてくれたらしい。
急いでくれたのか、鍛練用の木刀を持ったまま駆けつけてくれた。
「殿下!」
「挨拶は不要だ。それより、ここでお前は何をしてる?」
ラス様に対しての態度とは全く違い、レイブグル卿はユウヤくんが現れた事に明らかに動揺している。
慌てて、持っていた酒瓶を後ろに隠すと、彼はユウヤくんの質問に答えた。
「イッシュバルド公爵のご令息が平民と一緒になって、私をバカにしてきたものでつい」
「からんできたのはそっちじゃないですか!」
「ユーニ」
ユウヤくんはレイブグル卿に言い返す私の手を取ると、目で訴えてきた。
今は黙っていた方が良いらしい。
私は素直に口を閉じる。
「ラス、今の言葉に対して反論は?」
「発言の許可をいただいても?」
「許可する」
ユウヤくんとラス様のやり取りがいつもとは違っていて、よそよそしさを感じる。
親しくない人の前では、ちゃんと上下関係を守っているんだと、改めて実感した。
「ユーニ様とお話させていただいていた際に、レイブグル卿がいらっしゃいまして、私とユーニ様が逢引をしていると誤解されたようでした」
「・・・・・・それで?」
「そうではないとお伝えしたところ、我が公爵家を侮辱する発言があり、ユーニ様が割って入ってくださりました。そして今の状態に至ります」
話を終えた、と言わんばかりに、ラス様が一礼して一歩後ろに下がる。
レイブグル卿は私の名前がユーニだという事はわかったようだけど、何者かはわからないんだろう。
私とユウヤくんを不安そうな目で交互に見つめてきた。
「ユウヤくん、話してもいい?」
「ああ」
「最初は私も黙って聞いてたんだけど、レイブグル卿は私達にからんできた時にひどかったんだよ!」
親密さをアピールするために、わざと敬語は使わずに話す。
「ラス様がちゃんと否定してくれたけど、私に手を出してるんじゃないか、って失礼な事を言ってきたの!」
「はあ?」
私の言葉を聞いて、ユウヤくんの声色が怒りのものに変わった。
「レイブグル卿」
「は、はい」
「彼女が誰かわかってるのか?」
「申し訳ございません! 存じ上げません!」
レイブグル卿が頭を下げると、ユウヤくんは私の肩を引き寄せて言った。
「彼女はオレの想い人だ」
「こ、この平民がですか?!」
レイブグル卿は驚きのせいか、後ろ手に持っていた酒瓶を落としたけど、その事などおかまいなしに続けた。
「まさか、そんな・・・・・」
「何か文句があるのか」
「とんでもありません! 何も知りませんでした。どうかお許しを!」
レイブグル卿は額を地面に付け、ユウヤくんに許しを請う。
ちょっといい気味だ。
ラス様をバカにした分、しっかり反省してほしい!
私はユウヤくんによりそったまま、心の中で舌を出す。
「どうしたい?」
すると、ユウヤくんが私に問いかけてきた。
どうしたいか、と言われると、やっぱり。
「ラス様に謝ってくれるなら、私は別にいいよ。平民なのは間違いないし」
そう答えると、ユウヤくんは私の左瞼にキスを落としてから、地に頭をつけたままのレイブグル卿に言った。
「聞こえたか」
「はい!」
威勢良い返事を返すと、レイブグル卿は立ち上がり、ラス様の前で頭を下げる。
「この度の無礼をお赦し願いたい」
「・・・・・」
ラス様は冷たい瞳でレイブグル卿を見つめたあと、口を開いた。
「今回の件は水に流しましょう」
「ありがとうございます。では、失礼いたします」
レイブグル卿は頭を上げると、悪びれた様子もなく、足元に転がっていた酒瓶をひろい、逃げるように去ろうとした。
けれど、なぜか足を止めてラス様の方に振り返り、声には出さずに口だけ動かした。
「・・・・・」
ラス様の表情が険しくなったのを確認すると、今度こそ、足を止めずに、この場を離れて行った。
「なんなの、あの人! ラス様に最後、何か言ってませんでした?」
「気にしなくて大丈夫です。でも、私がレイブグル家を嫌がる理由を少しは理解していただけましたか? あんな人間が親戚になるだなんて、真っ平御免です」
「う。それはそうですね」
そう言われてしまうと何とも言えなくなってしまう。
でも。
「ミランダ様はとても良い人なのに
「長男を甘やかしすぎた事に気が付いて、育て方を考え直したのかもしれませんね」
「あの様子だと、ラスの家の悪い噂を流したのはアイツかもしれねぇな」
「詳しく調べてみないとわかりませんが、その可能性も出てきました。また、仕事が増えましたよ」
ラス様は気を張っていたのか、眼鏡をなおしながら、大きなため息を吐いた。
「私、余計な事をしちゃいましたか? もしかして逆恨みされるかも」
「そうなった場合、ユーニさんにとってはある意味、好都合ですよ」
「どういう事ですか?」
「あの方が何かをやらかせば、あの方が責任をとるんですから」
「それはそうでしょうけど」
ラス様の言っている意味がわからず、助けを求めてユウヤくんを見上げる。
「ジンはミスってどうなった?」
「ジンさん? えっと、勘当された?」
「という事は?」
「レイブグル卿も何か問題を起こしたら、そう出来るってこと?!」
ユウヤくんのヒントで意味がわかった私は、答えが合っているかどうか確かめるため、今度はラス様の方に視線を向けた。
「そういう事です」
よくできました、と言わんばかりの笑みを浮かべて、ラス様が頷いた。
12
お気に入りに追加
785
あなたにおすすめの小説
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
王太子殿下の小夜曲
緑谷めい
恋愛
私は侯爵家令嬢フローラ・クライン。私が初めてバルド王太子殿下とお会いしたのは、殿下も私も共に10歳だった春のこと。私は知らないうちに王太子殿下の婚約者候補になっていた。けれど婚約者候補は私を含めて4人。その中には私の憧れの公爵家令嬢マーガレット様もいらっしゃった。これはもう出来レースだわ。王太子殿下の婚約者は完璧令嬢マーガレット様で決まりでしょ! 自分はただの数合わせだと確信した私は、とてもお気楽にバルド王太子殿下との顔合わせに招かれた王宮へ向かったのだが、そこで待ち受けていたのは……!? フローラの明日はどっちだ!?
