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第二部
第4話 呆れ返る
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訳のわからない事を言われてすぐに、私の頭の中に浮かんだ言葉は、最悪、だった。
元婚約者と一緒にいる女も面倒な奴だったのね…。
婚約者がいる男性と白昼堂々とデートしているんだから、明らかに常識がないのはわかるわ。
というか、見ず知らずのこの人に尻軽とか言われたくないんだけど?
私の言葉遣いはきついと言われるので、柔らかくして言い返す事にしてみる。
「えーっとぉ、私、ホットラード卿と一切無関係ですしぃ、声かけられても困りますぅ。どうぞ、二人の時間をお楽しみ下さいぃ」
「ルーベン様が話しかけてるんだから、ちゃんと答えなさいよ! というか、何なのよ、その話し方!」
「あんたのレベルに合わせただけだけど?」
ついつい本音が出てしまった。
「レベルって何よ! 失礼な人ね!」
「それは失礼しました。申し訳ございませんでした。で、話を聞けばいいんですよね? ……で、なんですか?」
観念してホットラードの方に振り向くと、それはもう気持ち悪いくらいに満面の笑みで、彼は私に言った。
「綺麗になったね」
……は?
「僕のために綺麗になったの?」
……はあ?
頭、大丈夫?
呆れ返って何も言えなくなってしまったけれど、すぐに我に返って笑顔で答える。
「あら、ホットラード卿、目を開けて寝ていらっしゃるんですね? 寝言は寝てから言うものですから」
きっとこいつは寝てるんだわ。
起こしてさしあげたいから、ぶん殴ってもいいかしら?
できれば鼻にグーパンチか、思い切り頬に平手打ちをしたいんだけど…。
そう思う気持ちを何とかおさえて、ホットラードに呆れた視線を送っている哲平の方を見る。
そうだわ。
今の婚約者は哲平なんだから、彼を上手く使わないとね。
「ホットラード卿、誰かのために綺麗になった、というのであれば、この方の為ですわ」
にこ、と笑みを浮かべて、哲平の方に手を伸ばすと、哲平はため息をついてから私の手を取り、手の甲に口付けた。
あらあら。
いつの間にそんな芸当を覚えたの?
あとで褒めてあげないとね。
「というわけで、私達、ラブラブなんです! なので、邪魔しないで下さる? 私とホットラード卿の関係は過去のことですし、今はそちらの可愛いお嬢様とお楽しみになって? それから婚約者の方には誠心誠意謝ってくださいね?」
私の手を取ってくれた哲平の手を握り、ぶんぶんと上下にふりながら、不機嫌そうに私をにらみつけてくる連れの女と、ホットラードに笑顔を向けた。
「誤解しないでくれ。彼女には相談にのってもらっていただけなんだ」
そんな話を私にしなくていいわよ。
「僕を軽い男だなんて誤解しないでほしい」
何を言ってるの?
イライラしはじめた頃に、ちょうどいいタイミングで、日本で出てくるものと見た目は変わらない、想像していた通りのフルーツパフェと、哲平の分の紅茶が運ばれてきたため、そっちに集中する事にする。
「いただきまーす」
この国ではこの言葉は言わないけれど、日本の習慣を忘れないように手を合わせて言ってから、ソフトクリームみたいな柔らかいバニラアイスをスプーンにすくって口に入れる。
「んー、美味しい!」
「そんな美味いのか?」
「美味しい。食べる?」
「ん」
一口すくってから、哲平の方に差し出して食べさせてあげる。
「うん、濃厚だけど美味いな」
「でしょ」
甘さは控えめで、すごく食べやすい。
フルーツパフェは美味しくて、バカが横にいなければ大満足の味だった。
「キュレル子爵令嬢、聞いてくれ。今、僕は婚約者に浮気されているんだ。可哀想だろ?」
「は? あんたがそれを言うの?」
「浮気されたってどういう事だよ? 婚約解消しないのか?」
ホットラードに向かって、哲平が聞き返した。
元婚約者と一緒にいる女も面倒な奴だったのね…。
婚約者がいる男性と白昼堂々とデートしているんだから、明らかに常識がないのはわかるわ。
というか、見ず知らずのこの人に尻軽とか言われたくないんだけど?
