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33.『私』と私
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暗闇で小さなエリックが泣いている。その横には同じく小さな『私』がいて、彼の頭を撫でていた。それをすぐ傍で見ている私。
「これは一体……?」
思わず声を出してしまって慌てて口を塞ぐが、エリックも『私』も気付く様子がない。手を掲げてみたり下を向いたりしたけれど、視界が変わるだけで身体の一部が映ることはなかった。観劇しているかのようで、これは夢を見ているのだろうと無理矢理納得することにした。
すると先ほどまで真っ暗だったはずなのに、フッと風景が浮かび上がる。綺麗に手入れされた庭園の隅にある大きな木と、その枝につるされたブランコ。見覚えのあるそれは、エリックのおじいさんが付けてくれたものだ。
「……あ、そうか。ここは」
そうだ、ホルスト家の庭だ。エリックは叱られたり悲しいことがあると、ブランコの反対側の幹に隠れて泣いていたっけ。
初めはブランコを漕ぎながらエリックに何があったのか訊ね、それでも埒が明かないときは傍まで行って慰めるのだ。この時もそうだったのだろう。ブランコだけが余韻で小さ揺れていた。
「ラリア、ごめんね……僕のせいで」
「どこもなんともないから大丈夫だよ。それにあんな奴らの言うこと、真に受けなくていいの」
「でも、本当のことだし……僕はおかしいんだ。いつか僕のせいでラリアを怪我させてしまうんだって言ってた」
(ああ……こういうこと、何度かあったなぁ)
幼いころから魔力の強いエリックは、それゆえに感情の起伏で制御しきれずに暴走しがちだった。自分が何かされたり言われるのは我慢できるのに、私が絡むと我を忘れてしまうことがよくあった。大切に想われているのは嬉しいけれど、私のために涙を流して欲しくない。それに乱暴だ、なんだと言われたところで、本人である私が気にしていないのだから尚更。
「私は平気だから気にしなくていいのに。さっきだって仕返しに足を踏んずけてやったわ」
「うん……ラリアが強いことは分かってるよ。でも嫌なんだ。ラリアの足が可哀想」
魔術は詠唱や魔方陣によって正確に魔法を放つ術であり、その過程を経ることで不用意な発動や暴発を避けられる。が、私も含めて普通は魔力の増強で苦労するために、あえて制御することはない。となると術を知らない強すぎる魔力は子どもは恐れられ、大きくなってからも遠巻きにされてしまう。素晴らしい才能に尊敬こそすれ、負の感情を向けるなんてあり得ない。それでなくとも大切な幼馴染なのに。私はその度に、近くで励ましたり寄り添うと落ち着いたから、周囲からは私がエリックのストッパーだと言われてたりするのだろう。
学園で理論と実践を学んだり、お父様との特訓のおかげで強すぎる魔力を抑えるだけでなく、上手く活用できるようになったのはエリックの努力の賜物だ。その頃には彼自身、周りの反応を一切気にしなくなっていたけれど。
でもまだこれは、まだ気にしていた頃だ。落ち込む小さなエリックには悪いけれど、ものすごく可愛い。いつか子どもができたら、こんな感じになのかなぁ、なんて思ったり。
「練習して強くなろ! お父様にお願いしてあげるから、ね?」
「ラリアも一緒?」
「もちろん! 私は大きくなったらお父様みたいにすごい魔術師になりたいの。悪いやつはお仕置きするし、怪我しても治しちゃうんだから」
「じゃあ、僕も。僕もなる!」
「だったらずっと一緒にいられるね」
「ほんと!?」
