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第一天:青春(てんし)は突然やってくる。
青春は友情と共に
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エピソード5 〰〰〰青春は友情と共に〰〰〰
ここはとある学校の一室であり普段は生徒会相談室又は生徒会役員室など呼ばれる部屋。
そんな場所には申し訳なさそうな表情の青髪の男性教師と黒髪の男子生徒が一人。
緊張感があるわけではないが二人は雰囲気は
最悪 といってよいほどよろしくない。
「ソーマ先生、天子が転入するというのは本当なんですか?」
「・・・すまん。幸秀・・・マジだ。」
先程は突然として転入生として天子が幸秀のクラスへ入ってきた。
天子のその容姿と性格からかクラス中は活気に溢れていたが、
この部屋の雰囲気はその真逆であろう。
「一応俺だって精一杯やったんだぞ?身元確認もしたし身内を一緒のクラスにするのは不公平だーとか何とか言ってよ」
「っ!!じゃあ天子は身元確認できないんじゃないですか?」
「それが完璧にあったよ。完璧に入江天子の戸籍はあった上にちゃんと海外にいたことの証明もできてるみたいだ。」
「・・・これが天使の力か」
そういえば最初に出会った時に戸籍について何か言ってた気がする。
実際に天使の力があったとすればここで文句を言っても仕方がない。
天子自身が入江 天子 としての戸籍、情報を今はしっかり所持していると認めざるを得ないだろう。
しかし何故入江姓にしたのだろう?
目的が幸秀と一緒にいることだとしても他でもよい気がする。
というか他の方が誤解がなくてよかったのではないだろうか?
「まあ俺は何とも言えない。あの人が試験したからな」
「ああ、天下原理事長がですか・・・」
天下原理事長は人を惹きつけるカリスマと人を見る目がある。
数多の業界で生き抜いてきた理事長だからこその物だ。実際この学校でもその才能は発揮されている。
志がある人で悪徳は良しとしない。
特に生徒には自ら良い方向だと信じた行動をする。
光莉と友人とはいえ、幸秀に対してかなりの思いやりがあるのは感じる。
そんな天下原理事長の判断だ、とソーマ先生は言っているのだろう。
「はあ――分かりました・・・僕も腹をくくります。天子についてはもう大丈夫です」
このまま言ってもただの現実逃避だ。解決策など見えないだろう。
なら受け入れて対策を練った方が遥かに賢い。
「お、おう?それは良かった・・・でもあー...アイツはどうするんだ?」
「アイツ?天子の事は僕は問題なく受け入れますよ?」
「いやっ!!お前っちげぇって!!!」
なんの事だ?アイツ?天子の事はここまで来たなら受け入れるつもりだ。
これから出費などが気になり光莉に頼み込もうとしてることがバレたのか?
「レーナだよ!玲奈!!俺、このままだと怖くてレオンん所へ酒飲みに行けないだろ!」
「レーナがどうかしたんですか?ああなるほど!!」
確かに玲奈は考えていなかった。
僕が天子に手を取られると色々と疎かにしてしまうと言ってるのだろう。
「何か対策があったのか!?」
「ええ完璧です」
「おお幸秀!その自信ある雰囲気!!一応念のため聞いてもいいか?」
「ハハッ。何事かと思いましたがバイトの事ですね?」
「お前ばっきゃろう!!そんな調子で話してみろ!!俺とレオンはこの世から消されるぞ!!」
この学校はヤクザの集まりか何かか。ぞんな簡単に消されては困るぞ。
心の中で自虐を入れつつかなり大げさに焦るソーマ先生を見る。
「お前は玲奈の身内への態度を知らないんだよ!!うぅ・・俺とレオンが何度アイツにこき使われたか・・ありゃ完璧な梓さん似だぞ!!」
「またまた~」
――梓さんはレオンさんの妻―――つまり玲奈の母親だ。
結構な美人な方だでレオンさんが高級ホスト時代からの恋人らしい。
当時、日頃からレオンさんは女癖が悪く遊び歩いてたという。
梓さんからは「そんなレオン君を調教する良妻的立場だったの☆」
と聞いているし今でもレオンさんは尻に敷かれているのをよく見ている。
しかし例え玲奈が似ていようが僕に関係あるであろうか?
「でも僕は女遊びなんてしてませんから。はっはっは」
「はっはっは・・・じゃねぇだろっ!!アホか!?アホなのか!これはヤバイわ!しばらく学校休むか!?」
それは嫌だ。将来のために真面目になると僕は誓ったのだ。
「いやそんな事は無理ですね。」
「えっ、マジでちょっと待ってくれ頼む!」
「じゃあ先生、僕は考えが纏まった内に天子と話してきますので」
僕は立ち上がって。扉へ向かう。
話は早めに済んだので時間はまだ少しあるが焦りすぎて喉が渇いた。
天子と話す前に飲み物でも買っておきたい。
「え、まっ―――」
その日の朝の生徒相談室では男性の情けない泣き声と
「―――まっ・・行かないでくれええええええええええ」
という捨てられた男の叫び声が響きいていた――――
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
「はあはあはあ!!」
とある少女は全力で走る。乙女の危機に校則も法律もない。
あるのは必勝の方程式のみ。
「はあーふう・・・ヨシっ!!」
急いで来たがアイツがいる前で服が乱れているのも嫌だ。
息を整え服装を軽く確認し、うんおっけー!バっちし決まってる!
そのまま教室のドアを開けた。
急いだせいか荒々しく開けたせいでドアが軋むが関係ない。
「ヒカリ!!ユキ!!」
思わず大きな声を呼んじゃったけどそれも今は仕方がない。
しかしそんな玲奈の焦りとは別で探した人物はいなかった。
「・・・いない?」
光莉ちゃんもユキも見当たらない。
それだけではなくて何故か教室のいる人が少ない気がする。
移動教室だったかな?とも思った。
でもまだ時間に余裕があるし、皆の荷物が置いてあるので違うと思う。
周りを見渡していると光莉ちゃんから聞いていた転校生を発見。
見たことがない女の子が私がいつも見てるユキの席に座っていた。
≪あれが転校生かぁ・・・ホントーにカワイイ子じゃん。≫
ブロンドの髪に白い肌、瞳は優しい琥珀色だ。
ブルべの私とは違って明るい色でも似合いそう。
同じ制服を着ているが不思議な感じだ。
私もパパが元々外国人なので瞳は青いが琥珀色の瞳をしている。
≪あれは磨けば光りそう・・・≫
もし彼女さえ許してくれるなら是非メイクさせて欲しいくらいだ。
私の封印された本能と右手がうずく―――
「て、そうじゃない私」
女である玲奈でも見惚れていたが今は目的が違う。
≪これはすさまじい戦いになるかもしれない・・・≫
「乙女の底力じゃい!私!」と呟き気合を入れる。
そして玲奈は転校生の座る席に向かって歩を進めていった――
・
「うわまっず!!新フレーバー登場か知らないけどこんなの売るなよ・・・」
パッケージには新フレーバー わさび&きなこもち味と書かれている。
60円で500mlと無駄に量が多かったので思わず買ってしまった。
しかし今ではその量の多さに後悔の念すら抱いている。
先生との相談後は自動販売機と比べても安い購買に立ち寄った。
そこで気晴らしに安いパックの飲み物だけ買ったのだ。
「お、おい幸秀!!」
「ん?」
そんな幸秀がこのマズさと引き換えに使った60円に
心から涙を流しながら戻ろうとしていた時話しかけられる。
光莉だ。どこから来たのか光莉が後ろに立っている。
どうしたんだろう?購買になにか買いに来たのだろうか?
「どうした光莉?何か買いに来たのか?それとも奢ってくれるのか?」
「玲奈といい、お前といい・・・はあ」
何故か呆れられた様子だが何かしてしまっただろうか?
「どうした?とりあえず何か買うか?」
購買前で不信にみられるのは嫌なので購入を進める。計画通り。
「あ、ああ。ありがとう・・・って普通そこは何か買ってくれるんじゃないのか?」
「ハハッ、ご冗談を。」
ここまで誘ったのは何か買ってくれるかもと思ったからだ。
光莉は律儀なのでこういう場合は絶対何か買う。
「僕が買うのは養ってくれる女の子だけだ。今なら安く買うぞ」
「お前アタシに言っているのか!?喧嘩か!喧嘩売っているのか!?」
見事なシャドーボクシングだが如何せん背が小っちゃい。
本人にいったら怒られるので言わないが・・・
からかわれながらもメロンパンとクリームパンを買って一つ渡してくれる。
これだから光莉という少女は優しい。すこだ。
「光莉は本当にいい奴だな。好きだぞ割と」
「お前の好きは都合のいい女に言う好きだろ!」
「まあとりあえず座って食べよう。」
話は誤魔化すに限る。
光莉は話をしにきたのだろうし天子の事だとなんとなく分かる。
二人そろって購買前にあるベンチに座ってパンをかじる。
「お~、口の中の汚れが取れる・・・」
「うむ・・・やっぱりクリームパンにしとけばよかったか・・・」
メロンパンをかじりながらも名残おしそうに
僕の手元にあるクリームパンを見てくるがもう遅い。
貧乏人に食料を渡したが最後この世にないのと同じだ。
「そういえば光莉は何しに来たんだ?」
「!!っとそうだ!!幸秀。天子は例の件には関係はなさそうだが――」
「ああ知ってるよ。その話さっきソーマ先生から聞いたからなんとなくそうだと思った」
光莉は心配してくれていたのだろう。
唯一・・・いや二人になったが色々事情を知っているのは光莉だ。
「そうなのか?」
「ああ天子は普通(ただ)の出費の悪魔だ」
「そ、そうか・・・じゃなくてだな!またナンパで女の子引っ掛けたと怒られるぞ?」
玲奈の事をこいつまで言ってくるのは玲奈が愛されてるからだろう。
「今回はナンパじゃないから大丈夫じゃないか?」
「そんな話じゃな―――ん゛ん゛ーーー!!」
光莉は急に苦しそうに胸を叩き出だした。
「光莉・・・そんな威嚇しても小さくて可愛らしいだけだぞ」
「ち、ちが―――」
・・・まあ単純に話す時、勢いをつけすぎて喉に詰まってるんだろう。
メロンパンって意外とパサパサしてるものだからな。
飲み物でも買うかと思っていると光莉の目線に気づく。
「ゆ、ゆきh、のみもの・・・」
光莉の視線は幸秀の手元にあるパックのジュースにきているがコレは流石に・・・
≪いや、そんな様子ではなさそうだな≫
「なんでもいいんだな?」
「っ!っ!っ!」
一応確認したら早く寄越せと頷いたので渡してやる。
哀れ光莉すまないが犠牲になってくれ。
「んくんくごく・・・・・!?!?ぶふうううう」
ほら言わんこっちゃないぞ。
少し勿体ないがこの味だ。覚悟ナシなら致し方ないだろう。
「な、なんだコレは!?不味い!不味すぎるぞ!!ぐわあああアタシの舌がああああ」
投げ捨てたパックを器用にキャッチしつつ一気に飲む。
≪確かに不味いけどここまでなるか?≫
光莉が叫びながらゴロゴロ転がっているのを眺めつつ、
500mlあったパックを飲み切って捨てる。
そろそろ他の人の目が流石に恥ずかしくなってきた。
「おい!起きろ起きないと僕の事一生養ってもらうからな」
「い、嫌だああ!!ヒモを飼う趣味などアタシにはない!ゆ、幸秀!そ、そのクリームパン少しくれ!」
意外としっかり振られてしまった。
まあ幸秀が変なジュース(わさび&きなこもち)を買った罪悪感もある。
「しょうがない(貰ったクリームパン)特別にくれてやろう。」
「もぐ!ごほっ!!はぐ!!」
物凄い勢いだ。また詰まりそうになってたが今回は大丈夫だった。
「――ふう。散々な目にあった・・・」
「・・・どうだ光莉。少しは僕も役に立つだろう?養うか?」
「お前のせいでこうなった・・いや私が頼んだのでもあるか・・しかし幸秀!鞭の後に飴を与えるとは卑怯だぞっ!!」
一応完全に僕が悪いと思うがくれといったのは光莉本人だ。
本当にいい奴だ。養ってくれ。
「おー、八つ当たりはしない光莉ちゃんは偉いでちゅね」
「やはり先程殺めておくべきだったか!?」
