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漆章 創ラヌ“カミ”大湖
ろく 創らぬイノチ。
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ソラネさん遅いなぁ……。
大丈夫なのだろうか?
そう思い、アタシは様子を伺うために外へ出た。
……嫌に静かだ。
なんだか、空気が重たい気がする。
……遠くから、荒い息遣いが聞こえる。
嫌な、予感がする。
アタシは重たい拳銃を構える。
怖い。
息が震える。
気味の悪い音がする。
嫌な想像をしてしまう。
………アタシは、覚悟を決めた。
✳✳✳✳✳✳✳
はぁ……はぁ…………!!
……………はぁ………
……う……おぇえぇ!!!
げほっげほ………おぇ……けほ………
……………………はぁ…………
突然思い出したかのように、身体が感覚を取り戻す。
そして、直ぐに音が聞こえた。
…誰かがいる。
私は素早く、音の方向へと目を向けた。
………
………………めを、うたがった
………うそだ
……………嘘に決まってる
あぁ、また幻覚だ。
きっと、そうだ。
いるはずがない。
彼女はもう………いるはずがないのに………!
『……ユキミ、もう一度……はなそう。』
…………ちがう
本物だ。
………声も、顔も、作り物じゃない。
………………本物のサクラがいる…。
私は
手に持っていたナイフを落とした。
「う……うそだ……!!」
『うそじゃないっ!!』
「だ、…って、サクラは……あ、あの、場所で……!!!」
『……アタシは助かったんだよ。ねぇ、ユキミ。ホントはこんなこと、したくないんだけど………ユキを止めなくちゃいけないみたい。』
「やだよ……私っ…サクラを傷つけるなんて……!!!」
『……………あ、たしも……アタシも、怖いよ!!!アタシも!!!ゆ、ユキが人殺しになってから、アタシ…責任を感じてて、助かってからもずっと!!眠れなかったんだ!!』
「……ごめん……なさい………」
『…………ユキ………あなたは、覚悟してるの?』
「………どういう、こと?」
『………この先、行かなくちゃならないんでしょ。……あはは、アタシ、やっぱりユキを傷つけることなんてできないや。』
「………………やめて」
『……ねぇユキ。あたしね、あ…あんたのことがっ!!!き………きっ………』
「やめて、おねがい、やめて…」
『……ぎ……らいっ……だった………かも。』
「……………」
『……………』
「…嘘つき」
『……だよね。アタシ、嘘下手くそだから…。』
「昔から、変わんないね、サクラ。」
『……ねぇ、ユキ。』
「……………」
『皆殺し、やり遂げてよ。』
「……!?」
『だって、もうここまで来ちゃったんなら、終わらせなきゃ。』
「で、でも…それじゃあ…」
『アタシ聞いたんだ。ループのこと。金髪の女の子が言ってた。』
「なんで……それ…」
『それでね、やっとわかったんだ。ユキの動機がさ。』
「……………」
『アタシも、ユキと同じ立場だったら、同じことしてたと思う。でも、アタシと違うのは、ユキなら……アタシを殺せる。』
「……無理、だよ。」
『大丈夫。アタシ、頑張って痛みに耐えるからさ。きっとアタシの存在が、ユキの覚悟を鈍らせちゃうと思うんだ。』
「……また、そうやって……自分を犠牲にするの?」
『……それが、今のアタシに出来ることだから。』
「………私、怖いよ。これ以上、進むのが。」
『アタシ、まだよく分かってないけどさ、ループのこと。ユキはずっと酷いことされてきたんでしょう?だから、皆殺しにしてる。アタシもよく分かるよ。文字通り死ぬほどの痛みを何度も受けたら、やり返したくなる気持ちも分かる。なんならアタシ、多分精神が死んじゃうかも。』
「………」
『大丈夫、ユキは強いから。アタシが1番知ってる。』
「………私は、弱いよ。」
『………ユキ、聞いて欲しい。』
「………………」
『もし、このループが終わったらさ…一からやり直すのはどう…?』
「……どういう、こと?」
『なんていうか………記憶を消すとか……そういうのをしたら、楽になるかもしれないじゃん?』
「……………」
『それまでの辛抱だって考えたらさ、頑張れると思うんだ。アタシを乗り越えて、未来に繋げるって思えば。』
「………サクラ。」
『どうしたの?ユキ。』
「…………私、覚悟決めたよ。でも、手が震えて……」
『大丈夫………アタシも少し怖い。でも、アタシも覚悟は決めた。』
「………それじゃ、また次に……」
『うん……またね。アタシは何時でも、ユキの味方だよ。』
「…………ありが、とう。」
あぁ
手が震える。
………いやだなぁ。
殺したく、ないなぁ。
2人で逃げて、幸せに暮らしたいなぁ……。
日常に戻って、
笑い合いたいなぁ…………。
私は、そっと
刃を胸に突き立てた。
案外簡単に刺さり、ビクッとサクラは震える
『………痛いけど、大丈夫。』
「…………今からでも、帰ろうよ……」
『だめ。もうここまでしたんだから、最後までやろう。』
「…………わかった。」
更に深く、刺さる。
呼吸器官に血が逆流したせいか、サクラは血を吐き出す。
呼吸が荒くなり、苦しそうだ。
『………大、丈夫………アタシのこと……は、気にしないで…』
いやだ
いやだぁ……
いやだよぉ…………
どうして………
いやだぁぁ………
『………ユキ…………泣か、ないで』
だってぇ………
こんなこと、もうやめたいよぉ……
『……………またつぎが……あ…るから、…アタシはいつ……でも、隣にいる…よ……』
息が、弱くなってく。
指先が冷たくなっていく。
脈が、消えていく。
あぁ、ああぁ……
サクラは
サクラを
私は、サクラを、殺した。
………ごめんね。
ごめんなさい。
………いかなきゃ。
乗り越えるんだ…………。
大丈夫なのだろうか?
そう思い、アタシは様子を伺うために外へ出た。
……嫌に静かだ。
なんだか、空気が重たい気がする。
……遠くから、荒い息遣いが聞こえる。
嫌な、予感がする。
アタシは重たい拳銃を構える。
怖い。
息が震える。
気味の悪い音がする。
嫌な想像をしてしまう。
………アタシは、覚悟を決めた。
✳✳✳✳✳✳✳
はぁ……はぁ…………!!
……………はぁ………
……う……おぇえぇ!!!
げほっげほ………おぇ……けほ………
……………………はぁ…………
突然思い出したかのように、身体が感覚を取り戻す。
そして、直ぐに音が聞こえた。
…誰かがいる。
私は素早く、音の方向へと目を向けた。
………
………………めを、うたがった
………うそだ
……………嘘に決まってる
あぁ、また幻覚だ。
きっと、そうだ。
いるはずがない。
彼女はもう………いるはずがないのに………!
