32 / 40
〖秘薬〗がインストールされました②
しおりを挟む「――や、やっと帰ってこれた……」
あの後、なんだかんだあって帰ってくることができた。結構近いところにあってよかった。
「……ま、またここ飛ぶの?」
下にはベットがあるがやっぱり怖い。未来ちゃんは興奮してるようで飛び降りようとしていた。
「ちょちょちょ!未来ちゃん飛ぶの!?」
「うん!飛びたい!」
なんとか止めようとしたけど、未来ちゃんはウッキウキで下へと飛び降りた。
下で未来ちゃんがキャーキャー言っている。……嘘でしょ……未来ちゃんここ飛べるのぉ?
「はよ降りてこい」
下からノアの声が聞こえてくる。……降りれたら降りてるわ!
「ちょい!ハシゴ持ってきてよ!行く時置いてたでしょ!?」
「あれ重いんだよ。飛び降りた方がはやい」
なーんーでーーー!?持ってきてくれたらいーじゃーーん!!こんな所から飛び降りれるわけないジャーン!!
「お姉ちゃん降りれないの?」
「そうだぞー。降りれないのかお姉ちゃーん?」
くっそ!百合ちゃんが参戦してきやがった!回復したのは嬉しいけど腹立つぅ!!
「黙らっしゃい!!お、降りれるしー!これくらい……降りれますぅー!!」
私のプライドが火を噴いた。でも怖いものは怖い。
脚だけをプラプラと降ろしてみる。……なんかお尻がゾワゾワとする。
「うぅ……み、見てろぉ!降りるからなぁ!」
「ママ!!」
「未来!!」
未来ちゃんと荊棘さんが泣きながら抱き合っている。……今かぁ……今感動ムード出すのかぁ。なんか周りのみんなも感動ムード出してるんだけどぉ。私ここでビビり散らしてるんですけどぉ。
私がプルプルと震えていると、感動ムードが終わったみんなが私の方に向いてきた。……そんな見ないで……。
「花音ちゃんそろそろ降りてきなよー」
「そうだよー。降りてきたら頭撫でてあげるわよー」
「あーもー!!真唯さんまで悪ノリしないでー!!」
ちくしょう……小さい女の子が飛べて私が飛べないなんてぇ。情けないぃ……。
「はぁ……仕方ない」
ノアがパンパンと2回手を叩いた。……あれ?これってもしかして……。
「ちょちょっと待ってよ!まだ気持ちが整ってないというか、心が統一されてないというか、脚の調子が悪いというか、心の猫ちゃんがビビってるっていうか――」
足を掴まれた。あーまたこのパターン。ヤダヤダ男の子って野蛮ね。……あはは。
イコライザーに布団の上に叩き落とされた。バフンってなった。体がトランポリンみたいにはねる。
「……も、もうちょっと優しくしてぇ……」
「花音ちゃん。それえっちだからこれから言っちゃダメだよ」
「はい……」
百合ちゃんに頭を撫でられた。……ちきしょー。
「――やっぱりおかしいね」
まくっていた服を戻してお腹を隠す。まだまだ思春期なので素肌を見せるのは恥ずかしい。
私はおじいさんおばあさんに体を見られていた。……これだと誤解されそうだね。怪我がないかを見てもらっていた。
「食道に何か異物があるね……なんだろう」
「……あ、あのぅ……」
女の子に卵を産み付けられたとは言いにくい……。
「……あなたはあっちいってて」
「わかった。ただ病名だけは聞かせてくれよ」
おじいさんがみんなの所に行った。おばあさんが優しいな……。
「……まぁ、言いにくいこともあるわよね。でも治すためには言ってもらわないと。ここには機材もないし」
「……信じてくれます?」
「うん。大丈夫よ。言ってみなさい」
「……卵」
「え?」
「卵を産み付けられました……女の子に……」
おばあさんがポカンと口を開けている。まぁそりゃそうか。私も同じ立場なら同じ状況になる。
「……それ本当よね?」
「はい……お恥ずかしながら……」
「……わかったわ。信じる。こんな状況なんだしありえないこともないわよね……」
くっそ恥ずかしい。エプムーサめ、こんなに時間が経ってもダメージを与えてくるとはぁ……。
「ちょっと服を脱いでくれない?」
言われるがまま上の服を脱いだ。ちょっと肌寒い。冷たい空気が肌にまとわりついた。
おばあさんが私の胸の中心くらいに指を置いてきた。目を瞑って集中しているようだ。
「……確かに卵ね。多分カエルの卵みたいなゼリー状のやつ。でも食道に引っ付いてる。カルシウムの塊が食堂に根を張ってるわ」
「カルシウムって根を張るんですか?」
「ただの比喩よ。……でもちょっとだけね……これくらいならお酢を飲めば溶けて胃に落ちていくわ」
「3日以内に治りますか?」
「もちろん飲む量にもよるけど、これくらいなら頑張って飲めば大丈夫よ」
私は体がパァっと軽くなったのがわかる。これで私はエイリアンみたいなことにならなくて済む!
