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6 嘘の謝罪なんてお断り ②
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「フェイアンナ! 君は自分が何を言ったのかわかっているのか? いつ、僕が君を脅したって言うんだよ!?」
マゼケキ様が焦った顔で、フェイアンナ様に近寄ると、彼女は涙目で叫びます。
「いやぁっ! 怖いですっ!」
あまりの演技の下手くそさに、場が白けていることをわかっているかはわかりませんが、フェイアンナ様劇場は続きます。
「こうやって脅されていたんです! 断るとお父様の立場を悪くすると言われたりもしました! セリスティーナ様には本当に申し訳ないと思っていたんです!」
すると、ブロンスト公爵がやって来て、フェイアンナ様に話しかけます。
「お前はずっと、マゼケキ様のことが好きだったじゃないか。脅されていたとはどういうことだ」
「お、お父様! それはその、脅されていたから好きなふりをしていたんです!」
「そんなに昔から演技をしていたと言うのか?」
「え、と、そんなに昔と言いますのは?」
「物心がつく前から、お前はマゼケキ様に夢中だったじゃないか」
フェイアンナ様は味方に背後から撃たれた形になっています。
変な嘘をつくからですね。
呑気に見守っていると、レイディスが話しかけてきました。
「一体、何があった」
「レイディスこそ、どうしてここにいるの」
あまり目立たないように小声で聞き返すと、私よりも頭一つ分、背の高いレイディスは、身をかがめて答えます。
「俺はペリオド王国に駐留してるんだ」
「え? お兄様の側近になるんじゃなかったの?」
「セリスが結婚後にそうなる予定だった」
「……それならどうして、私と一緒に来てくれなかったの? あなたは騎士であって兵士じゃないわ」
「色々とあるんだ」
「色々って何なの。……そうだわ。私、あなたに確認したいことがあるのよ」
「何だよ」
黒色の短髪に水色の瞳を持つレイディスは、整った顔立ちをしている。
だから、女性の視線が彼に集まっていることに気づいて話題を変える。
「あとで話すわ。とにかく、お父様に説明をしたいから国に戻らないと。明日の朝早くに出発で良いかしら」
「かまわない」
「あなたは今晩はどうするつもりだったの」
「宿に泊まる。セリスは今日は城内で寝ろ」
「夜に動くと余計に危ないですものね」
レイディスがいるから大丈夫。
なんて、そこまで甘い考えは持っていません。
「あのぉ、セリス、考え直してくれないかしらぁ」
王妃陛下がすり寄ってきたので、プライベートモードから王女モードに切り替えます。
「考え直すのは無理なお話です。フェイアンナ様の言っていることが嘘か本当かはわかりませんが、私の婚約破棄とは関係ありません」
「セリスティーナ様! 私は嘘なんてついていません!」
フェイアンナ様が割って入ってくると、今度はマゼケキ様が叫びます。
「僕は脅してなんかいない! 君はセリスをこ」
そこで、マゼケキ様は話すのをやめました。
「私をこ……のあとは、なんですか」
殺したいくらいに、マゼケキ様を愛しているとでも言ったんでしょうね。
「こ、こ、恋のライバルだと」
「……はい?」
「そ、そうだ。セリスとフェイアンナは僕を巡っての恋のライバルじゃないか!」
「そんなわけがないでしょう」
名案を思いついたという顔をしている、マゼケキ様に苛立ちを覚えました。
マゼケキ様と話をするのも馬鹿馬鹿しくなったので、フェイアンナ様に話しかけます。
「……フェイアンナ様」
「なんでしょうか」
「脅されていたというのが嘘だった場合、どうなるかはわかっていますわね?」
「……どうなるか、ですか?」
「ええ。脅されたという嘘は王族を侮辱する行為になりますわよ」
厳しい口調で問うと、フェイアンナ様は目を泳がせます。
「それは、その」
「……もう、いい!」
マゼケキ様は悔しそうに顔を歪ませて、フェイアンナ様に告げます。
「フェイアンナ、少し早くなったが君とは別れる。今までありがとう。お礼に君のことを不敬罪で訴えることにする。嘘をついたんだからな」
「「そんな!?」」
フェイアンナ様とブロンスト公爵が悲鳴のような声を上げました。
脅されたが嘘か、愛しているという発言が嘘か、どちらにしても、嘘をついたのは確かですもの。
嘘をついたというのは間違いないです。
もう、部屋に戻りたいのだけど良いですかね。
「くだらない芝居は身内だけでお願いいたします。セリスティーナ様、行きますよ」
「そうね。では、皆様、本日はここで失礼させていただきます」
レイディスに促され、その場でお辞儀をすると、マゼケキ様が話しかけてきます。
「セリス、これで満足だろう? 婚約は継続だ」
「……嫌です」
「謝ればいいんじゃないのか!?」
「そういう問題ではございません」
