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「これで任務は完了よね? 休み、くれるかしら?」
「……」
「ちょっと、今さらなしはダメよ?」
「そうじゃない。お前、本気で終わりだと思っているわけじゃないだろ?」
「終わったじゃない」
目的だった魔女は見つけた。
単なる偶然だけど、見つけた事実は同じだ。
これにて任務達成。
私は報酬として、長期休暇をゲットする。
はずなのだが……。
「まだ終わっていない。彼女の状況を見ろ。どう考えても、潜伏している魔女が彼女一人だとは思えないだろう?」
「他にもいるってこと?」
「俺はそう思っている。ルイスはカモフラージュで、本命が他に潜んでいるんじゃないか?」
「考え過ぎじゃないかしら」
と、口では言いつつも、私も同じことを考えていた。
こちらに寝返ったルイスは、今も私の後ろで小さく固まっている。
彼女が放置されたのは半年前くらいかだろう。
ならばすでに、その頃から別の魔女を潜伏させている可能性が高かった。
でも、これはただの可能性だ。
私たちを惑わせるための嘘かもしれない。
そもそも魔女はいたから、嘘はついていないのだけど……。
「お前だって気づいているはずだろ?」
「まったく気がつかなかったわ」
「嘘つくな。魂が揺らいでる」
「……卑怯な眼ね」
レントは小さくため息をこぼす。
「とにかく、任務は継続だ。潜伏するなら同じ学園だろう。お前は他の魔女、もしくはセミラミスの協力者を探してくれ」
「いなかった場合は? 終わりが見えないわ」
「いない証明ができればいい」
「簡単に言ってくれるわね」
「人手は増えたんだ。これまでよりは動けるだろう?」
「人手って……」
「ひぃっ!」
私とレントの視線を感じ、ルイスがビクッと反応した。
まだ怯えているのか。
これを人手と言っていいものか、微妙なところだ。
「面倒ね」
「なら、見つけたら休暇期間を倍にしよう」
「――! 倍?」
「ああ。一人見つけたことは事実だからな。その分の働きも考慮して報酬も出す。どうだ? やる気がでてきたか?」
無事に見つけたら長期休暇二週間!
なんという魅力的な提案なのだろう。
上手く乗せられている気もするが、これは食いつかずにはいられない。
「いいわね。今の発言、取り消さないでよ?」
「わかっているよ。あ、ちなみに一か月経過するごとに減らしていくから」
「……やっぱり鬼ね」
「リミットがないとお前はサボるだろ」
◆◆◆
ということがあったのを思い出す。
私の長期休暇二倍のために、なんとしても見つけ出す。
「私にできることは何でも言ってください! リベル様の手足となり、馬車馬のように働きます!」
「……」
不安しかない。
お願いだから、足を引っ張ることだけはしないでね。
「……」
「ちょっと、今さらなしはダメよ?」
「そうじゃない。お前、本気で終わりだと思っているわけじゃないだろ?」
「終わったじゃない」
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これにて任務達成。
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はずなのだが……。
「まだ終わっていない。彼女の状況を見ろ。どう考えても、潜伏している魔女が彼女一人だとは思えないだろう?」
「他にもいるってこと?」
「俺はそう思っている。ルイスはカモフラージュで、本命が他に潜んでいるんじゃないか?」
「考え過ぎじゃないかしら」
と、口では言いつつも、私も同じことを考えていた。
こちらに寝返ったルイスは、今も私の後ろで小さく固まっている。
彼女が放置されたのは半年前くらいかだろう。
ならばすでに、その頃から別の魔女を潜伏させている可能性が高かった。
でも、これはただの可能性だ。
私たちを惑わせるための嘘かもしれない。
そもそも魔女はいたから、嘘はついていないのだけど……。
「お前だって気づいているはずだろ?」
「まったく気がつかなかったわ」
「嘘つくな。魂が揺らいでる」
「……卑怯な眼ね」
レントは小さくため息をこぼす。
「とにかく、任務は継続だ。潜伏するなら同じ学園だろう。お前は他の魔女、もしくはセミラミスの協力者を探してくれ」
「いなかった場合は? 終わりが見えないわ」
「いない証明ができればいい」
「簡単に言ってくれるわね」
「人手は増えたんだ。これまでよりは動けるだろう?」
「人手って……」
「ひぃっ!」
私とレントの視線を感じ、ルイスがビクッと反応した。
まだ怯えているのか。
これを人手と言っていいものか、微妙なところだ。
「面倒ね」
「なら、見つけたら休暇期間を倍にしよう」
「――! 倍?」
「ああ。一人見つけたことは事実だからな。その分の働きも考慮して報酬も出す。どうだ? やる気がでてきたか?」
無事に見つけたら長期休暇二週間!
なんという魅力的な提案なのだろう。
上手く乗せられている気もするが、これは食いつかずにはいられない。
「いいわね。今の発言、取り消さないでよ?」
「わかっているよ。あ、ちなみに一か月経過するごとに減らしていくから」
「……やっぱり鬼ね」
「リミットがないとお前はサボるだろ」
◆◆◆
ということがあったのを思い出す。
私の長期休暇二倍のために、なんとしても見つけ出す。
「私にできることは何でも言ってください! リベル様の手足となり、馬車馬のように働きます!」
「……」
不安しかない。
お願いだから、足を引っ張ることだけはしないでね。
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