音色 〜オトノイロ〜

獣野狐夜

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2週目 それぞれの問題

8日目 見えない鮮血

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『いやああああああ!!』
「り…リンゴさん!」
…私の脚が切られた。
切った後の先生の顔は、笑っていた。
怖い。怖い怖い怖い怖い怖い。
……これが死の恐怖。
…殺さないと。殺さないと……!!
『……殺す……!!』
「リンゴさん!無理だよ!先生は…」
『黙れ…このど貧乏が!!』
「……え?」
『私は貴族の娘。貴方は貧乏な召使いでいいのよ!!……先生すら私に逆らえないはず………なのに…!!』
「……リンゴ?」
『黙れ!!お前が死ぬべきなんだ!!』
「……やめろ!!」
『……私は必要とされるの!お前はいらない!』
リンゴは恐怖に狂っていた。
そりゃそうだ。
足を切られ、腕を切られ、狂わないことなんてない。
『…ふふ、もういいですね。それでは死んでください。』
『…いや!!いやぁ!!』
顔を打ち続けるリンゴ。
でも、腕を切られる。
『……もう…撃てない。』
……リンゴはもう諦めた。
『シン……ごめんなさい。あなたは生きて。』
「…リンゴ!ダメだ!」
『…もう無理だよ。足も腕も無いもの。……さようなら。』
僕は咄嗟に後ろを向いた。
「……ちくしょおおおおおおお!!」
先生あくまは、容赦なく鎌を振る。

…リンゴの首が、宙を舞う。

藤原 鈴恋ふじわら りんご、首を切られ死亡。

なんとか………逃げきれた。

「………リンゴ、この命、大切にするよ。」

シンは、第二校舎に向かう。

☆☆☆☆☆☆☆

その頃、タケルは隠れていた。
『…はぁ…はぁ……こわい。』
ただ怖かった。
死という現実が、目の前に襲いかかる。
どれだけ怖いことか。
タケルは願う。
せめて、自分以外の誰でもいい。
…誰かが、生きて、この事件を伝えてくれることを願った。
『……タケルぅ!』
……目の前には、女の子がいた。
彼女はヒイロ。本名、佐藤 緋彩さとう ひいろ
彼女はこのクラスのアイドルだった。
彼女が歌えば、男子はみんな歌う。
そんな、歌姫が目の前にいた。
『……ヒイロさん。』
『タケル!その右腕!どうしたの!?』
『…先生に……やられたんです。』
『…先生……?』
ヒイロは絶望していた。
先生…あんなに優しかった先生が、殺人鬼だと…受け入れられなかった。
しかし、目の前には腕のないタケルが居る。信じざるを得なかった。

放送が流れる。リンゴの死亡報告だ。
『………リンゴちゃん……うぅ』
『ヒイロ……仕方ないんです。先生からは逃げられないんですよ。』

…死の恐怖からは逃げられない。
…まだ始まりに過ぎなかった。
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