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 ちょうど朝日が昇りかけて、東の空が明るくなった頃。
 屋敷を飛び出した私は、王都の隣にある街に向かうことにした。
 これから何をするにしても、まずはお金を用意しないと生活できない。
 物を売ってお金にする。
 それで後は……

「あとは、何すれば良いのかな?」

 勢いで飛び出してきたものの、これからのことは何も考えていなかった。
 プランなし。
 私に出来ることは料理だから、それを活かせる仕事を探す?
 ありそうだけど、身元も不確かな私を雇ってくれる所なんてあるのかな?
 そもそも働くって……私に出来るのかな。
 急激に不安が押し寄せてくる。
 と、同じタイミングでお腹が空いてきて……

 ぐぅ~

 お腹の虫が大きく鳴った。
 のだけど、私からじゃなかった。

「え? 今の音……」

 聞こえてきたのは道端の草むらの奥だった。
 恐る恐る覗き込んでみると、そこにはなんと――

「うぅ……」

 茶色い髪の男の子が倒れていた。
 
「え、えぇ!? どうしてこんな所に人が……」
「……」

 どうやら意識はあるみたいだ。
 その人は蹲ったまま苦しそうな顔をしている。
 初対面の知らない人だけど、見つけてしまった以上放ってもおけない。
 私は小さな声で囁きかけるように声をかける。

「あ、あの……大丈夫ですか?」
「……た」
「た?」

 助けて?

「た、食べ物下さい」
「……」

 ぐぅ~

 二度目の空腹音が響く。
 どうやら彼は、お腹が空きすぎて倒れてしまったようだ。
 私は呆れながら、カバンの中からお弁当を取り出す。
 
「……お弁当、食べますか?」
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