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魂が揺れている。
自分は何者で、一体誰なのだろう?
私は生まれ変わった。
物理的にも、精神的にも。
残虐非道な女王アリエルではなく、すべてから解放された一人の少女……リベルへと。
これが、新たな私になってから迎える、初めての朝だ。
「なんて……我ながらロマンを求めすぎね」
結論、ほとんど眠れなかった。
ベッドはふかふかで、レントが誰も入れないように鍵をかけ、外からも開けられないように細工してくれたから、誰かが来る心配もない。
野宿と違って、魔物に襲われる心配もないから安全。
今夜はゆっくり眠れるぞ、と思ったのに……。
「なんだか目が冴えちゃって……なんでなのよ」
自分でもよくわからない。
緊張している?
今さら何を緊張することがあるのだろうか。
それとも……。
トントントン。
「誰?」
「俺だ。レントだ」
「ああ、入っていいわよ」
「失礼するよ」
彼だけは、この部屋の鍵を持っているから自由に入れる。
ノックをしてくれたのは、私を不安にさせないためなのだろう。
小さな気遣いに感謝する。
扉が開き、昨日と変わらない姿のレントが現れた。
「おはよう、リベル」
「ええ、おはよう」
「よく眠れたか?」
「まぁ、ほどほどにね」
本当はあまり眠れなかったけど、彼に無駄な心配をかけるのは申し訳ない。
軽く嘘を交えてみる。
そんな私をじとっと見つめて。
「眠れなかったのか?」
「……わかるの?」
「魂が揺らいでいるよ。嘘をついた時の感じだ」
「なるほどね」
彼の瞳は見えないものが見えている。
魂の揺らぎで嘘を見抜けるなんて、ハッキリ言ってチートだ。
そういうのって普通、転生者である私にこそ与えられるべきものじゃないの?
やっぱりこの世界の女神は意地悪だ。
というか、ただイケメンが好きなだけなんじゃないのか?
「眠れなかった理由は? ベッドが合わなかったか?」
「そんなことはないわよ」
「だったら?」
「うーん、わからないわ」
自分でもよくわからない。
なぜ眠れなかったのか。
ここ最近、ほぼ野宿でまともに寝る時間はなかった。
疲れも溜まっていたし、眠れる理由しかない。
「元から睡眠は短かったのよ。忙しかったし」
「女王だからだろ」
「そうよ。おかげで一日三時間睡眠が普通だったわ」
「俺より酷いな……」
そういう環境で育ったから、眠りが浅くなったのだろうか?
なんだかそれとは違う気がする。
それに……。
自分は何者で、一体誰なのだろう?
私は生まれ変わった。
物理的にも、精神的にも。
残虐非道な女王アリエルではなく、すべてから解放された一人の少女……リベルへと。
これが、新たな私になってから迎える、初めての朝だ。
「なんて……我ながらロマンを求めすぎね」
結論、ほとんど眠れなかった。
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野宿と違って、魔物に襲われる心配もないから安全。
今夜はゆっくり眠れるぞ、と思ったのに……。
「なんだか目が冴えちゃって……なんでなのよ」
自分でもよくわからない。
緊張している?
今さら何を緊張することがあるのだろうか。
それとも……。
トントントン。
「誰?」
「俺だ。レントだ」
「ああ、入っていいわよ」
「失礼するよ」
彼だけは、この部屋の鍵を持っているから自由に入れる。
ノックをしてくれたのは、私を不安にさせないためなのだろう。
小さな気遣いに感謝する。
扉が開き、昨日と変わらない姿のレントが現れた。
「おはよう、リベル」
「ええ、おはよう」
「よく眠れたか?」
「まぁ、ほどほどにね」
本当はあまり眠れなかったけど、彼に無駄な心配をかけるのは申し訳ない。
軽く嘘を交えてみる。
そんな私をじとっと見つめて。
「眠れなかったのか?」
「……わかるの?」
「魂が揺らいでいるよ。嘘をついた時の感じだ」
「なるほどね」
彼の瞳は見えないものが見えている。
魂の揺らぎで嘘を見抜けるなんて、ハッキリ言ってチートだ。
そういうのって普通、転生者である私にこそ与えられるべきものじゃないの?
やっぱりこの世界の女神は意地悪だ。
というか、ただイケメンが好きなだけなんじゃないのか?
「眠れなかった理由は? ベッドが合わなかったか?」
「そんなことはないわよ」
「だったら?」
「うーん、わからないわ」
自分でもよくわからない。
なぜ眠れなかったのか。
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「元から睡眠は短かったのよ。忙しかったし」
「女王だからだろ」
「そうよ。おかげで一日三時間睡眠が普通だったわ」
「俺より酷いな……」
そういう環境で育ったから、眠りが浅くなったのだろうか?
なんだかそれとは違う気がする。
それに……。
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