まだ私のほうが身長が高かった時代だったから、エリックはその言葉に漸く顔を上げて、『私』にしがみつく。今は切れ長の瞳だが、まだ丸いそれが涙のせいでキラキラと輝いている。あまりの可愛さに胸を押さえようとして身体がないことを思い出した。
「僕、頑張る! 絶対ラリアを守ってあげれるくらい強くなる!」
「私もエリックに負けないわよ!」
抱き合って笑っている小さな二人を微笑ましく眺めた。思い返せばこの頃からだろう。エリックがあまり泣かなくなったのは。そして私の心にもこの出来事は残っていて、いつかエリックみたいに困っている子の助けになりたいと、魔力についてコントロールしたり学べる場を作りたいと思うようになったのだ。
「大きくなっても、ずっと一緒だよ。僕から離れないでね」
「もちろん! 約束ね!」
「ふふ、嬉しいな。僕を置いてどこか行ったらダメだよ」
泣き顔から一変して満面の笑みを向ける幼いエリックは可愛いくて思わず微笑んでしまう。そういえば、彼はいつからあんな仏頂面になってしまったのだろうか。でも今のエリックがこんなに笑顔を振りまいたら、ヤキモキしてしまいそうだから今のままでいいか。想像できないけど。
「そんなことしたら大変ね! 今みたいに泣いちゃうかしら?」
「泣いて暴れて連れ戻して、誰にも見つからないところに仕舞っちゃうかもしれない」
「あの宝箱に入れてくれるの? だったらエリックのところのフルーツパイも入れてね。あ、そろそろお菓子の時間だわ。行きましょう!」
エリックの頭を数回撫でると、『私』は踵を返して走り出した。少し出遅れてしまったエリックも慌てて追いかける。
「待って!ラリア!」
「早く着いた方が多く食べられるのよ!」
「~~っ!」
小さくなっていく二人の背中を追いかけようとしたら、背後から声が聞こえた。なんだろう? と、振り向いた瞬間、景色が変わった。
* * *
目の前に魔術師のマントを羽織った『私』が歩いている。いつの記憶なのだろうか? 髪の長さでおおよそ卒業して魔術師団員になってから、ということは分かる。それから前を歩く『私』を見ている私は先ほど同様、実体を持っていない。周囲を見渡すと、どうやら魔術師団の建物の中にいるようだ。ふと声が聞こえてそちらを見れば、いつの間にか『私』が誰かと話していた。同じマントを羽織っていることから団員仲間なのだろう。
「ああ、中庭を歩いているのを見たよ」
「ありがとう。行ってみるわ」
そういうと、『私』は方向転換して歩き出したのでついていく。渡り廊下から中庭に出たが、そこにもエリックの姿が見えず、とりあえずもう少し先を見てから戻ろうか、と足を踏み出したところに誰かが話す声が聞こえてきた。耳をすませてみればケイシ―の声だと気付く。
学生のころ、生徒に絡まれていた場面を思い出した。
「そういうこと、結構あるんだ」
と、目を伏せた表情をしたケイシーに胸が締め付けられた。そんなの慣れていいことではない。
一対複数で囲まれていたら……! 今の私には見ることしかできないけど、目の前の『私』ならばそれを無視することはしないはず。案の定、『私』は駆け出した。私もその背後からついていくように視界が動く。
建物の影から勢いよく出ると、飛び込んできた光景に頭が真っ白になってしまった。『私』も私も。
(あ……!)
エリックがケイシーの肩を掴んでいたのだ。それだけではない。二人の顔があまりにも近くて、まるでキスをする直前のようで。気付かれないよう踵を返し、ひたすら足を動かした。何も聞きたくない。事実を突きつけられるのが怖かった。
――もしかしたら今まで何度もこうして隠れて会っていたのだろうか? ケイシーに対しての態度は、今まで寄ってきていた女の子たちにするものとは違っていた。『私』との結婚自体がこのことを隠すためだとしたら?
