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25 不用品
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それからは修羅場だった。
「ヤバス。あなた、話を聞いたけれど、一体どういうことなの?」
「ど、どういうことかと言われましても」
「あなたは奥さんに興味がなくて近いうちに離婚するつもりだと言っていたわよね!? それなのに、他に女性がいたですって!? 他の女にも同じようなことを言っていたんじゃないでしょうね!?」
「それは、その誤解でして」
「誤解ですって? ふざけたことを言わないでちょうだい!」
第二王女殿下は金色のストレートの長い髪を揺らし、青色の瞳を連れてきていた騎士に向けて命令する。
「ヤバスを王城に連れていって」
「承知しました」
「そんな! お待ちください! 僕には愛人なんていませんでした! 他に女がいたなんて嘘です!」
「あら。愛人ではないのに、この屋敷に住まわせていたんですか」
離婚届を大事に胸に抱えて、ヤバス様に問いかけた。
「シア! こんな時にふざけないでくれ! なんてことを言うんだ!」
「ふざけてるのはあなたよ!」
第二王女殿下は可愛らしい顔を歪めて叫んだ。
それと同時に二人の騎士が両側からヤバス様の腕を掴み「城までご同行願います」と告げた。
「ぼ、僕はどうなるんですか」
「決めるのはお父様よ。今回の件、既婚者なのに私と関係を持ったということで、とても怒っていらっしゃるわ」
第二王女殿下はそう言ったあと、私のほうに目を向ける。
「妻がいる男性と関係を持ったとして、私もお父様に怒られているわ。あなたに申し訳ないと伝えてほしいとも言われているの。このことについては慰謝料をお支払するつもりよ。その代わり、申し訳ないけれど、このことは表沙汰にしないでちょうだい」
「離婚理由は愛人や義母の件で、ということにすればよろしいのですね」
私が尋ねると、第二王女殿下は驚いた顔をして聞いてくる。
「本当に離婚するつもりなの?」
「逆に結婚生活を続ける理由が見つかりません」
騎士に引きずられていくヤバス様の背中を見ながら答えると、第二王女殿下は失笑して頷く。
「そうね。そうかもしれないわ。とにかく、早いうちにお金はお支払いするわ。申し訳ないけれど、後日、王城まで来てくれない? 約束を取り付ける必要はないわ。あなたの都合の良い時に来てちょうだい」
「王女殿下のお気遣いに感謝いたします」
深々と頭を下げてから頭を上げると、第二王女殿下は頭は下げないけれど謝ってくる。
「あなたの夫を奪うような真似をしてごめんなさいね」
「いいえ。不用品だと思っておりましたから」
「そう」
第二王女殿下は笑いをこらえきれずに噴き出すと、笑顔で言う。
「そう言ってもらえると助かるわ。悪いことをしたということは自覚しているのよ。でも、私にとってはヤバスは魅力的だったの」
「そうでしたか」
第二王女殿下のしたことはやってはいけないことだ。
だから、曖昧な言葉しか返せない。
「ヤバスのことは任せてちょうだい。私とお父様が可愛がってあげるつもりだから」
「不倫のことは話さないようにとのことでしたが、お任せしてよろしいのですか? それにこちらに今、来られている理由も何とおっしゃるつもりなのでしょう」
「ここにいる理由はヤバスと交流があった私は彼の行いを聞いて叱りに来たということにするわ。王城に連れて帰る理由はまた別のものを考えているから、こちらに任せてちょうだい」
第二王女殿下はそう言うと、くるりと踵を返して私たちの前から去っていった。
※
次の話でラストになります。
バニャ、ヤバスのその後。
それから、シアたちのその後で終わりです。
もう少しだけお付き合いくださいませ。
「ヤバス。あなた、話を聞いたけれど、一体どういうことなの?」
「ど、どういうことかと言われましても」
「あなたは奥さんに興味がなくて近いうちに離婚するつもりだと言っていたわよね!? それなのに、他に女性がいたですって!? 他の女にも同じようなことを言っていたんじゃないでしょうね!?」
「それは、その誤解でして」
「誤解ですって? ふざけたことを言わないでちょうだい!」
第二王女殿下は金色のストレートの長い髪を揺らし、青色の瞳を連れてきていた騎士に向けて命令する。
「ヤバスを王城に連れていって」
「承知しました」
「そんな! お待ちください! 僕には愛人なんていませんでした! 他に女がいたなんて嘘です!」
「あら。愛人ではないのに、この屋敷に住まわせていたんですか」
離婚届を大事に胸に抱えて、ヤバス様に問いかけた。
「シア! こんな時にふざけないでくれ! なんてことを言うんだ!」
「ふざけてるのはあなたよ!」
第二王女殿下は可愛らしい顔を歪めて叫んだ。
それと同時に二人の騎士が両側からヤバス様の腕を掴み「城までご同行願います」と告げた。
「ぼ、僕はどうなるんですか」
「決めるのはお父様よ。今回の件、既婚者なのに私と関係を持ったということで、とても怒っていらっしゃるわ」
第二王女殿下はそう言ったあと、私のほうに目を向ける。
「妻がいる男性と関係を持ったとして、私もお父様に怒られているわ。あなたに申し訳ないと伝えてほしいとも言われているの。このことについては慰謝料をお支払するつもりよ。その代わり、申し訳ないけれど、このことは表沙汰にしないでちょうだい」
「離婚理由は愛人や義母の件で、ということにすればよろしいのですね」
私が尋ねると、第二王女殿下は驚いた顔をして聞いてくる。
「本当に離婚するつもりなの?」
「逆に結婚生活を続ける理由が見つかりません」
騎士に引きずられていくヤバス様の背中を見ながら答えると、第二王女殿下は失笑して頷く。
「そうね。そうかもしれないわ。とにかく、早いうちにお金はお支払いするわ。申し訳ないけれど、後日、王城まで来てくれない? 約束を取り付ける必要はないわ。あなたの都合の良い時に来てちょうだい」
「王女殿下のお気遣いに感謝いたします」
深々と頭を下げてから頭を上げると、第二王女殿下は頭は下げないけれど謝ってくる。
「あなたの夫を奪うような真似をしてごめんなさいね」
「いいえ。不用品だと思っておりましたから」
「そう」
第二王女殿下は笑いをこらえきれずに噴き出すと、笑顔で言う。
「そう言ってもらえると助かるわ。悪いことをしたということは自覚しているのよ。でも、私にとってはヤバスは魅力的だったの」
「そうでしたか」
第二王女殿下のしたことはやってはいけないことだ。
だから、曖昧な言葉しか返せない。
「ヤバスのことは任せてちょうだい。私とお父様が可愛がってあげるつもりだから」
「不倫のことは話さないようにとのことでしたが、お任せしてよろしいのですか? それにこちらに今、来られている理由も何とおっしゃるつもりなのでしょう」
「ここにいる理由はヤバスと交流があった私は彼の行いを聞いて叱りに来たということにするわ。王城に連れて帰る理由はまた別のものを考えているから、こちらに任せてちょうだい」
第二王女殿下はそう言うと、くるりと踵を返して私たちの前から去っていった。
※
次の話でラストになります。
バニャ、ヤバスのその後。
それから、シアたちのその後で終わりです。
もう少しだけお付き合いくださいませ。
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