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第9話 次期公爵を味方につける
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呆気にとられている私を見て、ラス様は口元に笑みを浮かべてから答えてくれた。
「アリスさんは子爵家の御令嬢ですよね。となると、相手の身分の方が高い可能性があるのではないですか?」
そう言われて、私は馬車の中で走り書きではあるけれど、これからの為にと思って書いた、人物相関図を思い出す。
一応、ターゲットを絞っておいたんだけど、その中に伯爵家の人間もいたから下手に手を出して、アリスの両親を苦しめるような事になってはいけない、とも考えていた。
「…そうですね。アリスの日記からわかるものだけでも、特にアリスにひどい事をしてきた子達の親の爵位は子爵以上の人間ばかりで伯爵家もいました」
「貴族制度はご存知なんですね?」
「詳しくはないですが、何となくは覚えました」
この国の貴族制度は上から、公爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士になっていて、侯爵という爵位は存在しない。
日本語での読み方でいえば、両方共、こうしゃく、という読み方だから、こちらとしては会話する時には、わかりやすくて良いと思った。
「そうなった場合、公爵家がバックについているとなれば、かなり有利に働くはずです。必要な時はイグスの名前では信用がありませんから、私の名を出していただいてかまいません」
「え!?」
これまた驚いて聞き返すと、ラス様は笑顔で言う。
「もちろん。常識の範囲内でお願いします。ただ、あなたに手を貸すかわりにお願いがあります」
「お願い……、ですか」
公爵家の人が子爵家の人間にお願いなんて何をしろっていうのかしら?
「テツをあなたの婚約者にし、あなたが在学している学園に通わせたいと思っています」
「え?!」
声を上げた私が何か言う前に、哲平が眉をひそめてラス様に言う。
「でも、この身体の持ち主って、年齢は今年で19歳だろ? 学園に行く年齢じゃない」
「あなたの貴族としての常識や知識が学園へ通わないといけないくらいひどいからですよ。この国の事というよりかは貴族の事について知らなすぎる。アリスさんはたしか17歳になられたようですし、アリスさんと同じ学年で良いでしょう。あと、今だから許しますが、外に出たら公爵家の人間として、言葉遣いに気を付けて下さい」
「へい」
「へいじゃなくて?」
「はい」
テツとラス様のやり取りがなんだか面白くて、ついつい笑ってしまう。
なんだか本当の兄弟みたいね。
「何がおもしれぇんだ。じゃない、面白いのだ?」
「そこは面白いんだ、でもいいですよ」
ラス様が呆れた顔で言った。
「何でもないわ。という事はテツは私が住んでいる街に越してくることになるんですか?」
「そうなります、そこでさっきのお願いの話になりますが、アリスさんの家に居候させる事はできませんか?」
「げっ」
哲平と私の声が重なった。
出した言葉が悪かったからなのか、ラス様は一瞬、綺麗なお顔の眉間にシワを寄せたあと、小さく息を吐いてから続ける。
「貴族を相手にするのはあなたが思うほど簡単でも安全でもありません。味方は近くにおいておいた方がいい。同じ屋敷にいれば、万が一、屋敷であなたに危険が及んだ時もすぐに駆けつけられます」
心配してくれているのか…。
ただ、屋敷の中で危険な目には合いたくないわ。
それにしても不思議ね。
私なんて、今日会ったばっかりだし、普通なら別人が身体の中に入ってるっていう話をしても信じてくれるなんて、中々ないと思う。
でも、この国ではおかしい事ではないのかしら?
「どうしてラス様は私達の話を信じてくれて、面倒をみてくれようとしてくれてるんですか?」
疑問を素直に口に出してしまった。
「………」
ラス様が無言で私を見てきたので、嫌な気分にさせてしまったかなと心配になった時、難しい顔をしながら答えてくれた。
「一番の理由はあなた方が嘘をついていないと思えただけです。根拠らしい根拠はありません。ですが、元々、テツの人格が入る前のイグスという人間はクズで、彼のせいで一時期、父の爵位が剥奪されそうにもなった時もあります。テツが入ってくれたおかげで、クズが人間になりました。ですから、とても感謝しているんです」
結構ひどい事言ってますよ。
クズが人間になった…って…。
「あんま褒められた気がしないっす」
哲平が文句を言うけど、さらりとスルーされる。
「それだけでも感謝してるところへ、異国の珍しい文化や文字を知っていたりして、私も勉強になりました。それから、アリスさん、あなたの面倒をみようと思った理由は、異国へやって来て辛いだろうにも関わらず、自分の事ではなく、キュレル子爵令嬢のことばかり考えているからです」
そう言われてみれば、そうだった。
どうせ、元の自分は死んだものだと思い込んでいたからかもしれないけど、アリスの事ばかり考えてた。
でも、あんな日記を読んだら黙っていられないじゃない。
「出来れば、日記に書かれていた辺境伯令息と仲良くなるといいでしょう。学年はわかりませんが、同じ学園に通っているはずです。後ろ盾は多い方が良い」
ラス様は立ち上がると、呆けていた私の頭を優しく撫でてくれる。
「あなたのご両親への連絡や、入学手続きなどの手配がありますので、ここで失礼させていただきます。二人共、くれぐれも無理はしないように」
忙しいのか、ラス様は私達の返事は待たずに行ってしまった。
「おい、ありす」
「ん? 何よ」
なぜか哲平に睨まれていて、こっちも睨み返す。
「覚悟決めてんだろ」
「当たり前でしょ」
「じゃあ、そんなしけた 面すんな」
危ない、危ない。
弱気になっているように見えたみたいだわ。
これからが面白くなるんだから、暗い顔してちゃいけないわよね。
負ける戦は絶対にしない。
気を引き締めなくちゃ。
「ありがと。改めてよろしくね」
「おう。一泡吹かせてやろうぜ」
テツと拳を合わせる。
公爵家がついているなら、中途半端な貴族は私と揉めたくないだろうから、簡単にやり返せるはず。
休み明けはまず、小瓶を渡してきた子の所へ行こうかな。
いや、まずは先に、男同士という事で哲平に辺境伯の息子に近付いてもらう事からはじめようかしら。
「アリスさんは子爵家の御令嬢ですよね。となると、相手の身分の方が高い可能性があるのではないですか?」
そう言われて、私は馬車の中で走り書きではあるけれど、これからの為にと思って書いた、人物相関図を思い出す。
一応、ターゲットを絞っておいたんだけど、その中に伯爵家の人間もいたから下手に手を出して、アリスの両親を苦しめるような事になってはいけない、とも考えていた。
「…そうですね。アリスの日記からわかるものだけでも、特にアリスにひどい事をしてきた子達の親の爵位は子爵以上の人間ばかりで伯爵家もいました」
「貴族制度はご存知なんですね?」
「詳しくはないですが、何となくは覚えました」
この国の貴族制度は上から、公爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、準男爵、騎士になっていて、侯爵という爵位は存在しない。
日本語での読み方でいえば、両方共、こうしゃく、という読み方だから、こちらとしては会話する時には、わかりやすくて良いと思った。
「そうなった場合、公爵家がバックについているとなれば、かなり有利に働くはずです。必要な時はイグスの名前では信用がありませんから、私の名を出していただいてかまいません」
「え!?」
これまた驚いて聞き返すと、ラス様は笑顔で言う。
「もちろん。常識の範囲内でお願いします。ただ、あなたに手を貸すかわりにお願いがあります」
「お願い……、ですか」
公爵家の人が子爵家の人間にお願いなんて何をしろっていうのかしら?
