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参章 飛ベナイ“スカイ”噴水
よん 罰と癒し。
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嗅覚が研ぎ澄まされる。
記憶の中の“匂い”。
『…いる。』
強化された筋肉。
雨の音に混じり、荒い呼吸が聞こえる。
…親友殺しの初恋相手。
……噛み殺してやる……っ!!!
*******
頭が痛い。
雨に濡れる。
服が湿っていき、不快感を覚える。
ふらついて、しゃがみこむ。
不意に感覚を取り戻す。
全身に走る痛み。
錆びた鉄と、濡れたアスファルトの匂いが嗅覚を刺激する。
酷い耳鳴りと、荒い呼吸。
肺が凍りそうだ。
白い息と震える体。
血の味がする。
脚に力が入らない。
濡れた靴下から、赤色が滲む。
私の足の裏から…呪いが染み出す。
早く殺さなくては…。
いや………止血しなくては。
時間切れが迫る。
私は何回かやらかしたことある。
それは、止血していないこと。
私の足の裏には、呪われている証拠として、紋が掘られている。
物理的に。
…血がずっと流れているのだ。
そう……私はこのループで………
止血を忘れていた。
ただでさえ激しい動きをした上、
今は雨に滲み痛みが走る。
…止血しよう。
『………殺す』
声が聞こえた。
…復讐しに来たのか…。
あれ、この展開どこかで……。
『…ぶっ殺してやるっ!!!!』
何かが私の横を通り過ぎる。
咄嗟に避ける。
靴下を脱いだ足から、血が滲む。
…危なかった。
油断していた。
もう少し回避行動が遅れていたら、
大動脈を噛みちぎられていた。
……止血を優先しなくては、
失血死で無駄なループを終える。
…………ああもう…!!
回復魔法さえあれば良かったのに………!!!
……回復魔法…か。
アリサも…サクラも……どっちも死んだ。
ソラは……私を殺そうとなにか計画しているに違いない。
いま、留まってしまえば殺される。
動いてしまえば、失血死する。
………詰んだ。
本格的に詰んでしまった。
ああ…神様。
………私は、許されないのでしょうか。
突然…肩に痛みが走る。
「ぐ……うぁああああああああああ!!!」
静寂を切り裂く咆哮。
左腕が血に塗れる。
……脳に響く声。
【秋山雪美 は ワールドスキル《罰癒者》を獲得しました。】
………ナオルヒト…?
一か八かで…使うしかないか。
【現在 秋山雪美 は330082人分使用できます。いくつ使用しますか?】
使用………?
よく分からないけど………使おう。
とりあえず…100人分を足に。
【残りは329982人分です。100人分のあるはずだった寿命を使用して、治癒します。】
………治っていく…。
しかし、傷跡が塞がらない。
………カサブタのようなものができたが、未だにはっきりと紋が残っている。
でも、これで動ける。
『僕が愛した分すべて……!!!愛を持って…噛み殺してやるっすぅ………っっ!!!!!』
「…いいよ、できるもんならね。でも……畑荒らしの野良犬はさっさと裁判にかけなくちゃね……!!!」
クルクルとナイフを回す。
濡れた靴下を履き、部屋用のスリッパを素早く着ける。
痛覚はとっくに消えた。
耳鳴りも頭痛も、血の味も雨の匂いも…すべて視覚に集中する。
さてと…狼男裁判と行くか。
記憶の中の“匂い”。
『…いる。』
強化された筋肉。
雨の音に混じり、荒い呼吸が聞こえる。
…親友殺しの初恋相手。
……噛み殺してやる……っ!!!
*******
頭が痛い。
雨に濡れる。
服が湿っていき、不快感を覚える。
ふらついて、しゃがみこむ。
不意に感覚を取り戻す。
全身に走る痛み。
錆びた鉄と、濡れたアスファルトの匂いが嗅覚を刺激する。
酷い耳鳴りと、荒い呼吸。
肺が凍りそうだ。
白い息と震える体。
血の味がする。
脚に力が入らない。
濡れた靴下から、赤色が滲む。
私の足の裏から…呪いが染み出す。
早く殺さなくては…。
いや………止血しなくては。
時間切れが迫る。
私は何回かやらかしたことある。
それは、止血していないこと。
私の足の裏には、呪われている証拠として、紋が掘られている。
物理的に。
…血がずっと流れているのだ。
そう……私はこのループで………
止血を忘れていた。
ただでさえ激しい動きをした上、
今は雨に滲み痛みが走る。
…止血しよう。
『………殺す』
声が聞こえた。
…復讐しに来たのか…。
あれ、この展開どこかで……。
『…ぶっ殺してやるっ!!!!』
何かが私の横を通り過ぎる。
咄嗟に避ける。
靴下を脱いだ足から、血が滲む。
…危なかった。
油断していた。
もう少し回避行動が遅れていたら、
大動脈を噛みちぎられていた。
……止血を優先しなくては、
失血死で無駄なループを終える。
…………ああもう…!!
回復魔法さえあれば良かったのに………!!!
……回復魔法…か。
アリサも…サクラも……どっちも死んだ。
ソラは……私を殺そうとなにか計画しているに違いない。
いま、留まってしまえば殺される。
動いてしまえば、失血死する。
………詰んだ。
本格的に詰んでしまった。
ああ…神様。
………私は、許されないのでしょうか。
突然…肩に痛みが走る。
「ぐ……うぁああああああああああ!!!」
静寂を切り裂く咆哮。
左腕が血に塗れる。
……脳に響く声。
【秋山雪美 は ワールドスキル《罰癒者》を獲得しました。】
………ナオルヒト…?
一か八かで…使うしかないか。
【現在 秋山雪美 は330082人分使用できます。いくつ使用しますか?】
使用………?
よく分からないけど………使おう。
とりあえず…100人分を足に。
【残りは329982人分です。100人分のあるはずだった寿命を使用して、治癒します。】
………治っていく…。
しかし、傷跡が塞がらない。
………カサブタのようなものができたが、未だにはっきりと紋が残っている。
でも、これで動ける。
『僕が愛した分すべて……!!!愛を持って…噛み殺してやるっすぅ………っっ!!!!!』
「…いいよ、できるもんならね。でも……畑荒らしの野良犬はさっさと裁判にかけなくちゃね……!!!」
クルクルとナイフを回す。
濡れた靴下を履き、部屋用のスリッパを素早く着ける。
痛覚はとっくに消えた。
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