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 ひどすぎる言いがかりだ。
 確かに聖剣を打ったのは私だし、管理しているのも私だ。
 他にできる人がいないから、私一人でやっている。
 だからこそ、一切の失敗やほころびがないよう入念なチェックを怠っていない。
 エレイン様の剣術は未熟で、センス任せで乱暴な使い方をするから、聖剣が壊れないように耐久性を向上させる強化を施したり。
 長時間の連続使用に耐えられるか確認して、戦いに支障がでないようにしている。
 威力に関してはそもそも、どれだけの力を発揮できるかは使い手の素質に左右される。
 聖剣の力を十全に発揮できるかは、勇者であるエレイン様自身の問題だ。
 と、散々説明してきたはずなんだけど……。

「僕の戦いは完璧だった。それなのに負けた。理由はこの貧弱な聖剣にあるに違いない!」

 エレイン様はバンバンと腰の聖剣を叩く。
 私がいくら説明しても、エレイン様は理解してくれない。
 いや、信じてくれないらしい。
 自信家で自己中心的な彼は、自分自身に問題があったのだと思いたくないんだ。
 子供みたいでわかりやすい。
 失敗の原因を外に押し付けて、自分は悪くないと駄々をこねる。
 これが人類を代表し、人々の未来を背負って立つ勇者の姿?
 真実を知れば、国民はみんな呆れてしまうだろう。
 誰より強く、たくましく、優しくて他人想い。
 巨悪を許さず、人々のためなら自らの命を惜しまない……。
 そんな存在が勇者だ。
 どれも当てはまらない。
 こんなにも勇者らしくない勇者は……歴史上初めてなんじゃないのかな?

「とにかく君が原因だ! まずは謝罪をしてもらおうか!」
「……はぁ」

 私はため息をこぼす。
 どう説明しても、この人には通じないだろう。
 私が悪いと思い込んでいる。
 こういう時は必ず、私が悪かったと認めて謝るしかない。
 いつものことだ。

「申し訳ございませんでした」

 頭を下げて謝罪する。
 心なんて籠っていない。
 取り繕った偽りの謝罪も、何度目かわからない。
 謝ることに慣れつつある自分が、ちょっぴり嫌だった。
 自分が悪いわけじゃないのに、謝りたくはない。
 だけど仕方がない。
 ここで時間を無駄にすると、今日の分の仕事が終わらないんだ。
 鍛冶場には修繕前の武具が山ほど置かれている。
 目の前にある以外にも、倉庫には同様に直さないといけない武具が残っている。
 加えて騎士団用の新しい剣も打たないといけない。
 今日もサービス残業確定だ。

「では、聖剣をお預かりします」
「――その必要はない」
 
 まだ文句が言い足りないのか。
 そう思った私は、反省していますモードに入る。
 すると、エレイン様はニヤリと笑みを浮かべて……。

「ソフィア、今すぐ宮廷を出て行ってもらおうか」
「……え?」

 私に追放を宣言した。
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