『……ユキミ、もう一度……はなそう。』
…………ちがう
本物だ。
………声も、顔も、作り物じゃない。
………………本物のサクラがいる…。
私は
手に持っていたナイフを落とした。
「う……うそだ……!!」
『うそじゃないっ!!』
「だ、…って、サクラは……あ、あの、場所で……!!!」
『……アタシは助かったんだよ。ねぇ、ユキミ。ホントはこんなこと、したくないんだけど………ユキを止めなくちゃいけないみたい。』
「やだよ……私っ…サクラを傷つけるなんて……!!!」
『……………あ、たしも……アタシも、怖いよ!!!アタシも!!!ゆ、ユキが人殺しになってから、アタシ…責任を感じてて、助かってからもずっと!!眠れなかったんだ!!』
「……ごめん……なさい………」
『…………ユキ………あなたは、覚悟してるの?』
「………どういう、こと?」
『………この先、行かなくちゃならないんでしょ。……あはは、アタシ、やっぱりユキを傷つけることなんてできないや。』
「………………やめて」
『……ねぇユキ。あたしね、あ…あんたのことがっ!!!き………きっ………』
「やめて、おねがい、やめて…」
『……ぎ……らいっ……だった………かも。』
「……………」
『……………』
「…嘘つき」
『……だよね。アタシ、嘘下手くそだから…。』
「昔から、変わんないね、サクラ。」
『……ねぇ、ユキ。』
「……………」
『皆殺し、やり遂げてよ。』
「……!?」
『だって、もうここまで来ちゃったんなら、終わらせなきゃ。』
「で、でも…それじゃあ…」
『アタシ聞いたんだ。ループのこと。金髪の女の子が言ってた。』
「なんで……それ…」
『それでね、やっとわかったんだ。ユキの動機がさ。』
「……………」
『アタシも、ユキと同じ立場だったら、同じことしてたと思う。でも、アタシと違うのは、ユキなら……アタシを殺せる。』
「……無理、だよ。」
『大丈夫。アタシ、頑張って痛みに耐えるからさ。きっとアタシの存在が、ユキの覚悟を鈍らせちゃうと思うんだ。』
「……また、そうやって……自分を犠牲にするの?」
『……それが、今のアタシに出来ることだから。』
「………私、怖いよ。これ以上、進むのが。」
『アタシ、まだよく分かってないけどさ、ループのこと。ユキはずっと酷いことされてきたんでしょう?だから、皆殺しにしてる。アタシもよく分かるよ。文字通り死ぬほどの痛みを何度も受けたら、やり返したくなる気持ちも分かる。なんならアタシ、多分精神が死んじゃうかも。』
「………」
『大丈夫、ユキは強いから。アタシが1番知ってる。』
「………私は、弱いよ。」
『………ユキ、聞いて欲しい。』
「………………」
『もし、このループが終わったらさ…一からやり直すのはどう…?』
「……どういう、こと?」
『なんていうか………記憶を消すとか……そういうのをしたら、楽になるかもしれないじゃん?』
「……………」
『それまでの辛抱だって考えたらさ、頑張れると思うんだ。アタシを乗り越えて、未来に繋げるって思えば。』
「………サクラ。」
『どうしたの?ユキ。』
「…………私、覚悟決めたよ。でも、手が震えて……」
『大丈夫………アタシも少し怖い。でも、アタシも覚悟は決めた。』
「………それじゃ、また次に……」
『うん……またね。アタシは何時でも、ユキの味方だよ。』
「…………ありが、とう。」
あぁ
手が震える。
………いやだなぁ。
殺したく、ないなぁ。
2人で逃げて、幸せに暮らしたいなぁ……。
日常に戻って、
笑い合いたいなぁ…………。
私は、そっと
刃を胸に突き立てた。
案外簡単に刺さり、ビクッとサクラは震える
『………痛いけど、大丈夫。』
「…………今からでも、帰ろうよ……」
『だめ。もうここまでしたんだから、最後までやろう。』
「…………わかった。」
更に深く、刺さる。
呼吸器官に血が逆流したせいか、サクラは血を吐き出す。
呼吸が荒くなり、苦しそうだ。
『………大、丈夫………アタシのこと……は、気にしないで…』
いやだ
いやだぁ……
いやだよぉ…………
どうして………
いやだぁぁ………
『………ユキ…………泣か、ないで』
だってぇ………
こんなこと、もうやめたいよぉ……
『……………またつぎが……あ…るから、…アタシはいつ……でも、隣にいる…よ……』
息が、弱くなってく。
指先が冷たくなっていく。
脈が、消えていく。
あぁ、ああぁ……
サクラは
サクラを
私は、サクラを、殺した。
………ごめんね。
ごめんなさい。
………いかなきゃ。
乗り越えるんだ…………。
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