冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~

日之影ソラ

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「……ぅ……」
「着替え終わったか?」
「一応ね」
「じゃあそっち向くぞ?」
「ええ」

 着替えている私が見えないように背を向けていたレントが、改めて振り返る。
 彼の眼には、新しい制服を着た私が見えているだろう。
 鏡にも自分の姿が映っている。

「サイズはどうだ?」
「ちょっと大きい気もするわね」
「大人用だからな」
「私が子供だっていいたいの?」
「実際そうだろ? 今は……」
「むぅ……」

 私の背丈は、元の姿よりぐんと小さくなってしまった。
 呪いの影響で別人の容姿になり、歳も若くなっている弊害だ。
 若さを取り戻せて喜べないのは、これが呪いだということ知っているからだ。

「まぁでも、動きやすいのはいいわ」
「仕事のための服装だからな」

 女王時代は、動きにくいドレスばかり着ていたら、こういう服装は新鮮だ。
 見た目も中々におしゃれで可愛い。
 うん、気に入った。

「で? これからどうするの?」
「城を案内するよ。その途中で、挨拶をしなきゃいけない人がいる」
「挨拶……ああ、そういうこと」

 何となく察した。
 無礼のないように気をつけるとしよう。

 ぐぅーと、お腹が鳴る。

「その前にお腹が減ったわ」
「ははっ! 豪快な音だったな」
「仕方ないでしょ? ほとんど何も食べてないのよ」

 もしかして眠れなかったのは空腹のせい?
 あり得るわね。

「先に朝食にしようか」
「そうしてもらえると助かるわ」

 レントは笑いながら私を食事のテーブルへと案内してくれた。
 どう見ても、王族が食事をする部屋だ。
 普通なら場違いだけど、元々女王だったから緊張はしない。

「ここ使っていいの?」
「俺がいるから平気だ。料理も二人分用意させた」
「シェフにはなんて説明したのよ」
「特に? 俺は信用されているからな。客人用にも用意してほしいとお願いしただけだ」

 だから朝食も王族である彼と同じ量、質なのか。
 美味しいからいいけどね。

「今後はどうすればいいの?」
「俺が一緒の時はここで摂ればいい。それ以外は、王城で働く人たち用の食堂があるから、そっちを使ってくれ」
「わかったわ」
「基本は俺の側役だし、一緒に摂る機会が多いと思うぞ」

 それはありがたいお話だった。
 自由になったとはいえ、自分で料理したりは面倒だし、私はあまり料理が得意じゃない。
 前世でも苦手だった。

「ご馳走様」
「口に合ったか?」
「ええ、美味しかったわ」
「ならよかった。長く生活する上で、食事が合うかどうかは重要だ」
「私もそう思うわ」
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