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 魔物の退治が終わり、帰宅したのは深夜だった。
 あと数時間すれば朝になる。
 報告は明日、というより今日なのだが、昼間にやることになっている。
 レントと別れた私は、すぐに自室に向かって。

「やっと終わったぁ」

 ベッドにダイブした。
 初日からハードすぎる。
 書類仕事だけで終わるはずが、特訓に付き合わされ、そのまま魔物退治?
 残業で帰宅が朝になるとか、どこのブラック企業ですか?

「はぁ……」

 ため息しかでない。
 選択を間違えてしまったのだろうか。
 あの日、彼に助けられなければ……。

「死んでいただけなのよね」

 死ぬか、生きて彼の元で働くか。
 その二択。
 いいや、断るという選択肢も会ったけど、助けられた恩を無視するということだ。
 それはさすがにできなかっただろう。
 結論……。

「考えても無駄ね」

 もう寝よう。
 おやすみなさい、と心の中で呟いた。

  ◇◇◇

 翌日。
 初日と同じ時間に目覚めて、朝食を食べるためレントの元へと向かう。

「おはよう、リベル」
「……おはようございます」
「眠そうだね」
「理由は聞かなくてもわかるでしょ」
「そうだね。俺も眠い」

 全然そうは見えない。
 昨日と同じくらい元気そうな彼と共に、朝食を摂る。

「今日の予定は?」
「それは俺がお前に聞くものじゃないのか?」
「知っていると思う?」
「はぁ……明日から予定も管理してくれ」
「昨日みたいなことがなければ、覚える余裕もあったわよ」
「あれは珍しい。運が悪かったな」

 まったくだ。
 おかげでほとんど眠れなかった。
 女王時代から睡眠は短いほうだけど、今回は特に短い。
 さすがに眠くて瞼が重い。

「なんであなたは平気そうなの?」
「俺は元々三時間寝れば元気になるからな」
「……早死にするわよ」
「気をつけるよ」

 食事を終え、執務室に向かう。
 道中、騎士に声をかけられた。

「おはようございます! レント殿下!」
「おはよう。昨日は急に駆り出してすまなかったな」
「いえ、我々は何もしてません。全てはリベルさんの活躍あってこそです」

 若い騎士は瞳をキラキラと輝かせ、私のことを見てくる。

「昨日の活躍、感服いたしました!」
「あ、はい。ありがとうございます」
「では私はこれで! リベルさん、機会があればぜひ強さの秘訣を教えていただきたいです」
「そうですね。時間があれば」

 若い騎士は去っていく。
 それを見ていたレントは、楽しそうに笑っていた。

「何がおかしいのよ」
「いや、モテモテじゃないか」
「誰のせいよ」
「ふふっ、いいじゃないか。これなら、俺の側役に選ばれたことにも、皆が納得するだろう?」
「……」

 ひょっとして、最初からそのつもりだった?
 私の実力を騎士たちに見せて、認めさせるために……。
 だとしたら、とんだ策士だ。
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