転生するなら人間がいいな〜 〈零〉

獣野狐夜

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漆章 創ラヌ“カミ”大湖

ご 独白。

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アタシはやることがなかった。

ソラネさんも慌てた様子でどこかに行ってしまったし…

どうすればいいんだろう?

ここでユキを待つのも行けない気がする。

どうなったっていい。

自身を犠牲にして、ユキを止めなきゃ。

これ以上、彼女が苦しまないためにも

アタシが、罪を背負わなきゃ。

……それよりも、ソラネさんが心配だ。

でもここで待てと言われている。

……今は、じっとしておこう。

✳✳✳✳✳✳✳

ついに来た。

ソラネの門の前に、私は立つ。

ユウカの鍵と、三神の証で開く門を通り抜ける。

穏やかで静かな街並み。

生きている者は居ない。

大きな古城がある。

古城の前に、広々とした広場がある。

その真ん中に、見覚えのある影がある。

ソラネだ。

『………貴女が、厄災ね。』

「………久しぶり…いや、。そこ、どいてくれる?」

『ここは通さないよ!貴女を倒して、みんなを生き返らせるんだから!』

「………まぁいいか。どうせ殺さなきゃ行けないし。」

『……貴女……そんな簡単に殺すなんて言ってはいけないよ?ひ、人の命は尊いものなんだよ!?あ、貴女は一体何を考えてるの!?』

「………お前は知らない。私がどれだけ殺されたかを。
お前は知らない。私がどれだけ殺されたかを!!!」

『………なんの、話?』

「お前も含めて、私は信じた全ての人に殺された。ありとあらゆる方法で、私は苦しんで、痛めつけられて、嬲られ、蹴られ、叩かれ、もがいても、叫んでも、許されなかった。なぜわかった気になる。なぜ命の意味を問う。私が、一体私が……!なにを!!したってんだよっ!!!わたしがっ…!!なんのためにこんなっ…苦しめられてんだよっての……!!!お前にはっっ!!!!なにがっわがるんだよっ!!!!」

『…………ごめんなさい。私には、貴女の言ってることが理解できないよ。それでも、イタズラに人を殺していい理由にはならない。貴女が苦しめられてきた分、人にやっていいわけじゃない。どんなに苦しかろうとも、人の命を奪っていい理由にはならないんだよ。』

「…なんで、だれも、わかって、くれないんだ。たった一度だけ………何億回分の一回だけ、私の味わった苦しみを、痛みを、八つ当たりして何が悪いのさ。どうせ、私が死ねば、何も無かったことになる。………私はただ、この苦しみから開放されたいだけ。私を理解してくれたのは、たった一人だけだった。世界がループしてることすら理解できない人間に、私の何がわかるのさ。」

『なにを、言ってるの?ループって……そんなこと、あるはずないじゃん。』

「………ソラネ。お前は今まで、殺されたことがあるか?」

『…………え?』

「お前は、信じた仲間にぐちゃぐちゃに殺されたことがあるか?首を絞められたことは?胸を刺されたことは?無理やり犯されたことは?焼かれたことは?溺れたことは?首を切られたことは?脳をいじられたことは?」

『………ないけど。』

「だろ?私はその全てをされてきたんだよ。それを覚えてるのは私だけ。この苦しみは、全部本当にあったこと。私だけ、こんな、苦しむなんて、どうして…こんな仕打ちを受けなきゃいけない?神か何かに背いたのか?私は、一体…どうしてこんな、苦行を受けなきゃいけない?」

『……………… 』

「ソラネ、私は本当は殺しなんてしたくない。でも、一度くらいわかって欲しいんだよ。死というものを。」

『……ち、近づかないで』

「ソラネ…私は、殺人鬼になるべくしてなった訳じゃないんだ。」

『こ、来ないで!これ以上近づいたら、殺すよ!』

「ソラネ……私は、沢山苦しめられたのに、人を苦しめるのは許されないのかな。」

『……あ、あっちいって!!』

「ソラネ………なんで、お前は忘れられるの?」

『いやだ、こっち来ないで……怖いよ…』

「ソラネ…………私の、罪を教えて」

『来ないで!!!』

「ソラネ…………この痛みを、わかって欲しいの。」

『いや、なんで……やめて…許して……』

「どうして、私だけ許されないのに、お前らは許されるの?」

グサッ

『あぐ……いだ……やめてよ……』

「どうして、理解してくれないの?」

グサッ

『いぅ……いたい……よ』

「どうして、苦しいの?」

グチャッ

『あ……ぇ……いぁ……め…』

「どうして、お前らは生きている?」

グチャッ

『ぉが…………め…な……ざ……』

「ズルいよ、みんな、ズルいよ。」

グシャッ

『ぁ……』

グシャッ

『…………』

グシャッ

グシャッ

グシャグチャッグチャグチャグチャ……

「みんなばっかり、ずるいよ。」



私は、ソラネに馬乗りしながら、何度も何度も刺した。

「私も、普通に生きたかったよ………。」

ただ、風が吹いている。

乾いた雨が降ってる……。

そうか

私は


私はただ


……。
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