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17.強行突破、とは?
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「ラリア、体調はどう?」
背後から声をかけられて振り向くと、見覚えのある顔が。ケイシーが杖を腰紐に差しながら近付いてきていた。
少し離れたところで別の隊と任務後の検分をしているエリックが視界に入る。多分こちらには気付いていないだろうから、彼からのフォローは見込めない。未だにケイシーのことに覚えがない私は、余計なことを言ってしまわぬように、と気を引き締めた。記憶が抜けていることはあまり他人に言わない方がいいはず。墓穴を掘らないようにしなければ……。
「ありがとう。おかげさまで」
「復帰後の初任務だったから心配してたけど、相変わらず迷いのない攻撃で惚れ惚れしちゃった」
目を輝かせながらそう言われて、警戒心が少し緩む。
学生の身では魔導師団について演習に行ったときくらいしか、実戦の経験がなかったから不安だった。そのために今日まで、徐々に身体を慣らしながらエリックと訓練を重ねてきた。
おかげで今の私が使える魔術に怯むことなく前線に立てたし、予想より呆気なく終わったといえる。考えるよりも先に反応できたから、経験や努力が身体に染み込んでいるのがよく分かった。寧ろ戦闘よりも魔術師メンバーの顔と名前を頭に叩き込むほうが大変だったほどだ。
怪しまれないか心配していたけど、周りからは怪我を軽く労られただけで特に怪しまれることはなかった。魔術師は基本的に他人に興味がない者が多く、連携を取る際に少し苦労をするのだが、今回はそれに助けられた。だからそんな中で、気遣って声を掛けてくれたケイシーは珍しい存在で、曖昧に笑って誤魔化しながらも彼女との距離を掴みかねているのだ。
「ラリア」
ケイシ―は辺りを窺うと、内緒話をするように私の耳元に顔を近付けてきた。何だろう……?
「ほら、ササルタの件だけど……」
「ササルタ……!?」
思いもよらないケイシーの言葉にうっかり声を上げてしまい、慌てて口を押さえた。ケイシ―も驚いたようで、丸い瞳をさらに真ん丸にしている。
(いきなりなんだろう……)
ササルタといえば海を渡った先にある友好国だ。この国以上に魔術の研究が盛んで学園にも交換留学生が何人かいた。成績上位ならば選考メンバーに入れるので、常に首位のエリックは確定だろうと言われていた。私も狙っているのだけれど……って今は過去になるのか。その話はエリックとしていないから、行ったのかどうか私には分からない。発言には気を付けなければ。「……そ、それがどうしたの?」
「準備はどうかな、って」
もしかして私はササルタに行くことになっていたのだろうか。旅行? それとも魔術師としての任務? 混乱でグルグルと目が回りそうだ。
「あー、えっと、ほら、最近まで寝込んでたからさ」
「そっか、もちろん体調と相談しながらだけど、そろそろ準備をしたほうがいいと思うよ」
冷や汗をかきながらも、当たり障りのない返事をすればケイシーは納得してくれたらしい。体調はいいんだけど、記憶の面では大問題です! なんにも分かりません、ごめんなさい! ……なんて言えるはずもなく。
「いや、それは大丈夫だけど、うん、そう、でもまだエリックとも十分話し合えてなくって」
あんなに心配性になっているエリックだ。事前に話し合っていて、当時了解を得ていたかは分からないが、今となっては数か月も昏睡状態だったのだ。簡単に海の向こうに行かせてもらえるとは思えない。なんせ街に出ることすら難色を示すくらいなのだから。
「え!? エリックに言うつもり!?」
「あっ! いや、その……」
挙動不審な私を訝し気に見るケイシー。頭の中は真っ白だ。何が正解なのか分からないんだもの! 誰か助けて!
「絶対反対されるから、勅令で強行突破するって言ってなかったっけ」
「勅れ……? あ、いや、そうだったかも……ハハ」
どうやら私はエリックに秘密だったらしい。背中には嫌な汗が滝のように流れ落ちるが、悟られないように笑顔で誤魔化すに限る。でもちょっとしたことでもエリックに相談してきた私としては、強行突破だなんて随分と思い切ったようだ。それほどまでに行きたかったのだろうか?
それにしても勅令ってことは、王室直属の新しい魔術の研究チームに入る、とか? それでササルタで研究でもするのかな? うん、だったら気になる……。というか、めちゃくちゃ行ってみたいもん。けれど何か引っかかる。エリックに秘密にしておくなんてこと、私にできるとは思えないから。
「大丈夫? やっぱりまだ本調子じゃないよね」
考え込んでしまった私をケイシ―が心配そうに見つめていた。今は考えている場合じゃない。
「う、うん。そうみたい。数か月空いちゃったし忘れてることがあるといけないから、その件に関して詳しく教えてもらっていい?」
「そうだね、その方がよさそう。じゃあ次の休みに一度話さない? お昼なら一緒に出掛けられるでしょ?」
やった! なんとか事の次第を知ることができそうだ。エリックに伝えるのはそれを聞いてから判断したほうがいいだろう。何の理由があって強行突破をしようとしたのか。
(ごめん! エリック!)
心の中でエリックに謝罪すると、期待に満ちた表情のケイシ―を見つめた。可愛らしい仕草に自然と笑みが浮かぶ。妹がいたら、こんな感じだったのかな? なんて。
学園では勉強や訓練三昧で忙しくて、エリック以外の誰かと出かけたりなどしたことがないから少し興味もある。脳内のエリックから剣呑なオーラが出ているが振り払って、彼女の誘いに乗ることにした。
「分かった」
「あ、エリックにはもちろん遠慮してもらって、ね?」
「うん。説得するね」
「わぁ、楽しみ! 久しぶりだし、色んなお店に行こうね」
了承した私に、ケイシーは嬉しそうに笑った。裏がありそうには全く見えないけれど……。
「あ、エリック」
そこから魔導書の話に花が咲いていると、ケイシーがぽつりと呟いた。同時に背後から肩を抱き寄せられる。振り返りながら見上げると、いつもの無表情に少しだけ苛立ちを乗せたエリックがいた。討伐が終わったとはいえ、呑気に雑談をしていたのは軽率だったと気付く。
「ごめん、話し込んじゃって。検分はもう終わった?」
「ああ、問題ない。そろそろ帰還するようだ」
私の言葉にそう答えたエリックは、目の前のケイシーをチラリと見た。その瞬間ケイシーが身じろぐ。
「……じゃあそろそろ戻るね。ラリア、楽しみにしてる」
そう言うとケイシーは肩をポンと叩いて去っていった。その背中に向けていた視線をエリックに戻すと、彼はまだケイシーのほうを見ていた。その表情は少し硬い。
「エリック? どうかした?」
「いや、話し中に割って入って悪かったな。それより何か約束でも?」
去り際のケイシーの台詞についてだろう。寧ろエリックから振ってくれてお願いしやすい。
「今度の休みにケイシーと出かけていいかな?」
「二人きりで?」
「うん。街並みもそう変わってなかったから大丈夫だと思う」
「…………」
訝しげに見つめるエリックの視線にくじけそうになる。彼の気持ちも分かってはいるが。
「ね、お願い!」
長い溜め息と共にエリックが肩をすくめる。これはもしかして……。
「……はぁ、仕方ない。念のため繋がれるようなものを身に着けて、それから……」
「分かってるって! それよりもうすぐ帰還よ。行きましょう」
案の定、ブツブツと呟いているが、渋々ながらも了承してくれたエリックの腕を叩いて促した。
背後から声をかけられて振り向くと、見覚えのある顔が。ケイシーが杖を腰紐に差しながら近付いてきていた。
少し離れたところで別の隊と任務後の検分をしているエリックが視界に入る。多分こちらには気付いていないだろうから、彼からのフォローは見込めない。未だにケイシーのことに覚えがない私は、余計なことを言ってしまわぬように、と気を引き締めた。記憶が抜けていることはあまり他人に言わない方がいいはず。墓穴を掘らないようにしなければ……。
「ありがとう。おかげさまで」
「復帰後の初任務だったから心配してたけど、相変わらず迷いのない攻撃で惚れ惚れしちゃった」
目を輝かせながらそう言われて、警戒心が少し緩む。
学生の身では魔導師団について演習に行ったときくらいしか、実戦の経験がなかったから不安だった。そのために今日まで、徐々に身体を慣らしながらエリックと訓練を重ねてきた。
おかげで今の私が使える魔術に怯むことなく前線に立てたし、予想より呆気なく終わったといえる。考えるよりも先に反応できたから、経験や努力が身体に染み込んでいるのがよく分かった。寧ろ戦闘よりも魔術師メンバーの顔と名前を頭に叩き込むほうが大変だったほどだ。
怪しまれないか心配していたけど、周りからは怪我を軽く労られただけで特に怪しまれることはなかった。魔術師は基本的に他人に興味がない者が多く、連携を取る際に少し苦労をするのだが、今回はそれに助けられた。だからそんな中で、気遣って声を掛けてくれたケイシーは珍しい存在で、曖昧に笑って誤魔化しながらも彼女との距離を掴みかねているのだ。
「ラリア」
ケイシ―は辺りを窺うと、内緒話をするように私の耳元に顔を近付けてきた。何だろう……?