私の言葉遣いはきついと言われるので、柔らかくして言い返す事にしてみる。
「えーっとぉ、私、ホットラード卿と一切無関係ですしぃ、声かけられても困りますぅ。どうぞ、二人の時間をお楽しみ下さいぃ」
「ルーベン様が話しかけてるんだから、ちゃんと答えなさいよ! というか、何なのよ、その話し方!」
「あんたのレベルに合わせただけだけど?」
ついつい本音が出てしまった。
「レベルって何よ! 失礼な人ね!」
「それは失礼しました。申し訳ございませんでした。で、話を聞けばいいんですよね? ……で、なんですか?」
観念してホットラードの方に振り向くと、それはもう気持ち悪いくらいに満面の笑みで、彼は私に言った。
「綺麗になったね」
……は?
「僕のために綺麗になったの?」
……はあ?
頭、大丈夫?
呆れ返って何も言えなくなってしまったけれど、すぐに我に返って笑顔で答える。
「あら、ホットラード卿、目を開けて寝ていらっしゃるんですね? 寝言は寝てから言うものですから」
きっとこいつは寝てるんだわ。
起こしてさしあげたいから、ぶん殴ってもいいかしら?
できれば鼻にグーパンチか、思い切り頬に平手打ちをしたいんだけど…。
そう思う気持ちを何とかおさえて、ホットラードに呆れた視線を送っている哲平の方を見る。
そうだわ。
今の婚約者は哲平なんだから、彼を上手く使わないとね。
「ホットラード卿、誰かのために綺麗になった、というのであれば、この方の為ですわ」
にこ、と笑みを浮かべて、哲平の方に手を伸ばすと、哲平はため息をついてから私の手を取り、手の甲に口付けた。
あらあら。
いつの間にそんな芸当を覚えたの?
あとで褒めてあげないとね。
「というわけで、私達、ラブラブなんです! なので、邪魔しないで下さる? 私とホットラード卿の関係は過去のことですし、今はそちらの可愛いお嬢様とお楽しみになって? それから婚約者の方には誠心誠意謝ってくださいね?」
私の手を取ってくれた哲平の手を握り、ぶんぶんと上下にふりながら、不機嫌そうに私をにらみつけてくる連れの女と、ホットラードに笑顔を向けた。
「誤解しないでくれ。彼女には相談にのってもらっていただけなんだ」
そんな話を私にしなくていいわよ。
「僕を軽い男だなんて誤解しないでほしい」
何を言ってるの?
イライラしはじめた頃に、ちょうどいいタイミングで、日本で出てくるものと見た目は変わらない、想像していた通りのフルーツパフェと、哲平の分の紅茶が運ばれてきたため、そっちに集中する事にする。
「いただきまーす」
この国ではこの言葉は言わないけれど、日本の習慣を忘れないように手を合わせて言ってから、ソフトクリームみたいな柔らかいバニラアイスをスプーンにすくって口に入れる。
「んー、美味しい!」
「そんな美味いのか?」
「美味しい。食べる?」
「ん」
一口すくってから、哲平の方に差し出して食べさせてあげる。
「うん、濃厚だけど美味いな」
「でしょ」
甘さは控えめで、すごく食べやすい。
フルーツパフェは美味しくて、バカが横にいなければ大満足の味だった。
「キュレル子爵令嬢、聞いてくれ。今、僕は婚約者に浮気されているんだ。可哀想だろ?」
「は? あんたがそれを言うの?」
「浮気されたってどういう事だよ? 婚約解消しないのか?」
ホットラードに向かって、哲平が聞き返した。
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