私は服をきながらおばあさんにお礼を言った。
「あの……おばあさんありがとうございます」
「おばあさんじゃなくて、美代子。川口美代子よ。ちなみに私の夫は川口幸雄よ」
美代子さんはウインクをして私の前にペットボトルに入れられたお酢を置いた。……これを飲むのかぁ。
続く
あの後、なんだかんだあって帰ってくることができた。結構近いところにあってよかった。
「……ま、またここ飛ぶの?」
下にはベットがあるがやっぱり怖い。未来ちゃんは興奮してるようで飛び降りようとしていた。
「ちょちょちょ!未来ちゃん飛ぶの!?」
「うん!飛びたい!」
なんとか止めようとしたけど、未来ちゃんはウッキウキで下へと飛び降りた。
下で未来ちゃんがキャーキャー言っている。……嘘でしょ……未来ちゃんここ飛べるのぉ?
「はよ降りてこい」
下からノアの声が聞こえてくる。……降りれたら降りてるわ!
「ちょい!ハシゴ持ってきてよ!行く時置いてたでしょ!?」
「あれ重いんだよ。飛び降りた方がはやい」
なーんーでーーー!?持ってきてくれたらいーじゃーーん!!こんな所から飛び降りれるわけないジャーン!!
「お姉ちゃん降りれないの?」
「そうだぞー。降りれないのかお姉ちゃーん?」
くっそ!百合ちゃんが参戦してきやがった!回復したのは嬉しいけど腹立つぅ!!
「黙らっしゃい!!お、降りれるしー!これくらい……降りれますぅー!!」
私のプライドが火を噴いた。でも怖いものは怖い。
脚だけをプラプラと降ろしてみる。……なんかお尻がゾワゾワとする。
「うぅ……み、見てろぉ!降りるからなぁ!」
「ママ!!」
「未来!!」
未来ちゃんと荊棘さんが泣きながら抱き合っている。……今かぁ……今感動ムード出すのかぁ。なんか周りのみんなも感動ムード出してるんだけどぉ。私ここでビビり散らしてるんですけどぉ。
私がプルプルと震えていると、感動ムードが終わったみんなが私の方に向いてきた。……そんな見ないで……。
「花音ちゃんそろそろ降りてきなよー」
「そうだよー。降りてきたら頭撫でてあげるわよー」
「あーもー!!真唯さんまで悪ノリしないでー!!」
ちくしょう……小さい女の子が飛べて私が飛べないなんてぇ。情けないぃ……。
「はぁ……仕方ない」
ノアがパンパンと2回手を叩いた。……あれ?これってもしかして……。
「ちょちょっと待ってよ!まだ気持ちが整ってないというか、心が統一されてないというか、脚の調子が悪いというか、心の猫ちゃんがビビってるっていうか――」
足を掴まれた。あーまたこのパターン。ヤダヤダ男の子って野蛮ね。……あはは。
イコライザーに布団の上に叩き落とされた。バフンってなった。体がトランポリンみたいにはねる。
「……も、もうちょっと優しくしてぇ……」
「花音ちゃん。それえっちだからこれから言っちゃダメだよ」
「はい……」
百合ちゃんに頭を撫でられた。……ちきしょー。
「――やっぱりおかしいね」
まくっていた服を戻してお腹を隠す。まだまだ思春期なので素肌を見せるのは恥ずかしい。
私はおじいさんおばあさんに体を見られていた。……これだと誤解されそうだね。怪我がないかを見てもらっていた。
「食道に何か異物があるね……なんだろう」
「……あ、あのぅ……」
女の子に卵を産み付けられたとは言いにくい……。
「……あなたはあっちいってて」
「わかった。ただ病名だけは聞かせてくれよ」
おじいさんがみんなの所に行った。おばあさんが優しいな……。
「……まぁ、言いにくいこともあるわよね。でも治すためには言ってもらわないと。ここには機材もないし」
「……信じてくれます?」
「うん。大丈夫よ。言ってみなさい」
「……卵」
「え?」
「卵を産み付けられました……女の子に……」
おばあさんがポカンと口を開けている。まぁそりゃそうか。私も同じ立場なら同じ状況になる。
「……それ本当よね?」
「はい……お恥ずかしながら……」
「……わかったわ。信じる。こんな状況なんだしありえないこともないわよね……」
くっそ恥ずかしい。エプムーサめ、こんなに時間が経ってもダメージを与えてくるとはぁ……。
「ちょっと服を脱いでくれない?」
言われるがまま上の服を脱いだ。ちょっと肌寒い。冷たい空気が肌にまとわりついた。
おばあさんが私の胸の中心くらいに指を置いてきた。目を瞑って集中しているようだ。
「……確かに卵ね。多分カエルの卵みたいなゼリー状のやつ。でも食道に引っ付いてる。カルシウムの塊が食堂に根を張ってるわ」
「カルシウムって根を張るんですか?」
「ただの比喩よ。……でもちょっとだけね……これくらいならお酢を飲めば溶けて胃に落ちていくわ」
「3日以内に治りますか?」
「もちろん飲む量にもよるけど、これくらいなら頑張って飲めば大丈夫よ」
私は体がパァっと軽くなったのがわかる。これで私はエイリアンみたいなことにならなくて済む!
私は服をきながらおばあさんにお礼を言った。
「あの……おばあさんありがとうございます」
「おばあさんじゃなくて、美代子。川口美代子よ。ちなみに私の夫は川口幸雄よ」
美代子さんはウインクをして私の前にペットボトルに入れられたお酢を置いた。……これを飲むのかぁ。
続く
0
お気に入りに追加
359
あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~
川嶋マサヒロ
ファンタジー
ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。
かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。
それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。
現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。
引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。
あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。
そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。
イラストは
ジュエルセイバーFREE 様です。
URL:http://www.jewel-s.jp/
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる