38 / 52
第二部
第9話 話がまとまる
しおりを挟む
「は?」
私の言葉を聞いたキースは信じられないといった感じで聞き返してくる。
「ノアには悪いけれど、付き合ってるという設定にしたら? 最終的にはそれを本当にすればいいのよ」
「荒療治でいくのか」
私の言いたいことを哲平は理解してくれたようで、困惑気味のキースに哲平が説明してくれる。
「お前とノアはもうすでに付き合っている。だから、シエルって奴に入り込むすきはないって感じでいけってこと。で、ボロが出る前に、お前は告白してノアを落とせ」
「落とせって、そんな簡単に出来るものじゃないだろ!?」
キースが眉を寄せて首を横に振る。
私の考えた事はノアの気持ちを考慮してない事になるかもしれないけど、ノアはキースの事を嫌いじゃないはず。
一緒にいすぎて家族の様に思っているに違いないわ。
たぶん、私と哲平の関係性に似ていると思う。
それなら、キースと付き合っているという噂を流されても、困る事はあっても嫌とまではいかないはず。
「私も協力するから。ノアには悪いけど、シエルはやめておいた方がいいと思うの。人の恋路に首を突っ込みたくないけど、アリスも警戒してたみたいだから、友人として止めさせてもらうわ」
アリスの日記にシエルは信用できない、と書かれていたのを思い出す。
普段はいじめられていたアリスを知らんぷりをして助けもしないくせに、ノアの前では優しい態度を取ってきていたって。
私、そういう奴は本当に嫌いなのよね。
テーブルに身を乗り出して、言葉を続ける。
「小瓶の事、ノアに知られる事なく乗り切りたいの」
「そりゃ、それに関しては俺も同じ意見だけど…」
本当ならばここで、ノアには囮になってもらった方が良かったのかもしれないけど、友人としてはそんな事、絶対にさせたくない。
「ノアを守るためよ。どうせ、ノアはシエルを好きじゃない。告白されて浮かれてるだけだわ。あの子を傷つかせたくないの」
ごめんね、ノア。
本当は私にそんな事する権利なんてない事はわかってる。
だけど、アリスが命を落としてまで守ろうとしたあなたを、自分の身がどうなっても守らなくちゃいけないのよ。
「けど、付き合ってるようにするって、実際、どうするんだよ」
「噂を流しちゃえばいいんじゃない? あんたは有名人だから、すぐに色んな人に伝わるでしょ」
キースに聞かれて素直に答えると、彼は宙を見上げて唸ったあと呟く。
「協力してくれそうな奴がいるから、そいつに頼むか……」
「そんな人がいるの?」
「ああ。めちゃくちゃ仲が良いわけではないけど、協力はしてくれそうだ」
「そう。それなら早速、動く準備をしないとね」
立ち上がると、哲平とキースが不思議そうに私を見るから、笑顔で二人を誘う。
「お腹減っちゃったわ。とりあえず、ご飯食べない?」
腹が減っては戦はできないからね。
お腹が減ったらイライラするし、それも良くないもの。
「……神経図太いな」
「昔からだよ」
「うるさいわね」
そんな言葉が聞こえてきたので、キースの頭を平手で叩き、哲平の足を思い切り踏んでやったのだった。
私の言葉を聞いたキースは信じられないといった感じで聞き返してくる。
「ノアには悪いけれど、付き合ってるという設定にしたら? 最終的にはそれを本当にすればいいのよ」
「荒療治でいくのか」
私の言いたいことを哲平は理解してくれたようで、困惑気味のキースに哲平が説明してくれる。
「お前とノアはもうすでに付き合っている。だから、シエルって奴に入り込むすきはないって感じでいけってこと。で、ボロが出る前に、お前は告白してノアを落とせ」
「落とせって、そんな簡単に出来るものじゃないだろ!?」
キースが眉を寄せて首を横に振る。
私の考えた事はノアの気持ちを考慮してない事になるかもしれないけど、ノアはキースの事を嫌いじゃないはず。
一緒にいすぎて家族の様に思っているに違いないわ。
たぶん、私と哲平の関係性に似ていると思う。
それなら、キースと付き合っているという噂を流されても、困る事はあっても嫌とまではいかないはず。
「私も協力するから。ノアには悪いけど、シエルはやめておいた方がいいと思うの。人の恋路に首を突っ込みたくないけど、アリスも警戒してたみたいだから、友人として止めさせてもらうわ」
アリスの日記にシエルは信用できない、と書かれていたのを思い出す。
普段はいじめられていたアリスを知らんぷりをして助けもしないくせに、ノアの前では優しい態度を取ってきていたって。
私、そういう奴は本当に嫌いなのよね。
テーブルに身を乗り出して、言葉を続ける。
「小瓶の事、ノアに知られる事なく乗り切りたいの」
「そりゃ、それに関しては俺も同じ意見だけど…」
本当ならばここで、ノアには囮になってもらった方が良かったのかもしれないけど、友人としてはそんな事、絶対にさせたくない。
「ノアを守るためよ。どうせ、ノアはシエルを好きじゃない。告白されて浮かれてるだけだわ。あの子を傷つかせたくないの」
ごめんね、ノア。
本当は私にそんな事する権利なんてない事はわかってる。
だけど、アリスが命を落としてまで守ろうとしたあなたを、自分の身がどうなっても守らなくちゃいけないのよ。
「けど、付き合ってるようにするって、実際、どうするんだよ」
「噂を流しちゃえばいいんじゃない? あんたは有名人だから、すぐに色んな人に伝わるでしょ」
キースに聞かれて素直に答えると、彼は宙を見上げて唸ったあと呟く。
「協力してくれそうな奴がいるから、そいつに頼むか……」
「そんな人がいるの?」
「ああ。めちゃくちゃ仲が良いわけではないけど、協力はしてくれそうだ」
「そう。それなら早速、動く準備をしないとね」
立ち上がると、哲平とキースが不思議そうに私を見るから、笑顔で二人を誘う。
「お腹減っちゃったわ。とりあえず、ご飯食べない?」
腹が減っては戦はできないからね。
お腹が減ったらイライラするし、それも良くないもの。
「……神経図太いな」
「昔からだよ」
「うるさいわね」
そんな言葉が聞こえてきたので、キースの頭を平手で叩き、哲平の足を思い切り踏んでやったのだった。
223
お気に入りに追加
2,243
あなたにおすすめの小説
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!

愛人をつくればと夫に言われたので。
まめまめ
恋愛
"氷の宝石”と呼ばれる美しい侯爵家嫡男シルヴェスターに嫁いだメルヴィーナは3年間夫と寝室が別なことに悩んでいる。
初夜で彼女の背中の傷跡に触れた夫は、それ以降別室で寝ているのだ。
仮面夫婦として過ごす中、ついには夫の愛人が選んだ宝石を誕生日プレゼントに渡される始末。
傷つきながらも何とか気丈に振る舞う彼女に、シルヴェスターはとどめの一言を突き刺す。
「君も愛人をつくればいい。」
…ええ!もう分かりました!私だって愛人の一人や二人!
あなたのことなんてちっとも愛しておりません!
横暴で冷たい夫と結婚して以降散々な目に遭うメルヴィーナは素敵な愛人をゲットできるのか!?それとも…?なすれ違い恋愛小説です。
※感想欄では読者様がせっかく気を遣ってネタバレ抑えてくれているのに、作者がネタバレ返信しているので閲覧注意でお願いします…

愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

妖精の取り替え子として平民に転落した元王女ですが、努力チートで幸せになります。
haru.
恋愛
「今ここに、17年間偽られ続けた真実を証すッ! ここにいるアクリアーナは本物の王女ではないッ! 妖精の取り替え子によって偽られた偽物だッ!」
17年間マルヴィーア王国の第二王女として生きてきた人生を否定された。王家が主催する夜会会場で、自分の婚約者と本物の王女だと名乗る少女に……
家族とは見た目も才能も似ておらず、肩身の狭い思いをしてきたアクリアーナ。
王女から平民に身を落とす事になり、辛い人生が待ち受けていると思っていたが、王族として恥じぬように生きてきた17年間の足掻きは無駄ではなかった。
「あれ? 何だか王女でいるよりも楽しいかもしれない!」
自身の努力でチートを手に入れていたアクリアーナ。
そんな王女を秘かに想っていた騎士団の第三師団長が騎士を辞めて私を追ってきた!?
アクリアーナの知らぬ所で彼女を愛し、幸せを願う者達。
王女ではなくなった筈が染み付いた王族としての秩序で困っている民を見捨てられないアクリアーナの人生は一体どうなる!?
※ ヨーロッパの伝承にある取り替え子(チェンジリング)とは違う話となっております。
異世界の創作小説として見て頂けたら嬉しいです。
(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾ペコ
下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」

養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!(続く)
陰陽@3作品コミカライズと書籍化準備中
恋愛
養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!大勢の男性から求婚されましたが誰を選べば正解なのかわかりません!〜
タイトルちょっと変更しました。
政略結婚の夫との冷えきった関係。義母は私が気に入らないらしく、しきりに夫に私と別れて再婚するようほのめかしてくる。
それを否定もしない夫。伯爵夫人の地位を狙って夫をあからさまに誘惑するメイドたち。私の心は限界だった。
なんとか自立するために仕事を始めようとするけれど、夫は自分の仕事につながる社交以外を認めてくれない。
そんな時に出会った画材工房で、私は絵を描く喜びに目覚めた。
そして気付いたのだ。今貴族女性でもつくことの出来る数少ない仕事のひとつである、魔法絵師としての力が私にあることに。
このまま絵を描き続けて、いざという時の為に自立しよう!
そう思っていた矢先、高価な魔石の粉末入りの絵の具を夫に捨てられてしまう。
絶望した私は、初めて夫に反抗した。
私の態度に驚いた夫だったけれど、私が絵を描く姿を見てから、なんだか夫の様子が変わってきて……?
そして新たに私の前に現れた5人の男性。
宮廷に出入りする化粧師。
新進気鋭の若手魔法絵師。
王弟の子息の魔塔の賢者。
工房長の孫の絵の具職人。
引退した元第一騎士団長。
何故か彼らに口説かれだした私。
このまま自立?再構築?
どちらにしても私、一人でも生きていけるように変わりたい!
コメントの人気投票で、どのヒーローと結ばれるかが変わるかも?
妹ばかり見ている婚約者はもういりません
水谷繭
恋愛
子爵令嬢のジュスティーナは、裕福な伯爵家の令息ルドヴィクの婚約者。しかし、ルドヴィクはいつもジュスティーナではなく、彼女の妹のフェリーチェに会いに来る。
自分に対する態度とは全く違う優しい態度でフェリーチェに接するルドヴィクを見て傷つくジュスティーナだが、自分は妹のように愛らしくないし、魔法の能力も中途半端だからと諦めていた。
そんなある日、ルドヴィクが妹に婚約者の証の契約石に見立てた石を渡し、「君の方が婚約者だったらよかったのに」と言っているのを聞いてしまう。
さらに婚約解消が出来ないのは自分が嫌がっているせいだという嘘まで吐かれ、我慢の限界が来たジュスティーナは、ルドヴィクとの婚約を破棄することを決意するが……。
◆エールありがとうございます!
◇表紙画像はGirly Drop様からお借りしました💐
◆なろうにも載せ始めました
◇いいね押してくれた方ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる