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「リベル、学園のほうはどうだ?」
「今のところ大きな変化はないわね。魔女を見つけるにはまだ時間がかかりそう」
「そうか」
「ええ」

 学園の講義が終わってから、私はレントに報告をすることになっている。
 魔女探しについての報告がメインなのだが、どうやら彼はそれ以外のことも気になるらしく。

「他にはどうだ? 学園生活は楽しいか?」

 という質問も、二日に一回くらいのペースで聞いてくる。

「それは一昨日も聞いたわよ」
「そうなんだが、気になってな」
「別に普通よ? 退屈な講義を受けているだけ」
「退屈……あの学園の講義って、世界中から優秀な教員を集めているから、それなりに難度も高いはずなんだが……さすが元女王だな」

 呆れた顔をするレント。
 質問には答えたが、たぶん彼が知りたいのはそこじゃない。

「友達はできたか?」
「それは嫌味で言っているの?」

 できるわけがないだろう。
 私の目的は友達作りじゃなくて、魔女を見つけること。
 秘密まみれの私に友達とか、仲良くなるだけでも神経を使うのにハードルが高い。

「いやー、噂で上級生の男子生徒を家来にしたとか聞いたんだが」
「うっ……」
「やはり事実なのか?」
「家来じゃなくて、友人よ?」
「おい、さっきの発言は何だったんだ?」
「いないとは言ってないじゃない」

 誤魔化してみるが、この様子だと耳に入っているのだろう。
 私が学園で、どう呼ばれているか。

「編入初日に、上級生にからまれ撃退し、そのまま自身の従者のように扱っている。というのを警備の騎士から聞いているんだがぁ?」
「……」

 レントは疑うように顔を近づけてくる。
 私は必死に目を逸らしたが、これは言い逃れできなさそうだ。

「仕方ないじゃない。難癖つけてきたし、私のことを好きにしようとしたのはあっちよ?」
「言い寄られて返り討ちにしたのか?」
「もっとひどいわ。平民だからって馬鹿にされたのよ」
「ああ……その設定が仇となったか。いや、災難だったな」

 それはどちらに対してなのだろう?
 やれやれと呆れるレントに問い質したくなったが、自分が不利になりそうなので飲み込んだ。

「あまり目立ちすぎるなよ」
「だから大人しくているわよ」
「上級生四名、全員うちじゃ名のある貴族の出身じゃないか。お前、自分の正体明かしただろ?」
「いいでしょ? 脅しになるし、現に誰にも話していないわよ? 彼らは」
「はぁ……」

 これまた盛大なため息だった。
 彼は頭に手をあて、呆れながら悩んでいる。

「こっちも大変なんだぞ? さすがに各貴族の当主から、どういうことなんだと問い合わせがあってな」
「親にも言うなって言ったのに、裏切ったわね」

 明日会ったら粛清しておこう。
 私に逆らった罰だ。
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