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選抜試験④
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筆記試験が終了し、そのまま会場を野外訓練場に移す。
受験番号が若い順に身体測定を行っていく。
私は二千番台だから、まだ先だ。
呼ばれるまで筆記試験を受けた部屋で休憩する。
(筆記試験はたぶん満点。今のところ順調だ)
「おい、さっきのってさ」
「彼女ブレイブ家の人間でしょ? 確か六、七年前に当主が戦死して」
「あー、結構有名だった話か」
どうやら私の席の周りが貴族が多いらしい。
試験参加者の八割は一般人だけど、残り二割は貴族や現役の騎士団員だ。
こういう偶然もある。
貴族の間では、ブレイブ家の話は一時期有名だった。
私としては不本意だけど、それだけ名の知れた貴族だったということだ。
時間が経過し、私の番になると部屋に待機していた受験者が一斉に訓練場へ向かう。
身体検査は騎士団で採用されている項目、検査方法を使うらしい。
これも見習いになる過程で一度受けた。
受けたのは七年前だから、あの頃よりは確実に成長しているだろう。
(うわっ……)
視界の端に、私に嫌がらせをしてきた貴族のお仲間が見えた。
どうやら同じ部屋にもう一人いたらしい。
つまり、退場処分になったことを知っている。
当然、穏やかではない。
私をギロっと睨んでいた。
「……無視だ、無視」
私は気にせず身体測定に挑む。
筋力の測定が終わり、続けて足の速さを測定する。
受験者が十名ほど一列に並び、一斉に走って時間を図る。
神様は意地悪だ。
それとも裏で手を回しているのか。
私の隣は、あの意地悪貴族の一人だった。
「覚悟しろよ」
「……」
この男は馬鹿なのだろうか。
スタート前にそんなことを口にしたら、また何かすると宣言しているようなものじゃないか。
速度を図る試験。
何をするかなんて、大体想像はついた。
「位置についてください! 三秒後、スタートします」
試験官がカウントを始めた。
皆が前を見る中で、隣の男は私の足に視線を向けている。
「二、一、始め!」
スタートの合図と同時に、男は私のほうへ足を出してきた。
(やっぱりきた)
そう来ることは予想済み。
わかってさえすれば関係ない。
邪魔な足ごと蹴飛ばす勢いで、地面を蹴って駆け出す。
「うわっ!」
男は私が無視して走り出すとは思わなかったのだろう。
瞬間的にパワー負けして、足をかけたほうが盛大にずっこけてしまっていた。
私は構わず全力で走る。
これで私が不正を疑われることはない。
なぜならスタート時、レーンは区切られていた。
私の足跡は、レーンの中にしかない。
彼がこちらに侵入して、勝手に転んだことは明白だった。
この後試験官が確認し、彼の不正が発覚して退場処分になった。
やはり気分がいい。
自分が好戦的な性格だったことに気づかされた。
◇◇◇
筆記試験、身体測定を無事に終えた。
昼食をはさんで午後になる。
午後からはいよいよ、実技試験になる。
その前に――
「実技試験への通過者を発表します」
筆記試験を受けた会場に戻り、試験官から報告を受ける。
お昼休みの間に筆記試験と身体測定の結果が統合され、合否判定が下される。
この時点で基準に満たない者は、実技試験を受けることすらできない。
例年通りなら、ここで半数近くが脱落する。
順番に呼ばれた。
そして、私の番号も無事に呼ばれて一安心。
落ちるとは思わなかったけど、実際に通過するまではドキドキだった。
妨害もあるが、今のところ順調だ。
「さぁ……ここからだね」
私の実力を、騎士としての姿をアピールする。
きっと午後からは護衛対象である第一王子もお見えになるはずだ。
しっかりアピールして、私を選んでもらおう。
受験番号が若い順に身体測定を行っていく。
私は二千番台だから、まだ先だ。
呼ばれるまで筆記試験を受けた部屋で休憩する。
(筆記試験はたぶん満点。今のところ順調だ)
「おい、さっきのってさ」
「彼女ブレイブ家の人間でしょ? 確か六、七年前に当主が戦死して」
「あー、結構有名だった話か」
どうやら私の席の周りが貴族が多いらしい。
試験参加者の八割は一般人だけど、残り二割は貴族や現役の騎士団員だ。
こういう偶然もある。
貴族の間では、ブレイブ家の話は一時期有名だった。
私としては不本意だけど、それだけ名の知れた貴族だったということだ。
時間が経過し、私の番になると部屋に待機していた受験者が一斉に訓練場へ向かう。
身体検査は騎士団で採用されている項目、検査方法を使うらしい。
これも見習いになる過程で一度受けた。
受けたのは七年前だから、あの頃よりは確実に成長しているだろう。
(うわっ……)
視界の端に、私に嫌がらせをしてきた貴族のお仲間が見えた。
どうやら同じ部屋にもう一人いたらしい。
つまり、退場処分になったことを知っている。
当然、穏やかではない。
私をギロっと睨んでいた。
「……無視だ、無視」
私は気にせず身体測定に挑む。
筋力の測定が終わり、続けて足の速さを測定する。
受験者が十名ほど一列に並び、一斉に走って時間を図る。
神様は意地悪だ。
それとも裏で手を回しているのか。
私の隣は、あの意地悪貴族の一人だった。
「覚悟しろよ」
「……」
この男は馬鹿なのだろうか。
スタート前にそんなことを口にしたら、また何かすると宣言しているようなものじゃないか。
速度を図る試験。
何をするかなんて、大体想像はついた。
「位置についてください! 三秒後、スタートします」
試験官がカウントを始めた。
皆が前を見る中で、隣の男は私の足に視線を向けている。
「二、一、始め!」
スタートの合図と同時に、男は私のほうへ足を出してきた。
(やっぱりきた)
そう来ることは予想済み。
わかってさえすれば関係ない。
邪魔な足ごと蹴飛ばす勢いで、地面を蹴って駆け出す。
「うわっ!」
男は私が無視して走り出すとは思わなかったのだろう。
瞬間的にパワー負けして、足をかけたほうが盛大にずっこけてしまっていた。
私は構わず全力で走る。
これで私が不正を疑われることはない。
なぜならスタート時、レーンは区切られていた。
私の足跡は、レーンの中にしかない。
彼がこちらに侵入して、勝手に転んだことは明白だった。
この後試験官が確認し、彼の不正が発覚して退場処分になった。
やはり気分がいい。
自分が好戦的な性格だったことに気づかされた。
◇◇◇
筆記試験、身体測定を無事に終えた。
昼食をはさんで午後になる。
午後からはいよいよ、実技試験になる。
その前に――
「実技試験への通過者を発表します」
筆記試験を受けた会場に戻り、試験官から報告を受ける。
お昼休みの間に筆記試験と身体測定の結果が統合され、合否判定が下される。
この時点で基準に満たない者は、実技試験を受けることすらできない。
例年通りなら、ここで半数近くが脱落する。
順番に呼ばれた。
そして、私の番号も無事に呼ばれて一安心。
落ちるとは思わなかったけど、実際に通過するまではドキドキだった。
妨害もあるが、今のところ順調だ。
「さぁ……ここからだね」
私の実力を、騎士としての姿をアピールする。
きっと午後からは護衛対象である第一王子もお見えになるはずだ。
しっかりアピールして、私を選んでもらおう。
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