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第15話 お返しする
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「ねぇ、聞いてんの?」
「え? それは…その…」
反応がないので再度問いかけると、1人が声は発したけれど、質問の答えは返してこない。
「聞こえなかった? 訳の分からない事をした暇人は、あんた達なのかと聞いてるんだけど?」
「……ど、どうしたの、アリス?」
驚いた顔で言葉を発したのはノアだった。
ノアはそりゃあ困惑でしょうね。
今まで大人しかったアリスが、突然、クラスメイトに噛みつきはじめたんだから。
「なんでもないわ。ノアは席に戻ってくれていてもいいわよ」
「そういう訳にはいかないでしょ…」
さすがに見て見ぬふりはできないのか、ノアが困った顔をしたと同時、私の質問に対する答えが返ってきた。
「別に暇人なんかじゃないわ。ゴミ箱だと間違えたの」
グループの中ではリーダー格の人間なんだろう。
さっき答えようとした子とは別の女が私を小馬鹿にするように笑いながら見上げてくる。
悪いと思っていなさそうね。
それならそれで、やり返させていただく事にしましょうか。
「あら、そう。じゃあ、お返しするわね。自分でゴミ箱に捨ててくれる?」
言って、机の中に入れられていた紙くずなどのゴミを、自分の手で持てるだけ持つと、彼女らの頭の上にぶちまけた。
「な、何するのよ?!」
ぎゃーぎゃーと騒ぎ立てるもんだから、クラスの視線が一斉にこちらに集まり、私達の一角以外は静かになった。
「ゴミ箱を間違えたっていうから返しただけだけど?」
「どう考えたって、ここはゴミ箱じゃないでしょう!?」
「じゃあ、私の机の中だって、どう考えたってゴミ箱じゃないと思うんだけど?」
私が聞き返すと、クラスメイト達は頭にのったゴミを払いながら涙目になって言う。
「私達だって好きでやってるんじゃないわ!」
「あら、誰かに指示されたとでも言うわけ?」
「何をいまさら! そうに決まってんでしょ!」
「誰に指示されたの。ちゃんと言ってくれないとわからないんだけど?」
冷たい声でリーダー格らしき女に尋ねると、まさか私から反撃を受けるとでも思っていなかったみたいで、顔を真っ赤にして泣き始めた。
いや、ちょっと、私が悪役みたいになるからやめてよ!
自分がされて嫌な気持ちになるなら、最初からしないでよね!
「……言えないんならいいわ。それなら、あんたに指示をした相手に、これ以上ふざけた真似はするなって伝えて。私に何か文句があるなら、直接お前が言いに来いってね」
静まり返った教室に私の声が響き渡る。
あー、スッキリした。
というわけで、後片付けをしましょうか。
「ノア、ゴミ箱などこにあるの?」
「え?! あ、あっちにあるから、持ってくるね!」
「ごめんね。片付けるの手伝ってくれる?」
「もちろん。ちょっと待ってね」
ノアは最初は唖然としていたけれど、すぐに我に返って、教壇近くにあったゴミ箱を取りに行ってくれた。
ゴミ箱を持ってきてくれたノアと一緒に、机の中に入っていたものや、クラスメイトにぶちまけて床に転がっているゴミを拾っていると、グループの内のリーダー格以外の子達が一緒に拾い始めてくれた。
そして、一人の子が私の隣にしゃがむと、小さな声で言った。
「……ごめんなさい。言い訳にしかならないけど、どうしようもなかったのよ。平民は言うことをきかないと貴族から…」
「色々とあるみたいだし、無理に口にしなくてもいいわよ。そのかわり、これからはこんな事は他の誰にもしないで。もし、やれと言われたら私に相談して」
私の言葉が聞こえていたのか、他の子達も「ごめんなさい」と大きな声では言わないけど、小声で謝ってきた。
どうやら、この子達は主犯格ではなく、貴族に命令されてやらされた、といったほうが正しいのかもしれない。
もちろん、やっちゃいけない事をやっているのは確かだけど、平民が貴族の命令を断るのは難しいんでしょうね。
小瓶の黒幕と、いじめの黒幕は別人の様な気がした。
なぜかというと、教室内を見渡した時に、アリスにいじめをしていたと思われるグループの中にアズール男爵令嬢はおらず、違うグループに属していたから。
アリスの敵は複数人いたのね…。
とにかくまずは、平民を苦しめてるっぽい、貴族が誰か、探し出すことにしましょうかね。
「え? それは…その…」
反応がないので再度問いかけると、1人が声は発したけれど、質問の答えは返してこない。
「聞こえなかった? 訳の分からない事をした暇人は、あんた達なのかと聞いてるんだけど?」
「……ど、どうしたの、アリス?」
驚いた顔で言葉を発したのはノアだった。
ノアはそりゃあ困惑でしょうね。
今まで大人しかったアリスが、突然、クラスメイトに噛みつきはじめたんだから。
「なんでもないわ。ノアは席に戻ってくれていてもいいわよ」
「そういう訳にはいかないでしょ…」
さすがに見て見ぬふりはできないのか、ノアが困った顔をしたと同時、私の質問に対する答えが返ってきた。
「別に暇人なんかじゃないわ。ゴミ箱だと間違えたの」
グループの中ではリーダー格の人間なんだろう。
さっき答えようとした子とは別の女が私を小馬鹿にするように笑いながら見上げてくる。
悪いと思っていなさそうね。
それならそれで、やり返させていただく事にしましょうか。
「あら、そう。じゃあ、お返しするわね。自分でゴミ箱に捨ててくれる?」
言って、机の中に入れられていた紙くずなどのゴミを、自分の手で持てるだけ持つと、彼女らの頭の上にぶちまけた。
「な、何するのよ?!」
ぎゃーぎゃーと騒ぎ立てるもんだから、クラスの視線が一斉にこちらに集まり、私達の一角以外は静かになった。
「ゴミ箱を間違えたっていうから返しただけだけど?」
「どう考えたって、ここはゴミ箱じゃないでしょう!?」
「じゃあ、私の机の中だって、どう考えたってゴミ箱じゃないと思うんだけど?」
私が聞き返すと、クラスメイト達は頭にのったゴミを払いながら涙目になって言う。
「私達だって好きでやってるんじゃないわ!」
「あら、誰かに指示されたとでも言うわけ?」
「何をいまさら! そうに決まってんでしょ!」
「誰に指示されたの。ちゃんと言ってくれないとわからないんだけど?」
冷たい声でリーダー格らしき女に尋ねると、まさか私から反撃を受けるとでも思っていなかったみたいで、顔を真っ赤にして泣き始めた。
いや、ちょっと、私が悪役みたいになるからやめてよ!
自分がされて嫌な気持ちになるなら、最初からしないでよね!
「……言えないんならいいわ。それなら、あんたに指示をした相手に、これ以上ふざけた真似はするなって伝えて。私に何か文句があるなら、直接お前が言いに来いってね」
静まり返った教室に私の声が響き渡る。
あー、スッキリした。
というわけで、後片付けをしましょうか。
「ノア、ゴミ箱などこにあるの?」
「え?! あ、あっちにあるから、持ってくるね!」
「ごめんね。片付けるの手伝ってくれる?」
「もちろん。ちょっと待ってね」
ノアは最初は唖然としていたけれど、すぐに我に返って、教壇近くにあったゴミ箱を取りに行ってくれた。
ゴミ箱を持ってきてくれたノアと一緒に、机の中に入っていたものや、クラスメイトにぶちまけて床に転がっているゴミを拾っていると、グループの内のリーダー格以外の子達が一緒に拾い始めてくれた。
そして、一人の子が私の隣にしゃがむと、小さな声で言った。
「……ごめんなさい。言い訳にしかならないけど、どうしようもなかったのよ。平民は言うことをきかないと貴族から…」
「色々とあるみたいだし、無理に口にしなくてもいいわよ。そのかわり、これからはこんな事は他の誰にもしないで。もし、やれと言われたら私に相談して」
私の言葉が聞こえていたのか、他の子達も「ごめんなさい」と大きな声では言わないけど、小声で謝ってきた。
どうやら、この子達は主犯格ではなく、貴族に命令されてやらされた、といったほうが正しいのかもしれない。
もちろん、やっちゃいけない事をやっているのは確かだけど、平民が貴族の命令を断るのは難しいんでしょうね。
小瓶の黒幕と、いじめの黒幕は別人の様な気がした。
なぜかというと、教室内を見渡した時に、アリスにいじめをしていたと思われるグループの中にアズール男爵令嬢はおらず、違うグループに属していたから。
アリスの敵は複数人いたのね…。
とにかくまずは、平民を苦しめてるっぽい、貴族が誰か、探し出すことにしましょうかね。
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