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場所を移動して、木陰で作戦会議をする。
ルイスにはついでに、これまで取ったノートを持ってきてもらった。
「凄い数ね。百冊以上あるのよね?」
「はいです!」
これを全部目を通すのは時間がかかりすぎる。
とりあえず、日付が近いものから流し見しつつ、意見交換でもしよう。
「この学園にもう一人の魔女がいる。あなたはどう思う?」
「えーっと……」
「思ったことを言っていいわよ」
「じゃあ! 私はいないと思います!」
彼女はキッパリそう答えた。
少し驚く。
「どうしてそう思うの?」
「魔女なら私やリベルさんが、見つけられないわけないからですよ」
「上手く隠れているんじゃないの? あなたみたい魔力を消して」
「それは無理です。完全に魔力を消せるのは、私がそういう魔力の性質を持っているからで、セミラミス様でも無理なんですから」
「性質?」
「そうですよ! 魔力には個人差があって、性質も違います。私の場合は霞のような性質があって、だから幻覚とかの魔法と相性がいいんですよ」
魔力に性質があるのは初耳だった。
魔女の中では常識なのだろう。
彼女は当たり前のように語っているし、特別なことではないようだ。
「その性質って、どうやって把握するの?」
「え? どうって、なんとなく感覚で?」
「テキトーなのね……ちなみに、私の性質はわかる?」
「リベルさんはわかりやすいですね! 温かいです!」
どうやら私の魔力は熱を帯びているらしい。
だから炎の魔法と相性がいいのか。
「もしかして、知らなかったんですか?」
「ええ。これまで魔女としては生きてこなかったのよ。関わりもなかったから」
「そうだったんですねー」
彼女には、私が元女王だということは知らせていない。
言わないほうがいいと思った。
口とか軽そうだし。
しかし思ったより有力な情報だ。
彼女の意見が正しいのなら、この学園に潜んでいるのは魔女ではない。
「だとしたら一層、探すのが大変ね」
「ですね。生徒のことなら何でも知ってる人、とかに聞けばいいんじゃないですか?」
「教員? それならレントに頼めばいいし、彼がしていないとも思えないけど」
「じゃあフレーリアさんに聞くのはどうでしょうか!」
「無理に決まっているでしょう? 関わりはロクにないんだから」
そもそも相手は一生徒でしかない。
私たちがやっているのは、王子が関わっている極秘事項だ。
無関係な人間を無暗に巻き込むべきじゃない。
何より、あんな人気者と一緒にいたら、こっちまで注目される。
関わるべきじゃない。
「偶然顔を合わせる機会でもない限り、フレーリアさんに関わることはないわね」
「ええー」
「それは残念ですね」
「「――!」」
私たちは驚愕する。
この場所は、私にとっても何かが起こりやすい空間なのかもしれない。
私たちの背後には、話題の人物が立っていた。
ルイスにはついでに、これまで取ったノートを持ってきてもらった。
「凄い数ね。百冊以上あるのよね?」
「はいです!」
これを全部目を通すのは時間がかかりすぎる。
とりあえず、日付が近いものから流し見しつつ、意見交換でもしよう。
「この学園にもう一人の魔女がいる。あなたはどう思う?」
「えーっと……」
「思ったことを言っていいわよ」
「じゃあ! 私はいないと思います!」
彼女はキッパリそう答えた。
少し驚く。
「どうしてそう思うの?」
「魔女なら私やリベルさんが、見つけられないわけないからですよ」
「上手く隠れているんじゃないの? あなたみたい魔力を消して」
「それは無理です。完全に魔力を消せるのは、私がそういう魔力の性質を持っているからで、セミラミス様でも無理なんですから」
「性質?」
「そうですよ! 魔力には個人差があって、性質も違います。私の場合は霞のような性質があって、だから幻覚とかの魔法と相性がいいんですよ」
魔力に性質があるのは初耳だった。
魔女の中では常識なのだろう。
彼女は当たり前のように語っているし、特別なことではないようだ。
「その性質って、どうやって把握するの?」
「え? どうって、なんとなく感覚で?」
「テキトーなのね……ちなみに、私の性質はわかる?」
「リベルさんはわかりやすいですね! 温かいです!」
どうやら私の魔力は熱を帯びているらしい。
だから炎の魔法と相性がいいのか。
「もしかして、知らなかったんですか?」
「ええ。これまで魔女としては生きてこなかったのよ。関わりもなかったから」
「そうだったんですねー」
彼女には、私が元女王だということは知らせていない。
言わないほうがいいと思った。
口とか軽そうだし。
しかし思ったより有力な情報だ。
彼女の意見が正しいのなら、この学園に潜んでいるのは魔女ではない。
「だとしたら一層、探すのが大変ね」
「ですね。生徒のことなら何でも知ってる人、とかに聞けばいいんじゃないですか?」
「教員? それならレントに頼めばいいし、彼がしていないとも思えないけど」
「じゃあフレーリアさんに聞くのはどうでしょうか!」
「無理に決まっているでしょう? 関わりはロクにないんだから」
そもそも相手は一生徒でしかない。
私たちがやっているのは、王子が関わっている極秘事項だ。
無関係な人間を無暗に巻き込むべきじゃない。
何より、あんな人気者と一緒にいたら、こっちまで注目される。
関わるべきじゃない。
「偶然顔を合わせる機会でもない限り、フレーリアさんに関わることはないわね」
「ええー」
「それは残念ですね」
「「――!」」
私たちは驚愕する。
この場所は、私にとっても何かが起こりやすい空間なのかもしれない。
私たちの背後には、話題の人物が立っていた。
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