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彼は続ける。
「もう一人の魔女は学園にいる。それがわかった」
「わかったなら捕まえればいいじゃない」
「できないから、お前に探してもらおうと頼んでいるんだぞ?」
「探す? わかったって言ったじゃない」
「いることがわかっただけで、誰かまではわからなかったんだよ」
何それ。
女神の天啓って、意外といいかげんなのね。
「いるのがわかったなら、全員一人ずつ調べれば?」
「それも考えた。というか、すでに調べた。天啓があったのは昼過ぎ、そこからすぐに学園へ行って、この眼で見た」
彼の眼は、魂すら見透かす。
私のことも、姿や声が変わっても、アリエルだと見抜ける。
彼の眼なら魔女を見つけ出すことができるだろう。
だが、彼は首を振る。
「見えなかったんだ」
「あなたの眼でもわからなかったというの? 私がアリエルだってことも見抜けたのに」
「よほど優れた魔女なんだろうな。俺じゃ見つけられないし、下手に大事にしてしまうと、その隙に逃げられる。いつから潜り込んでいるのかもわからない。簡単には見つからないさ」
「だから同じ魔女の私に探せと」
「そういうことだ。外見年齢的にも、今のお前なら学園に入っても違和感はない。名目上は特別編入で、、経験を積ませるとかにすれば、短期間なら誤魔化せるだろ」
彼はテーブルから書類を取り出し、私に見せる。
そこには私の名前と、入学の許可がされた一文が記載されていた。
「すでに手続きは終わっている」
「拒否権ないじゃない」
「ああ、受けてもらうぞ? 必要ならいつでも呼んでいい。そう言ってくれただろう?」
「……はぁ、わかったわよ」
私としても、セミラミス関係の魔女が近くにいる環境は安心できない。
安眠するためにも、さっさと見つけ出して、母国に強制送還してやろう。
「ちなみに、手掛かりはないの?」
「ないな」
「え……」
「残念ながら、いるという情報以外は何もなかった。しいていえば女性、魔女であることは確実ってところくらいか」
私は心の中で思った。
女神の天啓って、大して役に立たないんじゃないかと。
「役に立たないわね」
「おい」
思っただけにとどまらず、つい口から出てしまった。
だって仕方がない。
女神の天啓なんて大それた助言にもかかわらず、あそこにいるよーというアバウトな情報しか与えてくれないのだ。
文句も言いたくなるだろう。
「要するに、手探りで探せってことね」
「そう拗ねるな。学園に通っている間は、基本こっちの仕事はしなくていい。学園のスケジュールに沿って行動してくれ」
「それって……」
「学園は、七日に二回は休みだ」
「さすがレントね! 完璧な作戦だわ!」
「調子いいなぁ……」
「もう一人の魔女は学園にいる。それがわかった」
「わかったなら捕まえればいいじゃない」
「できないから、お前に探してもらおうと頼んでいるんだぞ?」
「探す? わかったって言ったじゃない」
「いることがわかっただけで、誰かまではわからなかったんだよ」
何それ。
女神の天啓って、意外といいかげんなのね。
「いるのがわかったなら、全員一人ずつ調べれば?」
「それも考えた。というか、すでに調べた。天啓があったのは昼過ぎ、そこからすぐに学園へ行って、この眼で見た」
彼の眼は、魂すら見透かす。
私のことも、姿や声が変わっても、アリエルだと見抜ける。
彼の眼なら魔女を見つけ出すことができるだろう。
だが、彼は首を振る。
「見えなかったんだ」
「あなたの眼でもわからなかったというの? 私がアリエルだってことも見抜けたのに」
「よほど優れた魔女なんだろうな。俺じゃ見つけられないし、下手に大事にしてしまうと、その隙に逃げられる。いつから潜り込んでいるのかもわからない。簡単には見つからないさ」
「だから同じ魔女の私に探せと」
「そういうことだ。外見年齢的にも、今のお前なら学園に入っても違和感はない。名目上は特別編入で、、経験を積ませるとかにすれば、短期間なら誤魔化せるだろ」
彼はテーブルから書類を取り出し、私に見せる。
そこには私の名前と、入学の許可がされた一文が記載されていた。
「すでに手続きは終わっている」
「拒否権ないじゃない」
「ああ、受けてもらうぞ? 必要ならいつでも呼んでいい。そう言ってくれただろう?」
「……はぁ、わかったわよ」
私としても、セミラミス関係の魔女が近くにいる環境は安心できない。
安眠するためにも、さっさと見つけ出して、母国に強制送還してやろう。
「ちなみに、手掛かりはないの?」
「ないな」
「え……」
「残念ながら、いるという情報以外は何もなかった。しいていえば女性、魔女であることは確実ってところくらいか」
私は心の中で思った。
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「役に立たないわね」
「おい」
思っただけにとどまらず、つい口から出てしまった。
だって仕方がない。
女神の天啓なんて大それた助言にもかかわらず、あそこにいるよーというアバウトな情報しか与えてくれないのだ。
文句も言いたくなるだろう。
「要するに、手探りで探せってことね」
「そう拗ねるな。学園に通っている間は、基本こっちの仕事はしなくていい。学園のスケジュールに沿って行動してくれ」
「それって……」
「学園は、七日に二回は休みだ」
「さすがレントね! 完璧な作戦だわ!」
「調子いいなぁ……」
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