5 / 6
⑤
しおりを挟む
ちょうど朝日が昇りかけて、東の空が明るくなった頃。
屋敷を飛び出した私は、王都の隣にある街に向かうことにした。
これから何をするにしても、まずはお金を用意しないと生活できない。
物を売ってお金にする。
それで後は……
「あとは、何すれば良いのかな?」
勢いで飛び出してきたものの、これからのことは何も考えていなかった。
プランなし。
私に出来ることは料理だから、それを活かせる仕事を探す?
ありそうだけど、身元も不確かな私を雇ってくれる所なんてあるのかな?
そもそも働くって……私に出来るのかな。
急激に不安が押し寄せてくる。
と、同じタイミングでお腹が空いてきて……
ぐぅ~
お腹の虫が大きく鳴った。
のだけど、私からじゃなかった。
「え? 今の音……」
聞こえてきたのは道端の草むらの奥だった。
恐る恐る覗き込んでみると、そこにはなんと――
「うぅ……」
茶色い髪の男の子が倒れていた。
「え、えぇ!? どうしてこんな所に人が……」
「……」
どうやら意識はあるみたいだ。
その人は蹲ったまま苦しそうな顔をしている。
初対面の知らない人だけど、見つけてしまった以上放ってもおけない。
私は小さな声で囁きかけるように声をかける。
「あ、あの……大丈夫ですか?」
「……た」
「た?」
助けて?
「た、食べ物下さい」
「……」
ぐぅ~
二度目の空腹音が響く。
どうやら彼は、お腹が空きすぎて倒れてしまったようだ。
私は呆れながら、カバンの中からお弁当を取り出す。
「……お弁当、食べますか?」
屋敷を飛び出した私は、王都の隣にある街に向かうことにした。
これから何をするにしても、まずはお金を用意しないと生活できない。
物を売ってお金にする。
それで後は……
「あとは、何すれば良いのかな?」
勢いで飛び出してきたものの、これからのことは何も考えていなかった。
プランなし。
私に出来ることは料理だから、それを活かせる仕事を探す?
ありそうだけど、身元も不確かな私を雇ってくれる所なんてあるのかな?
そもそも働くって……私に出来るのかな。
急激に不安が押し寄せてくる。
と、同じタイミングでお腹が空いてきて……
ぐぅ~
お腹の虫が大きく鳴った。
のだけど、私からじゃなかった。
「え? 今の音……」
聞こえてきたのは道端の草むらの奥だった。
恐る恐る覗き込んでみると、そこにはなんと――
「うぅ……」
茶色い髪の男の子が倒れていた。
「え、えぇ!? どうしてこんな所に人が……」
「……」
どうやら意識はあるみたいだ。
その人は蹲ったまま苦しそうな顔をしている。
初対面の知らない人だけど、見つけてしまった以上放ってもおけない。
私は小さな声で囁きかけるように声をかける。
「あ、あの……大丈夫ですか?」
「……た」
「た?」
助けて?
「た、食べ物下さい」
「……」
ぐぅ~
二度目の空腹音が響く。
どうやら彼は、お腹が空きすぎて倒れてしまったようだ。
私は呆れながら、カバンの中からお弁当を取り出す。
「……お弁当、食べますか?」
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
562
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる