冷徹女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女に呪われ国を奪われた私ですが、復讐とか面倒なのでのんびりセカンドライフを目指します~

日之影ソラ

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 違和感はあった。
 身体が重いような、軽いような。
 まるで身体から何かが抜け落ちたような感覚だ。

「ぅ……」

 もう朝だ。
 今日もたくさん仕事があるから、早く起きて準備しないといけない。
 私は気だるい身体を無理やり動かした。

 違和感。

「あれ?」

 ベッドから降りる時、転びそうになった。
 いつもと違ったのは、足が地面につくタイミングだった。
 少し遅かった気がする。

「寝ぼけているのね」

 シャキっとしなくては。
 朝から大事な会議もあるのだ。
 だらけた姿は絶対に見せられない。
 私は事前に用意された着替えに手を伸ばす。
 使用人を呼んで着替えを手伝わせることもできるが、これくらいは自分でやれる。
 前世が一般人だった頃の癖だ。
 
「ん? なんか大きい?」

 サイズが合わなかった。
 間違って違うサイズを用意されたのだろうか。
 私はため息をこぼし、使用人を呼んだ。

 すぐに使用人がかけつける。

「お呼びですか? 女王陛下」
「この服、ちゃんとした大きさのものに交換してくれる?」
「大きさ……!」
 
 彼女は私を見て、酷く驚いた顔をした。
 私は首を傾げる。

「どうしたの?」
「……あなたは、誰ですか?」
「は? 何を言っているの? 私は――」
「た、大変です! 女王陛下のお部屋に、知らない女性が!」

 使用人は取り乱して部屋を出てしまう。
 これは何のドッキリだ?
 慌てて私は追いかける。

「待ちなさい! 何を言っ――!」

 部屋にある大きな鏡に、その理由が映っていた。
 鏡の前に立っているのは私だ。
 私なのに、私じゃない。
 髪の色は黄色から赤になり、背丈も縮んでいる。
 すでに二十代に入っていた私の身体は、十代中盤の体格へと変化し、顔も……。

「誰?」

 知らない女の子になっていた。
 私は感覚を確かめる。
 間違いなく、映っているのは私だ。
 手鏡も取り出して確認したけど、この顔が映っている。
 見ず知らずの少女が、私になっていた。
 理解できないまま困惑していると、使用人が騎士を呼んだのだろう。
 城内が慌ただしくなる。

「まずい……」

 理由はわからないけど、この状況は非常にまずい。
 このままでは捕まってしまう。
 一先ず私は逃げることにした。
 理由を探るのは落ち着いてからだ。
 見つからないようこっそり部屋を抜け出し、普段は使われていない部屋に隠れた。

「ここなら……」
「慌ててどうしたのかしら? アリエル」
「――! お姉様……」

 逃げ込んだ部屋にはお姉様がいた。
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