謝ると言っても心からの謝罪ではないですし、信用なんてできません。
マゼケキ様がまだ何か言っていましたが、無視して会場を出たのでした。
マゼケキ様が焦った顔で、フェイアンナ様に近寄ると、彼女は涙目で叫びます。
「いやぁっ! 怖いですっ!」
あまりの演技の下手くそさに、場が白けていることをわかっているかはわかりませんが、フェイアンナ様劇場は続きます。
「こうやって脅されていたんです! 断るとお父様の立場を悪くすると言われたりもしました! セリスティーナ様には本当に申し訳ないと思っていたんです!」
すると、ブロンスト公爵がやって来て、フェイアンナ様に話しかけます。
「お前はずっと、マゼケキ様のことが好きだったじゃないか。脅されていたとはどういうことだ」
「お、お父様! それはその、脅されていたから好きなふりをしていたんです!」
「そんなに昔から演技をしていたと言うのか?」
「え、と、そんなに昔と言いますのは?」
「物心がつく前から、お前はマゼケキ様に夢中だったじゃないか」
フェイアンナ様は味方に背後から撃たれた形になっています。
変な嘘をつくからですね。
呑気に見守っていると、レイディスが話しかけてきました。
「一体、何があった」
「レイディスこそ、どうしてここにいるの」
あまり目立たないように小声で聞き返すと、私よりも頭一つ分、背の高いレイディスは、身をかがめて答えます。
「俺はペリオド王国に駐留してるんだ」
「え? お兄様の側近になるんじゃなかったの?」
「セリスが結婚後にそうなる予定だった」
「……それならどうして、私と一緒に来てくれなかったの? あなたは騎士であって兵士じゃないわ」
「色々とあるんだ」
「色々って何なの。……そうだわ。私、あなたに確認したいことがあるのよ」
「何だよ」
黒色の短髪に水色の瞳を持つレイディスは、整った顔立ちをしている。
だから、女性の視線が彼に集まっていることに気づいて話題を変える。
「あとで話すわ。とにかく、お父様に説明をしたいから国に戻らないと。明日の朝早くに出発で良いかしら」
「かまわない」
「あなたは今晩はどうするつもりだったの」
「宿に泊まる。セリスは今日は城内で寝ろ」
「夜に動くと余計に危ないですものね」
レイディスがいるから大丈夫。
なんて、そこまで甘い考えは持っていません。
「あのぉ、セリス、考え直してくれないかしらぁ」
王妃陛下がすり寄ってきたので、プライベートモードから王女モードに切り替えます。
「考え直すのは無理なお話です。フェイアンナ様の言っていることが嘘か本当かはわかりませんが、私の婚約破棄とは関係ありません」
「セリスティーナ様! 私は嘘なんてついていません!」
フェイアンナ様が割って入ってくると、今度はマゼケキ様が叫びます。
「僕は脅してなんかいない! 君はセリスをこ」
そこで、マゼケキ様は話すのをやめました。
「私をこ……のあとは、なんですか」
殺したいくらいに、マゼケキ様を愛しているとでも言ったんでしょうね。
「こ、こ、恋のライバルだと」
「……はい?」
「そ、そうだ。セリスとフェイアンナは僕を巡っての恋のライバルじゃないか!」
「そんなわけがないでしょう」
名案を思いついたという顔をしている、マゼケキ様に苛立ちを覚えました。
マゼケキ様と話をするのも馬鹿馬鹿しくなったので、フェイアンナ様に話しかけます。
「……フェイアンナ様」
「なんでしょうか」
「脅されていたというのが嘘だった場合、どうなるかはわかっていますわね?」
「……どうなるか、ですか?」
「ええ。脅されたという嘘は王族を侮辱する行為になりますわよ」
厳しい口調で問うと、フェイアンナ様は目を泳がせます。
「それは、その」
「……もう、いい!」
マゼケキ様は悔しそうに顔を歪ませて、フェイアンナ様に告げます。
「フェイアンナ、少し早くなったが君とは別れる。今までありがとう。お礼に君のことを不敬罪で訴えることにする。嘘をついたんだからな」
「「そんな!?」」
フェイアンナ様とブロンスト公爵が悲鳴のような声を上げました。
脅されたが嘘か、愛しているという発言が嘘か、どちらにしても、嘘をついたのは確かですもの。
嘘をついたというのは間違いないです。
もう、部屋に戻りたいのだけど良いですかね。
「くだらない芝居は身内だけでお願いいたします。セリスティーナ様、行きますよ」
「そうね。では、皆様、本日はここで失礼させていただきます」
レイディスに促され、その場でお辞儀をすると、マゼケキ様が話しかけてきます。
「セリス、これで満足だろう? 婚約は継続だ」
「……嫌です」
「謝ればいいんじゃないのか!?」
「そういう問題ではございません」
謝ると言っても心からの謝罪ではないですし、信用なんてできません。
マゼケキ様がまだ何か言っていましたが、無視して会場を出たのでした。
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