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18 国際指名手配犯
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離婚届を手で破ることを諦めたヤバス様は、ハサミで切ろうとしたり火で燃やそうとしたりしたけれど無駄だった。
最終的にヤバス様は紙をぐちゃぐちゃにして丸めて、ゴミ箱に入れた。
でも、一瞬で綺麗になった状態で彼の手の中に戻ってきた。
「どうなっているんだ!? これは魔法のせいなのか?」
ヤバス様は離婚届をまた丸めて床に放り投げると、両手で顔を覆って叫んだ。
紙は今度はふわりと浮き上がり、ヤバス様の着ている上着のポケットに勝手に四つ折りになって入っていった。
その光景を見ていないヤバス様は、指と指の間から床を見て、離婚届がなくなっていることに気がつくと、両腕を上げて喜んだ。
「やった! なくなったぞ!」
ヤバス様はそう言って、私を見つめる。
「悪いがシア、これは離婚しなくても良いということだ。何度でも持ってきていいよ。その度に、僕は君への愛を証明してみせよう」
「結構です」
「恥ずかしがらなくて良い。ああ、そうだ。僕は仕事の途中だったんだ。今はもう戻るよ。夜に改めて話をしよう」
ご機嫌な様子でヤバス様は執務室に向かって歩いていった。
「厄介な方に捕まりましたわね。しかも、本人がしたことではありませんが、彼を嫌いにならないようにする魔道具まで使われていただなんて」
ミラさんが「お気の毒に」と呟いて、私を見つめてきた。
「何とかして別れたいんですけれど、どうにもならないのでしょうか」
「大丈夫ですわ。鑑定にかける人形は魔力の痕跡がしっかり残っておりますから、鑑定魔法をかければ必ずわかります。その時にはバニャさんは捕まることになるでしょう。それを理由に離婚を迫っても良いかと思われます」
「ありがとうございます。何とか頑張ってみます」
頷くと、ミラ様が両拳を握りしめて応援してくれる。
「離婚なさるまでは私がボディーガードをいたしますわ。それから何とかして、シア様の旦那様に離婚届を書いてもらうようにお手伝いいたします」
「どうしてそこまでしてくださるんですか?」
「魔道士が悪いことをしたのですから、それくらいはさせていただきますわ」
マジルカ王国にしか魔道士はいないから、責任を感じてくれているのね。
申し訳ない気もするけれど、お言葉に甘えることにする。
「私のほうとしては助かるわ。ありがとう」
お礼を言うと、ミラさんは満面の笑みを浮かべて首を横に振った。
ディード様たちはその後、ミラさんを置いてマジルカ王国に帰って行った。
そして次の日、魔法でミラさん宛に手紙が送られてきた。
そこには鑑定魔法で違法行為が認められ、バニャ様とバニャ様に魔道具を売った人間、そして、魔道具に魔法をかけた魔道士を捕まえると書かれていた。
バニャ様は昨日の間に、持てるだけの荷物を持って馬車で逃げ、途中で馬車を乗り換えていることまではわかっている。
ミラさんがバニャ様が逃げていることを改めて報告してくれると、バニャ様は国際指名手配犯になったのだった。
最終的にヤバス様は紙をぐちゃぐちゃにして丸めて、ゴミ箱に入れた。
でも、一瞬で綺麗になった状態で彼の手の中に戻ってきた。
「どうなっているんだ!? これは魔法のせいなのか?」
ヤバス様は離婚届をまた丸めて床に放り投げると、両手で顔を覆って叫んだ。
紙は今度はふわりと浮き上がり、ヤバス様の着ている上着のポケットに勝手に四つ折りになって入っていった。
その光景を見ていないヤバス様は、指と指の間から床を見て、離婚届がなくなっていることに気がつくと、両腕を上げて喜んだ。
「やった! なくなったぞ!」
ヤバス様はそう言って、私を見つめる。
「悪いがシア、これは離婚しなくても良いということだ。何度でも持ってきていいよ。その度に、僕は君への愛を証明してみせよう」
「結構です」
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「大丈夫ですわ。鑑定にかける人形は魔力の痕跡がしっかり残っておりますから、鑑定魔法をかければ必ずわかります。その時にはバニャさんは捕まることになるでしょう。それを理由に離婚を迫っても良いかと思われます」
「ありがとうございます。何とか頑張ってみます」
頷くと、ミラ様が両拳を握りしめて応援してくれる。
「離婚なさるまでは私がボディーガードをいたしますわ。それから何とかして、シア様の旦那様に離婚届を書いてもらうようにお手伝いいたします」
「どうしてそこまでしてくださるんですか?」
「魔道士が悪いことをしたのですから、それくらいはさせていただきますわ」
マジルカ王国にしか魔道士はいないから、責任を感じてくれているのね。
申し訳ない気もするけれど、お言葉に甘えることにする。
「私のほうとしては助かるわ。ありがとう」
お礼を言うと、ミラさんは満面の笑みを浮かべて首を横に振った。
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バニャ様は昨日の間に、持てるだけの荷物を持って馬車で逃げ、途中で馬車を乗り換えていることまではわかっている。
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