転生するなら人間がいいな〜 〈零〉

獣野狐夜

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零章 呪い、ノロイ、詛口ィ

いち いちどめ。

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これは、私が“ユキ”になる前の話。

もう既に、忘れ去られた時間軸の話。

消えた世界の話。





☆☆☆☆☆☆☆

私は異世界転生をして、仲間と旅をして………たくさんの人達と出会った。

これが、

でも、結局ラスボスに胸を抉られ、死んだ。

これが、

私は死んだ。でも、何かが違った。

普通の死ではなかった。


私は、

……心の中で何かがささやいた。


『ウルワランドの。』

………あまりにも残酷だった。

私は、受け入れられなかった。

でも、これを乗り越えれば、呪いが解けるらしい。


最初は少し、未来を変えることにした。

希望を抱くために。

絶望しないために。

目標は、生きてラスボスを倒す。


最初は、何も対策せずにまた死んでしまった。

……やはり、空き巣に殺られた。

ここはアメリカだっけ……?何故か銃を持っていた。

目の前が暗くなった。

2度目の転生だ。

ここから、検証が始まる。

まず、最初に出会う女の子、「アリサ」に友達になると誘われるところから始まる。

………断ってみよう。

何か変わるかもしれない。

「……ごめん、私………忙しくて。」

私はそそくさとその場を立ち去った。


…………………

「ぐぁ………っ!」

数分後、私は倒れていた。

背後から何者かに刺されたみたい。

じんわりと広がる赤色。

視界がぼやけて、傷口が熱い。


『……友達にならないから、悪いのだ。私は………私は悪くないのだ。うう…。』


最後に見たものは、アリサだった。

…そのは、歪んでいた。



*******


驚いて目が覚める。
刺されたところの痛みが、まだ残っている気がした。
とても怖かった。
そりゃそうだ、の死だ。
普通は精神が狂うはずだ。でも、
……でも、やっぱり怖かった。
もう一度同じ死に方は狂ってしまう。
またあの空き巣に殺されるのは嫌。
私は何とかして運命から逃げようとした。
このまま家にいたら死んでしまう。
そして、転生してしまう。
それが、大体午後7時半頃だとわかった。
2回目の転生前、時間を測ってた。
……とりあえず私は図書館に避難することにした。

「はっ…はっ……」

走れ慣れてないせいで、息が切れ切れになってしまう。
ここは西京セイキョウ香澄ヶ坂カスミガザカ市立図書館。
私がいつも通っている図書館で、兄もよく来ている。

「…あまり行動は起こさないほうが…はぁ…いいよねっ……」

本を手に取ろうと本がずらりと並んだ棚の前に立つ。

バキッ!

不穏な音がした。

「あっ……!」

私はとっさに逃げようとした……が。


ドサグシャッ!!



ダメだった。



「……ぅあ…。」

大きな本棚が倒れてきて、私は下敷きになった。

一瞬の出来事で認識が遅れた。

身体が重い。

視界が血で滲んでいく。

……人の声がする。

「…キ!お…ちゃん…助…るか…な!だれか!早…!早く…急車…呼……くだ……!!」

…聞き覚えのある声だ。

懐かしいからか、痛みからか。

涙が出てきた。

人の声が重なり始めた。

目の前に本が積み上がっていく。

「お前はもう助からない」という本が目に入る。

息が………出来なくなってきた。

苦しい。


……寒い。

……目の前が真っ暗になった。

何も聞こえない。

……たぶん、3度目の転生が始まった。
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