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第一章 転生したけど死にそう
新婚生活ひゃっほー!③
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「何かと縁があるよな、この森には」
「そうだな。あたしらが出会ったのもここだし」
「そう思うと親しみが出てきたな」
俺とカナタにとって思い出の場所。
死にかけながら必死に生き延びて、やっとの思いで脱出したあの日のことは鮮明に覚えている。
あの時より、俺も多少は強くなったぞ。
「いました! あれがトールマンティスですよ!」
「でっか!」
サラスが発見し、指をさす。
木々の間から顔を出したクソデカカマキリに驚く。
想像していた倍はでかい。
見上げるほどの大きさは、アフリカ象にに匹敵する。
適正レベルがカナタに近いから、なんとなくで受注したクエストだけど大丈夫か?
俺が好きだった某漫画で、巨大化したカマキリは最強の生物に匹敵する強さだったが……それが現実に現れると、威圧感が半端ない。
物音に気付き、トールマンティスがこちらを向く。
「き、来ますよ!」
「タクロウ!」
「わかってる!」
俺とカナタが戦闘態勢に入る。
距離があるうちに加護を発動し、マンティスの弱点を看破する。
光っているのは小さな頭の下、つまりは首元だった。
「カナタ!」
「うん! あたしにも見えるよ!」
結婚し、夫婦になることのメリット。
それは互いの加護を共有できるようになることだ。
転生特典の第二加護を除き、許可を出せば互いの加護が使用できる。
今、カナタは俺の加護である『弱点開示』を使用し、俺と同じものを見ていた。
見えているものが同じになる。
それは戦闘において、大きなアドバンテージになる。
「突っ込むから援護頼んだ!」
「わかった!」
カナタが剣を抜いて前進する。
それに呼応するように、トールマンティスが刎ねた。
「うおっ!」
カナタも驚く驚異的な跳躍力。
遠かった間合いが一瞬で詰められ、鋭い鎌でカナタを攻撃する。
カナタは鎌を剣で受け止め弾き、懐に入ろうとする。
が、反対の鎌で迎撃されて上手くは入れない。
そこに俺がマジックボウを撃ちこむ。
狙うのは弱点である首元だ。
俺の攻撃じゃ致命傷にはできないけど、意識さえ分散できればそれでいい。
少しでも俺の攻撃を鬱陶しいと感じれば、カナタが動きやすくなる。
「こっち見やがれ!」
執拗に弱点を狙い続けることで、トールマンティスが俺への苛立ちを露にする。
カマキリには羽がある。
短い距離であれば飛行できるその羽を開こうとした瞬間、カナタが羽の片方を斬り落とした。
「行かせない!」
羽を片方失ってバランスを崩す。
そこへ俺が追い打ちで攻撃し、さらに体勢を崩した。
カナタは隙を見逃さず、防御できない速度でマンティスの首を切断する。
「よしっ!」
「やったな! タクロウ!」
「ああ」
連携プレーが決まり、見事トールマンティスを討伐できた。
これで一体。
クエストは三体の討伐だ。
戦闘音が響いたことで、近くにいた残りマンティスが姿を見せる。
ちょうど二体いる。
「このままやろう!」
「そうだな」
「頑張ってくださいねー」
「……」
一人だけ戦力外がいるが、まぁ仕方がないか。
序盤の白魔導士はヒール以外使えないし。
そろそろ補助魔法の一つでも覚えてもらわないとクエストに連れてくる意味がなくなるな。
ただの寄生だ。
戦闘開始から十分後。
俺たちはトールマンティス三体の討伐を終えた。
武器を納め、素材とゴールドを回収してから帰路につく。
「この加護便利だな! 弱点が見えるだけで戦いやすさが全然違う!」
「カナタが使うとそうなるな。俺はまだレベルが低くて、まったく活用できていないけど」
「そんなことないだろ? 咎落ちから助けてくれた時も、この加護で天井のもろいところを見つけたんだろ? タクロウは頭がいいな!」
「そ、そうか? なんか照れるな」
他人に褒められる機会が純粋に少なかったこともあり、普通に嬉しい。
「そういや前に加護であたしの弱点見てくれたよな!」
「ん? ああ」
そんなこともあったな。
カナタの弱点は……。
「今度はあたしがタクロウの弱点見てやるよ!」
「え? 別に――」
「ふん!」
彼女は大きく目を開き、瞳が青色に輝く。
加護を発動した証明だ。
弱点にも種類があって、人間の場合は急所以外が光ることもある。
サラスが両脇で、カナタが……胸のあれだった。
この流れ的に、俺も弱点というか、性的な弱点が映し出される気がしたので、本当は見てほしくなかった。
興味はあるけど。
「ん? なんか二つ光ってるな」
「二つ?」
「うん。胸の先っちょ」
「ぶふっ!」
俺も同じなのかよー!
これが似た者夫婦っていうのか?
ちょっと悪くない気分だな!
「あのー、私の前で気持ち悪い顔しないでもらえますか?」
「カナタ、走るぞ」
「え? あ、うん」
「ちょっ、待ってくださいよー! おいてかないでー!!」
俺はカナタの手を握って出口に向かって奪取した。
サラスは泣きながら後を追いかけてきていたが、俺は一切振り返らなかった。
残念ながら最後まで見失わずついてきて、無事に外に出られたが……。
「チッ」
「今舌打ちしましたね!」
非常に残念だ。
こいつさえいなければ幸せムード一色でいられるのに。
「わかってますか? 私がいなかったら二人は結婚していないんです! あと結婚がゴールじゃありませんからね!」
「うるさい黙れ。正論やめろ」
「理不尽なキレ方!」
「それより街に戻ろうよ。日が暮れるし」
「カナタは興味もなし!」
まぁ、サラスがいるから賑やかで、落ち込んだり険悪なムードには一生ならなそうだから、一応いる意味はあるか。
一言多いし腹は立つけど、アドバイスが役立ったのも事実だ。
ここは大人として広い心で受け入れようじゃないか。
この件さっきもやったな。
クエストを終えて街へと戻る。
街中へ戻った頃にはすっかり夕日も沈んでいた。
始まりが遅かったから仕方がない。
夜の街を歩きながら、冒険者ギルドの建物が見えてくる。
もうすぐ到着というところで、俺たちの前に見知った騎士が立ちはだかった。
「ヒビヤタクロウ」
「あ、こんばんは」
俺を国家反逆の容疑で連行しようとしている王国の騎士。
今も嫌疑をかけられ、監視されていることをすっかり忘れていた。
まだ帰ってなかったのか。
「まだ帰ってなかったんですね」
「声に出すなよ」
「結婚したそうだな」
「――!」
ジーナが俺に問いかけてくる。
あれだけ噂になったのだから、知られているのは自然だろう。
驚きはしない。
俺は淡々と答える。
「ああ」
「相手はどちらだ? まさか両方……」
「タクロウと結婚したのはあたしだけだぞ」
「私がこんな童貞とするわけないじゃないですか。侮辱ですよ」
「俺に対しての侮辱だな」
後でお仕置きだなこいつ。
さて、そんなことをわざわざ確認するために帰宅待ちをしていた……?
とは思えないんだが……嫌な予感がする。
ジーナは俺たちの指を確認して、小さくため息をこぼす。
「どうやら事実らしいな」
「それがどうしたんだよ。何か問題か?」
「……」
おい、無視かよ。
ジーナは俺を無視し、カナタの前に歩み寄る。
身長差からカナタを見下ろし、ジーナはハッキリという。
「こんな男はやめたほうがいい。目を覚ますんだ」
「「は?」」
「そうだな。あたしらが出会ったのもここだし」
「そう思うと親しみが出てきたな」
俺とカナタにとって思い出の場所。
死にかけながら必死に生き延びて、やっとの思いで脱出したあの日のことは鮮明に覚えている。
あの時より、俺も多少は強くなったぞ。
「いました! あれがトールマンティスですよ!」
「でっか!」
サラスが発見し、指をさす。
木々の間から顔を出したクソデカカマキリに驚く。
想像していた倍はでかい。
見上げるほどの大きさは、アフリカ象にに匹敵する。
適正レベルがカナタに近いから、なんとなくで受注したクエストだけど大丈夫か?
俺が好きだった某漫画で、巨大化したカマキリは最強の生物に匹敵する強さだったが……それが現実に現れると、威圧感が半端ない。
物音に気付き、トールマンティスがこちらを向く。
「き、来ますよ!」
「タクロウ!」
「わかってる!」
俺とカナタが戦闘態勢に入る。
距離があるうちに加護を発動し、マンティスの弱点を看破する。
光っているのは小さな頭の下、つまりは首元だった。
「カナタ!」
「うん! あたしにも見えるよ!」
結婚し、夫婦になることのメリット。
それは互いの加護を共有できるようになることだ。
転生特典の第二加護を除き、許可を出せば互いの加護が使用できる。
今、カナタは俺の加護である『弱点開示』を使用し、俺と同じものを見ていた。
見えているものが同じになる。
それは戦闘において、大きなアドバンテージになる。
「突っ込むから援護頼んだ!」
「わかった!」
カナタが剣を抜いて前進する。
それに呼応するように、トールマンティスが刎ねた。
「うおっ!」
カナタも驚く驚異的な跳躍力。
遠かった間合いが一瞬で詰められ、鋭い鎌でカナタを攻撃する。
カナタは鎌を剣で受け止め弾き、懐に入ろうとする。
が、反対の鎌で迎撃されて上手くは入れない。
そこに俺がマジックボウを撃ちこむ。
狙うのは弱点である首元だ。
俺の攻撃じゃ致命傷にはできないけど、意識さえ分散できればそれでいい。
少しでも俺の攻撃を鬱陶しいと感じれば、カナタが動きやすくなる。
「こっち見やがれ!」
執拗に弱点を狙い続けることで、トールマンティスが俺への苛立ちを露にする。
カマキリには羽がある。
短い距離であれば飛行できるその羽を開こうとした瞬間、カナタが羽の片方を斬り落とした。
「行かせない!」
羽を片方失ってバランスを崩す。
そこへ俺が追い打ちで攻撃し、さらに体勢を崩した。
カナタは隙を見逃さず、防御できない速度でマンティスの首を切断する。
「よしっ!」
「やったな! タクロウ!」
「ああ」
連携プレーが決まり、見事トールマンティスを討伐できた。
これで一体。
クエストは三体の討伐だ。
戦闘音が響いたことで、近くにいた残りマンティスが姿を見せる。
ちょうど二体いる。
「このままやろう!」
「そうだな」
「頑張ってくださいねー」
「……」
一人だけ戦力外がいるが、まぁ仕方がないか。
序盤の白魔導士はヒール以外使えないし。
そろそろ補助魔法の一つでも覚えてもらわないとクエストに連れてくる意味がなくなるな。
ただの寄生だ。
戦闘開始から十分後。
俺たちはトールマンティス三体の討伐を終えた。
武器を納め、素材とゴールドを回収してから帰路につく。
「この加護便利だな! 弱点が見えるだけで戦いやすさが全然違う!」
「カナタが使うとそうなるな。俺はまだレベルが低くて、まったく活用できていないけど」
「そんなことないだろ? 咎落ちから助けてくれた時も、この加護で天井のもろいところを見つけたんだろ? タクロウは頭がいいな!」
「そ、そうか? なんか照れるな」
他人に褒められる機会が純粋に少なかったこともあり、普通に嬉しい。
「そういや前に加護であたしの弱点見てくれたよな!」
「ん? ああ」
そんなこともあったな。
カナタの弱点は……。
「今度はあたしがタクロウの弱点見てやるよ!」
「え? 別に――」
「ふん!」
彼女は大きく目を開き、瞳が青色に輝く。
加護を発動した証明だ。
弱点にも種類があって、人間の場合は急所以外が光ることもある。
サラスが両脇で、カナタが……胸のあれだった。
この流れ的に、俺も弱点というか、性的な弱点が映し出される気がしたので、本当は見てほしくなかった。
興味はあるけど。
「ん? なんか二つ光ってるな」
「二つ?」
「うん。胸の先っちょ」
「ぶふっ!」
俺も同じなのかよー!
これが似た者夫婦っていうのか?
ちょっと悪くない気分だな!
「あのー、私の前で気持ち悪い顔しないでもらえますか?」
「カナタ、走るぞ」
「え? あ、うん」
「ちょっ、待ってくださいよー! おいてかないでー!!」
俺はカナタの手を握って出口に向かって奪取した。
サラスは泣きながら後を追いかけてきていたが、俺は一切振り返らなかった。
残念ながら最後まで見失わずついてきて、無事に外に出られたが……。
「チッ」
「今舌打ちしましたね!」
非常に残念だ。
こいつさえいなければ幸せムード一色でいられるのに。
「わかってますか? 私がいなかったら二人は結婚していないんです! あと結婚がゴールじゃありませんからね!」
「うるさい黙れ。正論やめろ」
「理不尽なキレ方!」
「それより街に戻ろうよ。日が暮れるし」
「カナタは興味もなし!」
まぁ、サラスがいるから賑やかで、落ち込んだり険悪なムードには一生ならなそうだから、一応いる意味はあるか。
一言多いし腹は立つけど、アドバイスが役立ったのも事実だ。
ここは大人として広い心で受け入れようじゃないか。
この件さっきもやったな。
クエストを終えて街へと戻る。
街中へ戻った頃にはすっかり夕日も沈んでいた。
始まりが遅かったから仕方がない。
夜の街を歩きながら、冒険者ギルドの建物が見えてくる。
もうすぐ到着というところで、俺たちの前に見知った騎士が立ちはだかった。
「ヒビヤタクロウ」
「あ、こんばんは」
俺を国家反逆の容疑で連行しようとしている王国の騎士。
今も嫌疑をかけられ、監視されていることをすっかり忘れていた。
まだ帰ってなかったのか。
「まだ帰ってなかったんですね」
「声に出すなよ」
「結婚したそうだな」
「――!」
ジーナが俺に問いかけてくる。
あれだけ噂になったのだから、知られているのは自然だろう。
驚きはしない。
俺は淡々と答える。
「ああ」
「相手はどちらだ? まさか両方……」
「タクロウと結婚したのはあたしだけだぞ」
「私がこんな童貞とするわけないじゃないですか。侮辱ですよ」
「俺に対しての侮辱だな」
後でお仕置きだなこいつ。
さて、そんなことをわざわざ確認するために帰宅待ちをしていた……?
とは思えないんだが……嫌な予感がする。
ジーナは俺たちの指を確認して、小さくため息をこぼす。
「どうやら事実らしいな」
「それがどうしたんだよ。何か問題か?」
「……」
おい、無視かよ。
ジーナは俺を無視し、カナタの前に歩み寄る。
身長差からカナタを見下ろし、ジーナはハッキリという。
「こんな男はやめたほうがいい。目を覚ますんだ」
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