「テツをあなたの婚約者にし、あなたが在学している学園に通わせたいと思っています」
「え?!」
声を上げた私が何か言う前に、哲平が眉をひそめてラス様に言う。
「でも、この身体の持ち主って、年齢は今年で19歳だろ? 学園に行く年齢じゃない」
「あなたの貴族としての常識や知識が学園へ通わないといけないくらいひどいからですよ。この国の事というよりかは貴族の事について知らなすぎる。アリスさんはたしか17歳になられたようですし、アリスさんと同じ学年で良いでしょう。あと、今だから許しますが、外に出たら公爵家の人間として、言葉遣いに気を付けて下さい」
「へい」
「へいじゃなくて?」
「はい」
テツとラス様のやり取りがなんだか面白くて、ついつい笑ってしまう。
なんだか本当の兄弟みたいね。
「何がおもしれぇんだ。じゃない、面白いのだ?」
「そこは面白いんだ、でもいいですよ」
ラス様が呆れた顔で言った。
「何でもないわ。という事はテツは私が住んでいる街に越してくることになるんですか?」
「そうなります、そこでさっきのお願いの話になりますが、アリスさんの家に居候させる事はできませんか?」
「げっ」
哲平と私の声が重なった。
出した言葉が悪かったからなのか、ラス様は一瞬、綺麗なお顔の眉間にシワを寄せたあと、小さく息を吐いてから続ける。
「貴族を相手にするのはあなたが思うほど簡単でも安全でもありません。味方は近くにおいておいた方がいい。同じ屋敷にいれば、万が一、屋敷であなたに危険が及んだ時もすぐに駆けつけられます」
心配してくれているのか…。
ただ、屋敷の中で危険な目には合いたくないわ。
それにしても不思議ね。
私なんて、今日会ったばっかりだし、普通なら別人が身体の中に入ってるっていう話をしても信じてくれるなんて、中々ないと思う。
でも、この国ではおかしい事ではないのかしら?
「どうしてラス様は私達の話を信じてくれて、面倒をみてくれようとしてくれてるんですか?」
疑問を素直に口に出してしまった。
「………」
ラス様が無言で私を見てきたので、嫌な気分にさせてしまったかなと心配になった時、難しい顔をしながら答えてくれた。
「一番の理由はあなた方が嘘をついていないと思えただけです。根拠らしい根拠はありません。ですが、元々、テツの人格が入る前のイグスという人間はクズで、彼のせいで一時期、父の爵位が剥奪されそうにもなった時もあります。テツが入ってくれたおかげで、クズが人間になりました。ですから、とても感謝しているんです」
結構ひどい事言ってますよ。
クズが人間になった…って…。
「あんま褒められた気がしないっす」
哲平が文句を言うけど、さらりとスルーされる。
「それだけでも感謝してるところへ、異国の珍しい文化や文字を知っていたりして、私も勉強になりました。それから、アリスさん、あなたの面倒をみようと思った理由は、異国へやって来て辛いだろうにも関わらず、自分の事ではなく、キュレル子爵令嬢のことばかり考えているからです」
そう言われてみれば、そうだった。
どうせ、元の自分は死んだものだと思い込んでいたからかもしれないけど、アリスの事ばかり考えてた。
でも、あんな日記を読んだら黙っていられないじゃない。
「出来れば、日記に書かれていた辺境伯令息と仲良くなるといいでしょう。学年はわかりませんが、同じ学園に通っているはずです。後ろ盾は多い方が良い」
ラス様は立ち上がると、呆けていた私の頭を優しく撫でてくれる。
「あなたのご両親への連絡や、入学手続きなどの手配がありますので、ここで失礼させていただきます。二人共、くれぐれも無理はしないように」
忙しいのか、ラス様は私達の返事は待たずに行ってしまった。
「おい、ありす」
「ん? 何よ」
なぜか哲平に睨まれていて、こっちも睨み返す。
「覚悟決めてんだろ」
「当たり前でしょ」
「じゃあ、そんなしけた 面すんな」
危ない、危ない。
弱気になっているように見えたみたいだわ。
これからが面白くなるんだから、暗い顔してちゃいけないわよね。
負ける戦は絶対にしない。
気を引き締めなくちゃ。
「ありがと。改めてよろしくね」
「おう。一泡吹かせてやろうぜ」
テツと拳を合わせる。
公爵家がついているなら、中途半端な貴族は私と揉めたくないだろうから、簡単にやり返せるはず。
休み明けはまず、小瓶を渡してきた子の所へ行こうかな。
いや、まずは先に、男同士という事で哲平に辺境伯の息子に近付いてもらう事からはじめようかしら。
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