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第21話 迎えに来られる
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「自分で行けよ」
可愛くお願いしたのに、哲平に思い切り拒否されてしまった。
「あのね、私がただ単にめんどくさがって行こうとしてないと思ってるかもしれないけど、違うからね! 私がうろうろしてたら、アイツ困ってる、やーい、って思われるかもしれないじゃない! そんな事を思われたら顔面殴りたくなるから嫌なの」
「相手はそんな子供じみた事思うのかよ……」
「いじめとかする奴らなら、精神なんて幼稚でしょ。それに高校生なんてガキじゃなかった?」
言い返すと、哲平は眉間にシワを寄せる。
「まあ、たしかにあの頃はガキだったな、と今になれば思う」
「でしょ?」
「となると、キースが行きゃいいんじゃね? もし、ちゃんとどっかのガゼボにいて、ありすを待ってれば、キースを見て驚くだろうしな。あ、そういや、キースはそのミラベルっていう令嬢を知ってんのか?」
「社交場で顔を合わせたことはあるけど、詳しくは知らない。まあ、顔はわかるから見てきてもいいぞ」
キースがしれっと答えたけれど、私にとっては耳慣れない言葉の社交場というワードに、ついつい食いついてしまう。
「社交場ってなんかカッコいい響きね!」
「お前らもそのうち行くんだからな」
「最悪」
「最悪だ」
キースの言葉に私だけじゃなく、哲平のテンションもダダ下がった。
と、こんな事をしている場合じゃないわよね。
うーん。
ここは焦らすべきなの?
だけど、約束を守らないのもなんだし、ただ、本人達がその場にいない可能性もあるのよね…。
キースに行ってもらおうか、一緒に行こうか、それともすっぽかすか悩んでいた時だった。
ばん、と扉の方から音が聞こえて振り返ると、大きく肩で息をする少女が立っているのが見えた。
リボンタイの色が違うから、学年が違う。
全部の学年の色を覚えているわけではないので、はっきりとはわからないけれど、私よりも幼く見えるし、たぶん年下だ。
「どうして、こんなところにいるんですか!」
息を整えると、少女が叫んでくるので聞き返す。
「何の話?」
「ロゼ様との約束はどうしたんですか?!」
「あ、もしかして迎えに来てくれたの?」
「あなたが来ないから探しに来たんじゃないですか! 早く来て下さい! ロゼ様がお待ちです!」
私の問いかけを無視して、彼女は私を急かしてくる。
お迎えが来たのなら、探す必要もないし付いていく事にしましょうか…。
「じゃあ、行ってくるわ」
哲平とキースに手を振ると、哲平が言う。
「付いていかなくていいのか?」
「子供じゃないんだから大丈夫よ」
「こどもじゃないかもしれねぇけど、暴れ馬だろ、お前…」
「失礼ね!」
話している内に迎えに来てくれた子の姿が見えなくなったので、置いていかれては困るから哲平にもう一度手を振った後、教室を出て先を歩く彼女に付いていくと同時に、シャツの胸ポケットに入れていた、あるものに触れた。
この世界は私達でいう電力やガスは、生活魔法という魔法でまかなっているから、平民だとか貴族だとか関係なく、ほとんどの人間が魔力を持っている。
ただ、貴族は特に魔力が多くて、攻撃魔法なども使える人がいるらしい。
アリスは貴族だし、もちろん魔力はある。
だから、問題なく胸ポケットに入れている小さな石に魔力を込めた。
この石は日本で言う、とある物の代わりで、電池の代わりに魔力を使う。
少し流すだけで一時間くらいは大丈夫だそうだから、十分だと思われる。
これが役に立つ発言を、相手がたくさんしてくれればいいんだけど。
さあ、どんなお話をしてくれるんでしょうね。
楽しみだわ。
可愛くお願いしたのに、哲平に思い切り拒否されてしまった。
「あのね、私がただ単にめんどくさがって行こうとしてないと思ってるかもしれないけど、違うからね! 私がうろうろしてたら、アイツ困ってる、やーい、って思われるかもしれないじゃない! そんな事を思われたら顔面殴りたくなるから嫌なの」
「相手はそんな子供じみた事思うのかよ……」
「いじめとかする奴らなら、精神なんて幼稚でしょ。それに高校生なんてガキじゃなかった?」
言い返すと、哲平は眉間にシワを寄せる。
「まあ、たしかにあの頃はガキだったな、と今になれば思う」
「でしょ?」
「となると、キースが行きゃいいんじゃね? もし、ちゃんとどっかのガゼボにいて、ありすを待ってれば、キースを見て驚くだろうしな。あ、そういや、キースはそのミラベルっていう令嬢を知ってんのか?」
「社交場で顔を合わせたことはあるけど、詳しくは知らない。まあ、顔はわかるから見てきてもいいぞ」
キースがしれっと答えたけれど、私にとっては耳慣れない言葉の社交場というワードに、ついつい食いついてしまう。
「社交場ってなんかカッコいい響きね!」
「お前らもそのうち行くんだからな」
「最悪」
「最悪だ」
キースの言葉に私だけじゃなく、哲平のテンションもダダ下がった。
と、こんな事をしている場合じゃないわよね。
うーん。
ここは焦らすべきなの?
だけど、約束を守らないのもなんだし、ただ、本人達がその場にいない可能性もあるのよね…。
キースに行ってもらおうか、一緒に行こうか、それともすっぽかすか悩んでいた時だった。
ばん、と扉の方から音が聞こえて振り返ると、大きく肩で息をする少女が立っているのが見えた。
リボンタイの色が違うから、学年が違う。
全部の学年の色を覚えているわけではないので、はっきりとはわからないけれど、私よりも幼く見えるし、たぶん年下だ。
「どうして、こんなところにいるんですか!」
息を整えると、少女が叫んでくるので聞き返す。
「何の話?」
「ロゼ様との約束はどうしたんですか?!」
「あ、もしかして迎えに来てくれたの?」
「あなたが来ないから探しに来たんじゃないですか! 早く来て下さい! ロゼ様がお待ちです!」
私の問いかけを無視して、彼女は私を急かしてくる。
お迎えが来たのなら、探す必要もないし付いていく事にしましょうか…。
「じゃあ、行ってくるわ」
哲平とキースに手を振ると、哲平が言う。
「付いていかなくていいのか?」
「子供じゃないんだから大丈夫よ」
「こどもじゃないかもしれねぇけど、暴れ馬だろ、お前…」
「失礼ね!」
話している内に迎えに来てくれた子の姿が見えなくなったので、置いていかれては困るから哲平にもう一度手を振った後、教室を出て先を歩く彼女に付いていくと同時に、シャツの胸ポケットに入れていた、あるものに触れた。
この世界は私達でいう電力やガスは、生活魔法という魔法でまかなっているから、平民だとか貴族だとか関係なく、ほとんどの人間が魔力を持っている。
ただ、貴族は特に魔力が多くて、攻撃魔法なども使える人がいるらしい。
アリスは貴族だし、もちろん魔力はある。
だから、問題なく胸ポケットに入れている小さな石に魔力を込めた。
この石は日本で言う、とある物の代わりで、電池の代わりに魔力を使う。
少し流すだけで一時間くらいは大丈夫だそうだから、十分だと思われる。
これが役に立つ発言を、相手がたくさんしてくれればいいんだけど。
さあ、どんなお話をしてくれるんでしょうね。
楽しみだわ。
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