ケイシーは誰が見ても愛らしい女の子にしか見えないけれど、れっきとした男だ。この国ではケイシーとは結婚できないから、王家と婚約させられそうな私を憐れに思ってくれただけなのかもしれない。婚約する前に色々と私に利があることを言っていたのは、こういう意図があったのだ。
エリックとは生まれた家が近くて、同じ学園に通って魔術師になった、ただの幼馴染。今まで深く考えていなかったけれど、結婚してから明確な愛の言葉がなかったのはこういうことだったなんて。想像以上にショックだった。
ううん、今ならまだ、間に合う。エリックへの『好き』は、家族としての好きと同じで、独占欲に塗れるような特別なものなんかじゃない。胸が痛いのは、除け者にされた気がするからだ。
先ほどまで見えていた景色が消えて真っ暗な中、『私』の思考らしきものが流れ込んでくる。グチャグチャになった感情も。愚かな『私』はこの件で、漸くエリックへの気持ちを自覚したのだ。鈍感にもほどがある。
そして『私』は決意したのだ。それならせめて妻としてエリックとの子供が欲しいと。エリックに愛されていたから結果として良かったものの、客観視できる今は、なんて斜め上の発想だろうと分かる。
暫くして、意を決した私はエリックにベッドの上で告げたのだ。断られるか、淡々と行為をするのかと思いきや、豹変したエリックからめちゃくちゃに愛されるという、とんでもないことになったわけだけれど。
「これは一体……?」
思わず声を出してしまって慌てて口を塞ぐが、エリックも『私』も気付く様子がない。手を掲げてみたり下を向いたりしたけれど、視界が変わるだけで身体の一部が映ることはなかった。観劇しているかのようで、これは夢を見ているのだろうと無理矢理納得することにした。
すると先ほどまで真っ暗だったはずなのに、フッと風景が浮かび上がる。綺麗に手入れされた庭園の隅にある大きな木と、その枝につるされたブランコ。見覚えのあるそれは、エリックのおじいさんが付けてくれたものだ。
「……あ、そうか。ここは」
そうだ、ホルスト家の庭だ。エリックは叱られたり悲しいことがあると、ブランコの反対側の幹に隠れて泣いていたっけ。
初めはブランコを漕ぎながらエリックに何があったのか訊ね、それでも埒が明かないときは傍まで行って慰めるのだ。この時もそうだったのだろう。ブランコだけが余韻で小さ揺れていた。
「ラリア、ごめんね……僕のせいで」
「どこもなんともないから大丈夫だよ。それにあんな奴らの言うこと、真に受けなくていいの」
「でも、本当のことだし……僕はおかしいんだ。いつか僕のせいでラリアを怪我させてしまうんだって言ってた」
(ああ……こういうこと、何度かあったなぁ)
幼いころから魔力の強いエリックは、それゆえに感情の起伏で制御しきれずに暴走しがちだった。自分が何かされたり言われるのは我慢できるのに、私が絡むと我を忘れてしまうことがよくあった。大切に想われているのは嬉しいけれど、私のために涙を流して欲しくない。それに乱暴だ、なんだと言われたところで、本人である私が気にしていないのだから尚更。
「私は平気だから気にしなくていいのに。さっきだって仕返しに足を踏んずけてやったわ」
「うん……ラリアが強いことは分かってるよ。でも嫌なんだ。ラリアの足が可哀想」
魔術は詠唱や魔方陣によって正確に魔法を放つ術であり、その過程を経ることで不用意な発動や暴発を避けられる。が、私も含めて普通は魔力の増強で苦労するために、あえて制御することはない。となると術を知らない強すぎる魔力は子どもは恐れられ、大きくなってからも遠巻きにされてしまう。素晴らしい才能に尊敬こそすれ、負の感情を向けるなんてあり得ない。それでなくとも大切な幼馴染なのに。私はその度に、近くで励ましたり寄り添うと落ち着いたから、周囲からは私がエリックのストッパーだと言われてたりするのだろう。
学園で理論と実践を学んだり、お父様との特訓のおかげで強すぎる魔力を抑えるだけでなく、上手く活用できるようになったのはエリックの努力の賜物だ。その頃には彼自身、周りの反応を一切気にしなくなっていたけれど。
でもまだこれは、まだ気にしていた頃だ。落ち込む小さなエリックには悪いけれど、ものすごく可愛い。いつか子どもができたら、こんな感じになのかなぁ、なんて思ったり。
「練習して強くなろ! お父様にお願いしてあげるから、ね?」
「ラリアも一緒?」
「もちろん! 私は大きくなったらお父様みたいにすごい魔術師になりたいの。悪いやつはお仕置きするし、怪我しても治しちゃうんだから」
「じゃあ、僕も。僕もなる!」
「だったらずっと一緒にいられるね」
「ほんと!?」
まだ私のほうが身長が高かった時代だったから、エリックはその言葉に漸く顔を上げて、『私』にしがみつく。今は切れ長の瞳だが、まだ丸いそれが涙のせいでキラキラと輝いている。あまりの可愛さに胸を押さえようとして身体がないことを思い出した。
「僕、頑張る! 絶対ラリアを守ってあげれるくらい強くなる!」
「私もエリックに負けないわよ!」
抱き合って笑っている小さな二人を微笑ましく眺めた。思い返せばこの頃からだろう。エリックがあまり泣かなくなったのは。そして私の心にもこの出来事は残っていて、いつかエリックみたいに困っている子の助けになりたいと、魔力についてコントロールしたり学べる場を作りたいと思うようになったのだ。
「大きくなっても、ずっと一緒だよ。僕から離れないでね」
「もちろん! 約束ね!」
「ふふ、嬉しいな。僕を置いてどこか行ったらダメだよ」
泣き顔から一変して満面の笑みを向ける幼いエリックは可愛いくて思わず微笑んでしまう。そういえば、彼はいつからあんな仏頂面になってしまったのだろうか。でも今のエリックがこんなに笑顔を振りまいたら、ヤキモキしてしまいそうだから今のままでいいか。想像できないけど。
「そんなことしたら大変ね! 今みたいに泣いちゃうかしら?」
「泣いて暴れて連れ戻して、誰にも見つからないところに仕舞っちゃうかもしれない」
「あの宝箱に入れてくれるの? だったらエリックのところのフルーツパイも入れてね。あ、そろそろお菓子の時間だわ。行きましょう!」
エリックの頭を数回撫でると、『私』は踵を返して走り出した。少し出遅れてしまったエリックも慌てて追いかける。
「待って!ラリア!」
「早く着いた方が多く食べられるのよ!」
「~~っ!」
小さくなっていく二人の背中を追いかけようとしたら、背後から声が聞こえた。なんだろう? と、振り向いた瞬間、景色が変わった。
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目の前に魔術師のマントを羽織った『私』が歩いている。いつの記憶なのだろうか? 髪の長さでおおよそ卒業して魔術師団員になってから、ということは分かる。それから前を歩く『私』を見ている私は先ほど同様、実体を持っていない。周囲を見渡すと、どうやら魔術師団の建物の中にいるようだ。ふと声が聞こえてそちらを見れば、いつの間にか『私』が誰かと話していた。同じマントを羽織っていることから団員仲間なのだろう。
「ああ、中庭を歩いているのを見たよ」
「ありがとう。行ってみるわ」
そういうと、『私』は方向転換して歩き出したのでついていく。渡り廊下から中庭に出たが、そこにもエリックの姿が見えず、とりあえずもう少し先を見てから戻ろうか、と足を踏み出したところに誰かが話す声が聞こえてきた。耳をすませてみればケイシ―の声だと気付く。
学生のころ、生徒に絡まれていた場面を思い出した。
「そういうこと、結構あるんだ」
と、目を伏せた表情をしたケイシーに胸が締め付けられた。そんなの慣れていいことではない。
一対複数で囲まれていたら……! 今の私には見ることしかできないけど、目の前の『私』ならばそれを無視することはしないはず。案の定、『私』は駆け出した。私もその背後からついていくように視界が動く。
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(あ……!)
エリックがケイシーの肩を掴んでいたのだ。それだけではない。二人の顔があまりにも近くて、まるでキスをする直前のようで。気付かれないよう踵を返し、ひたすら足を動かした。何も聞きたくない。事実を突きつけられるのが怖かった。
――もしかしたら今まで何度もこうして隠れて会っていたのだろうか? ケイシーに対しての態度は、今まで寄ってきていた女の子たちにするものとは違っていた。『私』との結婚自体がこのことを隠すためだとしたら?
ケイシーは誰が見ても愛らしい女の子にしか見えないけれど、れっきとした男だ。この国ではケイシーとは結婚できないから、王家と婚約させられそうな私を憐れに思ってくれただけなのかもしれない。婚約する前に色々と私に利があることを言っていたのは、こういう意図があったのだ。
エリックとは生まれた家が近くて、同じ学園に通って魔術師になった、ただの幼馴染。今まで深く考えていなかったけれど、結婚してから明確な愛の言葉がなかったのはこういうことだったなんて。想像以上にショックだった。
ううん、今ならまだ、間に合う。エリックへの『好き』は、家族としての好きと同じで、独占欲に塗れるような特別なものなんかじゃない。胸が痛いのは、除け者にされた気がするからだ。
先ほどまで見えていた景色が消えて真っ暗な中、『私』の思考らしきものが流れ込んでくる。グチャグチャになった感情も。愚かな『私』はこの件で、漸くエリックへの気持ちを自覚したのだ。鈍感にもほどがある。
そして『私』は決意したのだ。それならせめて妻としてエリックとの子供が欲しいと。エリックに愛されていたから結果として良かったものの、客観視できる今は、なんて斜め上の発想だろうと分かる。
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