「ほら、ササルタの件だけど……」
「ササルタ……!?」
思いもよらないケイシーの言葉にうっかり声を上げてしまい、慌てて口を押さえた。ケイシ―も驚いたようで、丸い瞳をさらに真ん丸にしている。
(いきなりなんだろう……)
ササルタといえば海を渡った先にある友好国だ。この国以上に魔術の研究が盛んで学園にも交換留学生が何人かいた。成績上位ならば選考メンバーに入れるので、常に首位のエリックは確定だろうと言われていた。私も狙っているのだけれど……って今は過去になるのか。その話はエリックとしていないから、行ったのかどうか私には分からない。発言には気を付けなければ。「……そ、それがどうしたの?」
「準備はどうかな、って」
もしかして私はササルタに行くことになっていたのだろうか。旅行? それとも魔術師としての任務? 混乱でグルグルと目が回りそうだ。
「あー、えっと、ほら、最近まで寝込んでたからさ」
「そっか、もちろん体調と相談しながらだけど、そろそろ準備をしたほうがいいと思うよ」
冷や汗をかきながらも、当たり障りのない返事をすればケイシーは納得してくれたらしい。体調はいいんだけど、記憶の面では大問題です! なんにも分かりません、ごめんなさい! ……なんて言えるはずもなく。
「いや、それは大丈夫だけど、うん、そう、でもまだエリックとも十分話し合えてなくって」
あんなに心配性になっているエリックだ。事前に話し合っていて、当時了解を得ていたかは分からないが、今となっては数か月も昏睡状態だったのだ。簡単に海の向こうに行かせてもらえるとは思えない。なんせ街に出ることすら難色を示すくらいなのだから。
「え!? エリックに言うつもり!?」
「あっ! いや、その……」
挙動不審な私を訝し気に見るケイシー。頭の中は真っ白だ。何が正解なのか分からないんだもの! 誰か助けて!
「絶対反対されるから、勅令で強行突破するって言ってなかったっけ」
「勅れ……? あ、いや、そうだったかも……ハハ」
どうやら私はエリックに秘密だったらしい。背中には嫌な汗が滝のように流れ落ちるが、悟られないように笑顔で誤魔化すに限る。でもちょっとしたことでもエリックに相談してきた私としては、強行突破だなんて随分と思い切ったようだ。それほどまでに行きたかったのだろうか?
それにしても勅令ってことは、王室直属の新しい魔術の研究チームに入る、とか? それでササルタで研究でもするのかな? うん、だったら気になる……。というか、めちゃくちゃ行ってみたいもん。けれど何か引っかかる。エリックに秘密にしておくなんてこと、私にできるとは思えないから。
「大丈夫? やっぱりまだ本調子じゃないよね」
考え込んでしまった私をケイシ―が心配そうに見つめていた。今は考えている場合じゃない。
「う、うん。そうみたい。数か月空いちゃったし忘れてることがあるといけないから、その件に関して詳しく教えてもらっていい?」
「そうだね、その方がよさそう。じゃあ次の休みに一度話さない? お昼なら一緒に出掛けられるでしょ?」
やった! なんとか事の次第を知ることができそうだ。エリックに伝えるのはそれを聞いてから判断したほうがいいだろう。何の理由があって強行突破をしようとしたのか。
(ごめん! エリック!)
心の中でエリックに謝罪すると、期待に満ちた表情のケイシ―を見つめた。可愛らしい仕草に自然と笑みが浮かぶ。妹がいたら、こんな感じだったのかな? なんて。
学園では勉強や訓練三昧で忙しくて、エリック以外の誰かと出かけたりなどしたことがないから少し興味もある。脳内のエリックから剣呑なオーラが出ているが振り払って、彼女の誘いに乗ることにした。
「分かった」
「あ、エリックにはもちろん遠慮してもらって、ね?」
「うん。説得するね」
「わぁ、楽しみ! 久しぶりだし、色んなお店に行こうね」
了承した私に、ケイシーは嬉しそうに笑った。裏がありそうには全く見えないけれど……。
「あ、エリック」
そこから魔導書の話に花が咲いていると、ケイシーがぽつりと呟いた。同時に背後から肩を抱き寄せられる。振り返りながら見上げると、いつもの無表情に少しだけ苛立ちを乗せたエリックがいた。討伐が終わったとはいえ、呑気に雑談をしていたのは軽率だったと気付く。
「ごめん、話し込んじゃって。検分はもう終わった?」
「ああ、問題ない。そろそろ帰還するようだ」
私の言葉にそう答えたエリックは、目の前のケイシーをチラリと見た。その瞬間ケイシーが身じろぐ。
「……じゃあそろそろ戻るね。ラリア、楽しみにしてる」
そう言うとケイシーは肩をポンと叩いて去っていった。その背中に向けていた視線をエリックに戻すと、彼はまだケイシーのほうを見ていた。その表情は少し硬い。
「エリック? どうかした?」
「いや、話し中に割って入って悪かったな。それより何か約束でも?」
去り際のケイシーの台詞についてだろう。寧ろエリックから振ってくれてお願いしやすい。
「今度の休みにケイシーと出かけていいかな?」
「二人きりで?」
「うん。街並みもそう変わってなかったから大丈夫だと思う」
「…………」
訝しげに見つめるエリックの視線にくじけそうになる。彼の気持ちも分かってはいるが。
「ね、お願い!」
長い溜め息と共にエリックが肩をすくめる。これはもしかして……。
「……はぁ、仕方ない。念のため繋がれるようなものを身に着けて、それから……」
「分かってるって! それよりもうすぐ帰還よ。行きましょう」
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