一本の筋が通ったまっすぐな少女をからかうのはとても楽しい。
幸秀の生きがいだ。しかしつい時間を忘れてしまっていた。
楽しい空間がある中で突然にチャイムが鳴り響く。
呆然と二人で顔を見合わせ―――
――走り出した。
「おい光莉!!何遊んでるんだよ!!」
「う、うるさい!!喋らず前向いて走れっ!!」
「「うおおおおおおおおおおおおお」」
そんな二人は当然怒られた。
―――が先生と転校生の自己紹介もあり遅刻にはならなかった。
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
驚きだ・・・・物凄く驚いた。
今日何度目になるかは本当にわからないがこれで最後にしてほしい。
正直言って少し嬉しい。
目の保養と天子はふざけていたがこれは本当にモデルでもできそうだ。
光莉と帰って来た時授業は始まっていた。
しかし転校生のために内容がグループワークとなっていたのだ。
これは教師自身天子がどれほどの進捗であるかわからないためだろう。
最初は遅刻組の光莉と幸秀の二人だけで受けることを覚悟していた。
しかし―――
「天子さんは今日初めてだ。親族の入江君に教えてもらいなさい。入江君できるね?」
「え、はい・・・」
――とこんな感じで天子が希望した5人でグループを作ることになったのだ。
「あ、あそこだけレベル高くねぇか?」
「まじで入江が羨ましすぎる!」
「ホントだぜ!天使にギャルにロリに変態までいるぞ!!」
≪おいっ!!最後のだけ絶対うらやましくないのが混じってるんだが!!!≫
・・・しかしまあ言いたいことは分かる。
そして僕が驚いたのはそこではない。
今目の前で起きている天子の現状だ。
「まじで天子ちゃんメイクちょー似合ってる!!」
「本当ですか!玲奈さんもブルべが決まっててチョベリグですっ!!」
「ウフフぅ!そーねぇ!アチシもそう思っちゃうわぁ~!!」
チョベリグは絶対に今風ではないだろうと思う。
そして横にいる和・・変態は無視だ。
天子の今の姿は間違いなく玲奈によるものだろう。
ナチュラルメイクされ本来でも整った顔立ちはより際立ち、
天子本来の容姿を考慮してもドキドキしてしまう。
思わず視線を外した先では玲奈が
そんな僕を見つめてニヤニヤと笑っている。
「ユキこーゆーの好きだもんね~?」
み、見抜かれていた・・・
な、何故だ!?これが幼馴染パワーという物か・・・
≪・・しかし何故仲良くなっている≫
目の前で玲奈が見せる表情は明るい。
昔色々あり玲奈は見た目の割に交友や対人は苦手であり臆病さがある。
そんな玲奈とどうやって仲良くなったのだろう。
「お、おい。幸秀どうなってる?」
「わからん。天使パワーか何かか?」
困惑して小声で話しかけてきたのは光莉だ。
遅刻してきたので二人とも状況がさっぱりわからないのだ。
幼馴染と天使は相性が良かったのかなどと考えてもしょうがない。
「おいヒデ!お前もはやく言ってくれたらよかったのに~!!!」
「ほんと!!私も知らないで焦ったじゃない!!」
「な、なんだどういう事だ?」
二人が言っている意味が分からずない。
天子に視線を向けると―――
――舌を出して てへぺろ ポーズだ。
少し可愛いのがまた許せない。
≪しかしそれよりもどういう状況なんだ≫
そして次の二人の一言に
幸秀は何度目か数えるのが馬鹿らしくなる予感と共に驚くのをやめた。
「「こんな可愛い妹がいたなんて!!!!!!!!」」
「は?・・・」
「てへぺろっ☆です」
---
LIME ユキ♡
10月4日
6時23分【ゆき~おはよ~今日もモーニングの
残りのパン多めに置いとくね~】 既読
6時50分【すまん玲奈!!(涙)
今日は本当うううに助かる!!
やっぱり玲奈達がいないと
僕はダメだ!!】
6時51分【すぅ!!え!?!?なに!?
なんて!?聞こえなかった!!
もう一回会った時直接言って!!!】
9時50分【ユキ!!ユキ!!
何か最近変わったことない?
私に怒ってたりしない!?】
9時52分【うわあああああゆきいいいい
パンあげるからっ!!ナンパして
デキ婚とかダメだからね!!!】
10時7分【ユキ!!あんた妹がいるってマジ!?
しかもチョーかわいいじゃん♪】
10時10分【無視すんなしっ!!
もーいーもん、ちょっちメイクして
驚かしてあげるから覚悟しなさい!♪】
10時15分【あんた遅すぎ!!どこにいんの!?】
10時18分【ごめんユキ・・・へんt・・
化け物が生まれちゃった・・・】
---
エピソード5 青春と幼馴染はメイクと共に
続く
ここはとある学校の一室であり普段は生徒会相談室又は生徒会役員室など呼ばれる部屋。
そんな場所には申し訳なさそうな表情の青髪の男性教師と黒髪の男子生徒が一人。
緊張感があるわけではないが二人は雰囲気は
最悪 といってよいほどよろしくない。
「ソーマ先生、天子が転入するというのは本当なんですか?」
「・・・すまん。幸秀・・・マジだ。」
先程は突然として転入生として天子が幸秀のクラスへ入ってきた。
天子のその容姿と性格からかクラス中は活気に溢れていたが、
この部屋の雰囲気はその真逆であろう。
「一応俺だって精一杯やったんだぞ?身元確認もしたし身内を一緒のクラスにするのは不公平だーとか何とか言ってよ」
「っ!!じゃあ天子は身元確認できないんじゃないですか?」
「それが完璧にあったよ。完璧に入江天子の戸籍はあった上にちゃんと海外にいたことの証明もできてるみたいだ。」
「・・・これが天使の力か」
そういえば最初に出会った時に戸籍について何か言ってた気がする。
実際に天使の力があったとすればここで文句を言っても仕方がない。
天子自身が入江 天子 としての戸籍、情報を今はしっかり所持していると認めざるを得ないだろう。
しかし何故入江姓にしたのだろう?
目的が幸秀と一緒にいることだとしても他でもよい気がする。
というか他の方が誤解がなくてよかったのではないだろうか?
「まあ俺は何とも言えない。あの人が試験したからな」
「ああ、天下原理事長がですか・・・」
天下原理事長は人を惹きつけるカリスマと人を見る目がある。
数多の業界で生き抜いてきた理事長だからこその物だ。実際この学校でもその才能は発揮されている。
志がある人で悪徳は良しとしない。
特に生徒には自ら良い方向だと信じた行動をする。
光莉と友人とはいえ、幸秀に対してかなりの思いやりがあるのは感じる。
そんな天下原理事長の判断だ、とソーマ先生は言っているのだろう。
「はあ――分かりました・・・僕も腹をくくります。天子についてはもう大丈夫です」
このまま言ってもただの現実逃避だ。解決策など見えないだろう。
なら受け入れて対策を練った方が遥かに賢い。
「お、おう?それは良かった・・・でもあー...アイツはどうするんだ?」
「アイツ?天子の事は僕は問題なく受け入れますよ?」
「いやっ!!お前っちげぇって!!!」
なんの事だ?アイツ?天子の事はここまで来たなら受け入れるつもりだ。
これから出費などが気になり光莉に頼み込もうとしてることがバレたのか?
「レーナだよ!玲奈!!俺、このままだと怖くてレオンん所へ酒飲みに行けないだろ!」
「レーナがどうかしたんですか?ああなるほど!!」
確かに玲奈は考えていなかった。
僕が天子に手を取られると色々と疎かにしてしまうと言ってるのだろう。
「何か対策があったのか!?」
「ええ完璧です」
「おお幸秀!その自信ある雰囲気!!一応念のため聞いてもいいか?」
「ハハッ。何事かと思いましたがバイトの事ですね?」
「お前ばっきゃろう!!そんな調子で話してみろ!!俺とレオンはこの世から消されるぞ!!」
この学校はヤクザの集まりか何かか。ぞんな簡単に消されては困るぞ。
心の中で自虐を入れつつかなり大げさに焦るソーマ先生を見る。
「お前は玲奈の身内への態度を知らないんだよ!!うぅ・・俺とレオンが何度アイツにこき使われたか・・ありゃ完璧な梓さん似だぞ!!」
「またまた~」
――梓さんはレオンさんの妻―――つまり玲奈の母親だ。
結構な美人な方だでレオンさんが高級ホスト時代からの恋人らしい。
当時、日頃からレオンさんは女癖が悪く遊び歩いてたという。
梓さんからは「そんなレオン君を調教する良妻的立場だったの☆」
と聞いているし今でもレオンさんは尻に敷かれているのをよく見ている。
しかし例え玲奈が似ていようが僕に関係あるであろうか?
「でも僕は女遊びなんてしてませんから。はっはっは」
「はっはっは・・・じゃねぇだろっ!!アホか!?アホなのか!これはヤバイわ!しばらく学校休むか!?」
それは嫌だ。将来のために真面目になると僕は誓ったのだ。
「いやそんな事は無理ですね。」
「えっ、マジでちょっと待ってくれ頼む!」
「じゃあ先生、僕は考えが纏まった内に天子と話してきますので」
僕は立ち上がって。扉へ向かう。
話は早めに済んだので時間はまだ少しあるが焦りすぎて喉が渇いた。
天子と話す前に飲み物でも買っておきたい。
「え、まっ―――」
その日の朝の生徒相談室では男性の情けない泣き声と
「―――まっ・・行かないでくれええええええええええ」
という捨てられた男の叫び声が響きいていた――――
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
「はあはあはあ!!」
とある少女は全力で走る。乙女の危機に校則も法律もない。
あるのは必勝の方程式のみ。
「はあーふう・・・ヨシっ!!」
急いで来たがアイツがいる前で服が乱れているのも嫌だ。
息を整え服装を軽く確認し、うんおっけー!バっちし決まってる!
そのまま教室のドアを開けた。
急いだせいか荒々しく開けたせいでドアが軋むが関係ない。
「ヒカリ!!ユキ!!」
思わず大きな声を呼んじゃったけどそれも今は仕方がない。
しかしそんな玲奈の焦りとは別で探した人物はいなかった。
「・・・いない?」
光莉ちゃんもユキも見当たらない。
それだけではなくて何故か教室のいる人が少ない気がする。
移動教室だったかな?とも思った。
でもまだ時間に余裕があるし、皆の荷物が置いてあるので違うと思う。
周りを見渡していると光莉ちゃんから聞いていた転校生を発見。
見たことがない女の子が私がいつも見てるユキの席に座っていた。
≪あれが転校生かぁ・・・ホントーにカワイイ子じゃん。≫
ブロンドの髪に白い肌、瞳は優しい琥珀色だ。
ブルべの私とは違って明るい色でも似合いそう。
同じ制服を着ているが不思議な感じだ。
私もパパが元々外国人なので瞳は青いが琥珀色の瞳をしている。
≪あれは磨けば光りそう・・・≫
もし彼女さえ許してくれるなら是非メイクさせて欲しいくらいだ。
私の封印された本能と右手がうずく―――
「て、そうじゃない私」
女である玲奈でも見惚れていたが今は目的が違う。
≪これはすさまじい戦いになるかもしれない・・・≫
「乙女の底力じゃい!私!」と呟き気合を入れる。
そして玲奈は転校生の座る席に向かって歩を進めていった――
・
「うわまっず!!新フレーバー登場か知らないけどこんなの売るなよ・・・」
パッケージには新フレーバー わさび&きなこもち味と書かれている。
60円で500mlと無駄に量が多かったので思わず買ってしまった。
しかし今ではその量の多さに後悔の念すら抱いている。
先生との相談後は自動販売機と比べても安い購買に立ち寄った。
そこで気晴らしに安いパックの飲み物だけ買ったのだ。
「お、おい幸秀!!」
「ん?」
そんな幸秀がこのマズさと引き換えに使った60円に
心から涙を流しながら戻ろうとしていた時話しかけられる。
光莉だ。どこから来たのか光莉が後ろに立っている。
どうしたんだろう?購買になにか買いに来たのだろうか?
「どうした光莉?何か買いに来たのか?それとも奢ってくれるのか?」
「玲奈といい、お前といい・・・はあ」
何故か呆れられた様子だが何かしてしまっただろうか?
「どうした?とりあえず何か買うか?」
購買前で不信にみられるのは嫌なので購入を進める。計画通り。
「あ、ああ。ありがとう・・・って普通そこは何か買ってくれるんじゃないのか?」
「ハハッ、ご冗談を。」
ここまで誘ったのは何か買ってくれるかもと思ったからだ。
光莉は律儀なのでこういう場合は絶対何か買う。
「僕が買うのは養ってくれる女の子だけだ。今なら安く買うぞ」
「お前アタシに言っているのか!?喧嘩か!喧嘩売っているのか!?」
見事なシャドーボクシングだが如何せん背が小っちゃい。
本人にいったら怒られるので言わないが・・・
からかわれながらもメロンパンとクリームパンを買って一つ渡してくれる。
これだから光莉という少女は優しい。すこだ。
「光莉は本当にいい奴だな。好きだぞ割と」
「お前の好きは都合のいい女に言う好きだろ!」
「まあとりあえず座って食べよう。」
話は誤魔化すに限る。
光莉は話をしにきたのだろうし天子の事だとなんとなく分かる。
二人そろって購買前にあるベンチに座ってパンをかじる。
「お~、口の中の汚れが取れる・・・」
「うむ・・・やっぱりクリームパンにしとけばよかったか・・・」
メロンパンをかじりながらも名残おしそうに
僕の手元にあるクリームパンを見てくるがもう遅い。
貧乏人に食料を渡したが最後この世にないのと同じだ。
「そういえば光莉は何しに来たんだ?」
「!!っとそうだ!!幸秀。天子は例の件には関係はなさそうだが――」
「ああ知ってるよ。その話さっきソーマ先生から聞いたからなんとなくそうだと思った」
光莉は心配してくれていたのだろう。
唯一・・・いや二人になったが色々事情を知っているのは光莉だ。
「そうなのか?」
「ああ天子は普通(ただ)の出費の悪魔だ」
「そ、そうか・・・じゃなくてだな!またナンパで女の子引っ掛けたと怒られるぞ?」
玲奈の事をこいつまで言ってくるのは玲奈が愛されてるからだろう。
「今回はナンパじゃないから大丈夫じゃないか?」
「そんな話じゃな―――ん゛ん゛ーーー!!」
光莉は急に苦しそうに胸を叩き出だした。
「光莉・・・そんな威嚇しても小さくて可愛らしいだけだぞ」
「ち、ちが―――」
・・・まあ単純に話す時、勢いをつけすぎて喉に詰まってるんだろう。
メロンパンって意外とパサパサしてるものだからな。
飲み物でも買うかと思っていると光莉の目線に気づく。
「ゆ、ゆきh、のみもの・・・」
光莉の視線は幸秀の手元にあるパックのジュースにきているがコレは流石に・・・
≪いや、そんな様子ではなさそうだな≫
「なんでもいいんだな?」
「っ!っ!っ!」
一応確認したら早く寄越せと頷いたので渡してやる。
哀れ光莉すまないが犠牲になってくれ。
「んくんくごく・・・・・!?!?ぶふうううう」
ほら言わんこっちゃないぞ。
少し勿体ないがこの味だ。覚悟ナシなら致し方ないだろう。
「な、なんだコレは!?不味い!不味すぎるぞ!!ぐわあああアタシの舌がああああ」
投げ捨てたパックを器用にキャッチしつつ一気に飲む。
≪確かに不味いけどここまでなるか?≫
光莉が叫びながらゴロゴロ転がっているのを眺めつつ、
500mlあったパックを飲み切って捨てる。
そろそろ他の人の目が流石に恥ずかしくなってきた。
「おい!起きろ起きないと僕の事一生養ってもらうからな」
「い、嫌だああ!!ヒモを飼う趣味などアタシにはない!ゆ、幸秀!そ、そのクリームパン少しくれ!」
意外としっかり振られてしまった。
まあ幸秀が変なジュース(わさび&きなこもち)を買った罪悪感もある。
「しょうがない(貰ったクリームパン)特別にくれてやろう。」
「もぐ!ごほっ!!はぐ!!」
物凄い勢いだ。また詰まりそうになってたが今回は大丈夫だった。
「――ふう。散々な目にあった・・・」
「・・・どうだ光莉。少しは僕も役に立つだろう?養うか?」
「お前のせいでこうなった・・いや私が頼んだのでもあるか・・しかし幸秀!鞭の後に飴を与えるとは卑怯だぞっ!!」
一応完全に僕が悪いと思うがくれといったのは光莉本人だ。
本当にいい奴だ。養ってくれ。
「おー、八つ当たりはしない光莉ちゃんは偉いでちゅね」
「やはり先程殺めておくべきだったか!?」
一本の筋が通ったまっすぐな少女をからかうのはとても楽しい。
幸秀の生きがいだ。しかしつい時間を忘れてしまっていた。
楽しい空間がある中で突然にチャイムが鳴り響く。
呆然と二人で顔を見合わせ―――
――走り出した。
「おい光莉!!何遊んでるんだよ!!」
「う、うるさい!!喋らず前向いて走れっ!!」
「「うおおおおおおおおおおおおお」」
そんな二人は当然怒られた。
―――が先生と転校生の自己紹介もあり遅刻にはならなかった。
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驚きだ・・・・物凄く驚いた。
今日何度目になるかは本当にわからないがこれで最後にしてほしい。
正直言って少し嬉しい。
目の保養と天子はふざけていたがこれは本当にモデルでもできそうだ。
光莉と帰って来た時授業は始まっていた。
しかし転校生のために内容がグループワークとなっていたのだ。
これは教師自身天子がどれほどの進捗であるかわからないためだろう。
最初は遅刻組の光莉と幸秀の二人だけで受けることを覚悟していた。
しかし―――
「天子さんは今日初めてだ。親族の入江君に教えてもらいなさい。入江君できるね?」
「え、はい・・・」
――とこんな感じで天子が希望した5人でグループを作ることになったのだ。
「あ、あそこだけレベル高くねぇか?」
「まじで入江が羨ましすぎる!」
「ホントだぜ!天使にギャルにロリに変態までいるぞ!!」
≪おいっ!!最後のだけ絶対うらやましくないのが混じってるんだが!!!≫
・・・しかしまあ言いたいことは分かる。
そして僕が驚いたのはそこではない。
今目の前で起きている天子の現状だ。
「まじで天子ちゃんメイクちょー似合ってる!!」
「本当ですか!玲奈さんもブルべが決まっててチョベリグですっ!!」
「ウフフぅ!そーねぇ!アチシもそう思っちゃうわぁ~!!」
チョベリグは絶対に今風ではないだろうと思う。
そして横にいる和・・変態は無視だ。
天子の今の姿は間違いなく玲奈によるものだろう。
ナチュラルメイクされ本来でも整った顔立ちはより際立ち、
天子本来の容姿を考慮してもドキドキしてしまう。
思わず視線を外した先では玲奈が
そんな僕を見つめてニヤニヤと笑っている。
「ユキこーゆーの好きだもんね~?」
み、見抜かれていた・・・
な、何故だ!?これが幼馴染パワーという物か・・・
≪・・しかし何故仲良くなっている≫
目の前で玲奈が見せる表情は明るい。
昔色々あり玲奈は見た目の割に交友や対人は苦手であり臆病さがある。
そんな玲奈とどうやって仲良くなったのだろう。
「お、おい。幸秀どうなってる?」
「わからん。天使パワーか何かか?」
困惑して小声で話しかけてきたのは光莉だ。
遅刻してきたので二人とも状況がさっぱりわからないのだ。
幼馴染と天使は相性が良かったのかなどと考えてもしょうがない。
「おいヒデ!お前もはやく言ってくれたらよかったのに~!!!」
「ほんと!!私も知らないで焦ったじゃない!!」
「な、なんだどういう事だ?」
二人が言っている意味が分からずない。
天子に視線を向けると―――
――舌を出して てへぺろ ポーズだ。
少し可愛いのがまた許せない。
≪しかしそれよりもどういう状況なんだ≫
そして次の二人の一言に
幸秀は何度目か数えるのが馬鹿らしくなる予感と共に驚くのをやめた。
「「こんな可愛い妹がいたなんて!!!!!!!!」」
「は?・・・」
「てへぺろっ☆です」
---
LIME ユキ♡
10月4日
6時23分【ゆき~おはよ~今日もモーニングの
残りのパン多めに置いとくね~】 既読
6時50分【すまん玲奈!!(涙)
今日は本当うううに助かる!!
やっぱり玲奈達がいないと
僕はダメだ!!】
6時51分【すぅ!!え!?!?なに!?
なんて!?聞こえなかった!!
もう一回会った時直接言って!!!】
9時50分【ユキ!!ユキ!!
何か最近変わったことない?
私に怒ってたりしない!?】
9時52分【うわあああああゆきいいいい
パンあげるからっ!!ナンパして
デキ婚とかダメだからね!!!】
10時7分【ユキ!!あんた妹がいるってマジ!?
しかもチョーかわいいじゃん♪】
10時10分【無視すんなしっ!!
もーいーもん、ちょっちメイクして
驚かしてあげるから覚悟しなさい!♪】
10時15分【あんた遅すぎ!!どこにいんの!?】
10時18分【ごめんユキ・・・へんt・・
化け物が生まれちゃった・・・】
---
エピソード5 青春と幼馴染はメイクと共に
続く
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