役立たずのお飾り令嬢だと婚約破棄されましたが、田舎で幼馴染領主様を支えて幸せに暮らします
水都 ミナト
恋愛
伯爵令嬢であるクリスティーナは、婚約者であるフィリップに「役立たずなお飾り令嬢」と蔑まれ、婚約破棄されてしまう。
事業が波に乗り調子付いていたフィリップにうんざりしていたクリスティーヌは快く婚約解消を受け入れ、幼い頃に頻繁に遊びに行っていた田舎のリアス領を訪れることにする。
かつては緑溢れ、自然豊かなリアスの地は、土地が乾いてすっかり寂れた様子だった。
そこで再会したのは幼馴染のアルベルト。彼はリアスの領主となり、リアスのために奔走していた。
クリスティーナは、彼の力になるべくリアスの地に残ることにするのだが…
★全7話★
※なろう様、カクヨム様でも公開中です。
わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
※完結しました。
離婚約――それは離婚を約束した結婚のこと。
王太子アルバートの婚約披露パーティーで目にあまる行動をした、社交界でも噂の毒女クラリスは、辺境伯ユージーンと結婚するようにと国王から命じられる。
アルバートの側にいたかったクラリスであるが、国王からの命令である以上、この結婚は断れない。
断れないのはユージーンも同じだったようで、二人は二年後の離婚を前提として結婚を受け入れた――はずなのだが。
毒女令嬢クラリスと女に縁のない辺境伯ユージーンの、離婚前提の結婚による空回り恋愛物語。
※以前、短編で書いたものを長編にしたものです。
※蛇が出てきますので、苦手な方はお気をつけください。
婚約破棄されたら騎士様に彼女のフリをして欲しいと頼まれました。
屋月 トム伽
恋愛
「婚約を破棄して欲しい。」
そう告げたのは、婚約者のハロルド様だ。
ハロルド様はハーヴィ伯爵家の嫡男だ。
私の婚約者のはずがどうやら妹と結婚したいらしい。
いつも人のものを欲しがる妹はわざわざ私の婚約者まで欲しかったようだ。
「ラケルが俺のことが好きなのはわかるが、妹のメイベルを好きになってしまったんだ。」
「お姉様、ごめんなさい。」
いやいや、好きだったことはないですよ。
ハロルド様と私は政略結婚ですよね?
そして、婚約破棄の書面にサインをした。
その日から、ハロルド様は妹に会いにしょっちゅう邸に来る。
はっきり言って居心地が悪い!
私は邸の庭の平屋に移り、邸の生活から出ていた。
平屋は快適だった。
そして、街に出た時、花屋さんが困っていたので店番を少しの時間だけした時に男前の騎士様が花屋にやってきた。
滞りなく接客をしただけが、翌日私を訪ねてきた。
そして、「俺の彼女のフリをして欲しい。」と頼まれた。
困っているようだし、どうせ暇だし、あまりの真剣さに、彼女のフリを受け入れることになったが…。
小説家になろう様でも投稿しています!
4/11、小説家になろう様にて日間ランキング5位になりました。
→4/12日間ランキング3位→2位→1位
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
つかれやすい殿下のために掃除婦として就くことになりました
樹里
恋愛
社交界デビューの日。
訳も分からずいきなり第一王子、エルベルト・フォンテーヌ殿下に挨拶を拒絶された子爵令嬢のロザンヌ・ダングルベール。
後日、謝罪をしたいとのことで王宮へと出向いたが、そこで知らされた殿下の秘密。
それによって、し・か・た・な・く彼の掃除婦として就いたことから始まるラブファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる