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32 「よろしいですわよね」
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ロニナに事情を話し、私がジュリエッタの食事を作っている間に、フェイク様に話をしに行ってもらった。
側妃になったんだから、覚悟を決めろと言われそうだけど、私にだってプライドはある。
あんなことを言われた相手に、そう簡単に食われてたまるものですか。
そう思いながら料理をしていると、話を聞いたイエーヌ様が訴えてくる。
「ねえ! わたしが邪魔をして差し上げても良いわよ。皇帝陛下との夜をあなたに味あわせたくないもの」
「それは助かりますけど、邪魔というのは、どんなことをするおつもりですか?」
「まあ、見ていなさいよ」
イエーヌ様は意地の悪そうな笑みを浮かべて言うと、私の返事は待たずに今日のレシピを説明してもらうために、料理長の元へと向かっていった。
ジュリエッタも何か手を打とうとしていたみたいだし、どんなことになるのか、少しだけ楽しみだわ。
……と、人任せじゃなく私もしっかり考えないといけないわ。
******
その日の夜、フェイク様から届いた手紙を読み終えて段取りを整えた私は、イエーヌ様たちと一緒に宮殿へと向かった。
ジュリエッタとは現地集合になっている。
宮殿の入り口で私たちを迎えた、皇帝陛下のメイドは予想外だったのか目を丸くしたけれど、皇帝陛下の命令通りに私たちを皇帝陛下のプライベートルームまで案内してくれた。
やって来た私たちを見て驚いた反応はジュリエッタや皇帝陛下のほうが大きかった。
「何なの、大勢で!」
「どうして他の側妃までいるんだ?」
皇帝陛下は私の後ろに立つ側妃たちを見て叫ぶ。
「オレは何も聞いていないぞ!」
「イエーヌ様にお話しましたら、他の方たちも陛下のお部屋が見たいそうです。よろしいですわよね」
あの後、フェイク様に調べてもらったところ、陛下の部屋から、メイドの格好をした女性が出て来たとのことだった。
彼女は地下に連れて行かれたそうだけど、そこには牢屋しかないらしいから、ジーナリア様をそちらに移動させたのでしょう。
牢屋に続く扉の前には屈強な兵士が立っているので、理由なく牢屋を見に行くことはできない。
でも、いつまでも隠し通すことはできないはずだ。
それに皇帝陛下本人が一人で部屋を片付けたそうだから、ジーナリア様がいたとわかる何かが残っているはずだわ。
イエーヌ様以外の他の側妃たちも陛下のことを疑っている。
皇帝陛下には私たちの証拠集めに付き合ってもらいましょう。
「……これからは事前に連絡を入れろ」
「連絡を入れましたが、フットマンは陛下から話を聞いている暇はない。勝手にしろと言われたそうですわ」
「……これからは用件を先に言えと伝えておけ」
陛下は悔しそうな顔をすると、渋々といった様子で部屋の扉を開けた。
側妃になったんだから、覚悟を決めろと言われそうだけど、私にだってプライドはある。
あんなことを言われた相手に、そう簡単に食われてたまるものですか。
そう思いながら料理をしていると、話を聞いたイエーヌ様が訴えてくる。
「ねえ! わたしが邪魔をして差し上げても良いわよ。皇帝陛下との夜をあなたに味あわせたくないもの」
「それは助かりますけど、邪魔というのは、どんなことをするおつもりですか?」
「まあ、見ていなさいよ」
イエーヌ様は意地の悪そうな笑みを浮かべて言うと、私の返事は待たずに今日のレシピを説明してもらうために、料理長の元へと向かっていった。
ジュリエッタも何か手を打とうとしていたみたいだし、どんなことになるのか、少しだけ楽しみだわ。
……と、人任せじゃなく私もしっかり考えないといけないわ。
******
その日の夜、フェイク様から届いた手紙を読み終えて段取りを整えた私は、イエーヌ様たちと一緒に宮殿へと向かった。
ジュリエッタとは現地集合になっている。
宮殿の入り口で私たちを迎えた、皇帝陛下のメイドは予想外だったのか目を丸くしたけれど、皇帝陛下の命令通りに私たちを皇帝陛下のプライベートルームまで案内してくれた。
やって来た私たちを見て驚いた反応はジュリエッタや皇帝陛下のほうが大きかった。
「何なの、大勢で!」
「どうして他の側妃までいるんだ?」
皇帝陛下は私の後ろに立つ側妃たちを見て叫ぶ。
「オレは何も聞いていないぞ!」
「イエーヌ様にお話しましたら、他の方たちも陛下のお部屋が見たいそうです。よろしいですわよね」
あの後、フェイク様に調べてもらったところ、陛下の部屋から、メイドの格好をした女性が出て来たとのことだった。
彼女は地下に連れて行かれたそうだけど、そこには牢屋しかないらしいから、ジーナリア様をそちらに移動させたのでしょう。
牢屋に続く扉の前には屈強な兵士が立っているので、理由なく牢屋を見に行くことはできない。
でも、いつまでも隠し通すことはできないはずだ。
それに皇帝陛下本人が一人で部屋を片付けたそうだから、ジーナリア様がいたとわかる何かが残っているはずだわ。
イエーヌ様以外の他の側妃たちも陛下のことを疑っている。
皇帝陛下には私たちの証拠集めに付き合ってもらいましょう。
「……これからは事前に連絡を入れろ」
「連絡を入れましたが、フットマンは陛下から話を聞いている暇はない。勝手にしろと言われたそうですわ」
「……これからは用件を先に言えと伝えておけ」
陛下は悔しそうな顔をすると、渋々といった様子で部屋の扉を開けた。
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