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第捌章 大戦争は、混乱と共に
10節目 交差する拳
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『おりゃああ!!!』
『ふん、まだまだネ!やっ!!』
『おっとと、へっ!そんだけかよ?』
『これがアタイの本気だと思ったんなら、とんだオツムだナ!!』
『わってるよ、お国のトップ様がそんな雑魚だなんて夢にも思わねぇよ』
『ふ、いつまで軽口を叩けるかネ?』
『お前が死ぬまでだよ!!!特攻の為の交響曲!!!』
『へぇ、カッコイイ技じゃないか。じゃあアタイのも受けてみな!!愛印乱憎!!!』
交差する拳、衝撃音が響く。
衝撃波が広がり、周りの建物はボロボロになった。
『うぉ!?な、なんすかこの衝撃!!』
『きっとシンとクソ女が戦ってるのだよ。我らは解錠に集中しようか』
『…そ、そうっすね…』
二人は解錠に手こずりながらも、着々と逃げ道を確保しようとしている。
『で、でも…この鍵すっごい複雑っすよ!なんというか…条件付きみたいな…?』
『ふむ……あまり使いたくなかったが、我の技能を使う時が来たな。』
『ぎ、技能…っすか?』
『そうだ、この…《鍵開師》を使って開けることができるはずだ。しかし…これを使えば我は……30分動けなくなる…!』
『さんじゅ…!?そ、そんなに長くダウンされちゃ、困るっすよ!』
『だから使いたくなかったんだ!!……あた…我は…皆に迷惑かけたくないのだよ……だから、できるだけ使わないようにピッキングを使ったんだ。でも、しょうがない。……なぁ、クウマ。しばらく我をお願いできるか?』
『……もう、世話のかかる人っすね。しょうがないから、1回だけっすよ? 』
『今回だけ甘えてやる!《鍵開師》にて命ずる!!開け、鍵よ!!』
眩しい光とともに、ガチャリと大きな音が鳴る。
ギィ、と門の開く音が鳴り出したタイミングで、ナツミは倒れこんだ。
『……しばらく休んでてください、ナツミさん。』
ナツミを支えて、クウマは門から出て、近くの建物の影に隠れた。
(…ナツミが倒れたか。どうやら2人とも無事に出られたみたいだな。
……さてと、俺はどうするかな。)
シンは、相手の力量が思ったよりも高いことに悩んでいた。
(さすがトップを張れるだけあって、力も技量も圧倒的に上だ。《挑戦者》がなければ確実にやられていたと思う。)
この間、約0.05秒。建物という建物の隙間を縫って距離を取っていくシン。
それを逃がすまいとリュウが追撃をかけてくる。
『どこへ行くンだい?このネズミ野郎!!今更アタイに怯えて、逃げるってんカ?』
『ちげぇよクソ女!!お前は分かってねぇみたいだけどよ…俺ァまだ本気出してねぇんだよ!!』
『それはアタイもネ!!こんなガキ一人に本気出すほど、アタイは弱っちくないのサ!!』
(完全に舐められてるな。…まあいい、この方が好都合ってもんだ。)
素早く拳を避けながら、シンは狙いを定めた。
『……ん、なんだ?なにをする気ネ?』
拳を強く握り締め、空気を圧縮した。
そして…空気を切り裂くような一振をリュウへ向けた。
『!?』
バコォン!と破裂音のような音がした。
『……ぐはっ…!?』
『へ、どうだ…俺の必殺技!空気殴はよ!!』
『…アタイとしたことが…油断、してしまったようだネ…。』
『これで諦めて、戦争を辞めるこった。』
『………子供一人に負けてるようじゃ、アタイもまだまだってことネ。……しょうがない……負けを認めるよ、少年。』
『……っしゃ!!やったぜ…!』
『……にしても少年、アンタ…いい拳だネ。アタイの弟子になる気はないかい?』
『…わりぃが、俺ァもう先約済みなんだよな。…でも、楽しかったぜ!リュウさん!!』
『…アタイも、楽しめたネ。』
『そんじゃあな!』
シンはリュウを一瞥してから、その場を後にした。
『…………あの夢とは違ったが、認めざるを得ないナ…。アタイの、負けだヨ…こんちくしょう。』
ただ1人、建物の破片を被ったリュウは、そのまま気を失ったのだった。
『ふん、まだまだネ!やっ!!』
『おっとと、へっ!そんだけかよ?』
『これがアタイの本気だと思ったんなら、とんだオツムだナ!!』
『わってるよ、お国のトップ様がそんな雑魚だなんて夢にも思わねぇよ』
『ふ、いつまで軽口を叩けるかネ?』
『お前が死ぬまでだよ!!!特攻の為の交響曲!!!』
『へぇ、カッコイイ技じゃないか。じゃあアタイのも受けてみな!!愛印乱憎!!!』
交差する拳、衝撃音が響く。
衝撃波が広がり、周りの建物はボロボロになった。
『うぉ!?な、なんすかこの衝撃!!』
『きっとシンとクソ女が戦ってるのだよ。我らは解錠に集中しようか』
『…そ、そうっすね…』
二人は解錠に手こずりながらも、着々と逃げ道を確保しようとしている。
『で、でも…この鍵すっごい複雑っすよ!なんというか…条件付きみたいな…?』
『ふむ……あまり使いたくなかったが、我の技能を使う時が来たな。』
『ぎ、技能…っすか?』
『そうだ、この…《鍵開師》を使って開けることができるはずだ。しかし…これを使えば我は……30分動けなくなる…!』
『さんじゅ…!?そ、そんなに長くダウンされちゃ、困るっすよ!』
『だから使いたくなかったんだ!!……あた…我は…皆に迷惑かけたくないのだよ……だから、できるだけ使わないようにピッキングを使ったんだ。でも、しょうがない。……なぁ、クウマ。しばらく我をお願いできるか?』
『……もう、世話のかかる人っすね。しょうがないから、1回だけっすよ? 』
『今回だけ甘えてやる!《鍵開師》にて命ずる!!開け、鍵よ!!』
眩しい光とともに、ガチャリと大きな音が鳴る。
ギィ、と門の開く音が鳴り出したタイミングで、ナツミは倒れこんだ。
『……しばらく休んでてください、ナツミさん。』
ナツミを支えて、クウマは門から出て、近くの建物の影に隠れた。
(…ナツミが倒れたか。どうやら2人とも無事に出られたみたいだな。
……さてと、俺はどうするかな。)
シンは、相手の力量が思ったよりも高いことに悩んでいた。
(さすがトップを張れるだけあって、力も技量も圧倒的に上だ。《挑戦者》がなければ確実にやられていたと思う。)
この間、約0.05秒。建物という建物の隙間を縫って距離を取っていくシン。
それを逃がすまいとリュウが追撃をかけてくる。
『どこへ行くンだい?このネズミ野郎!!今更アタイに怯えて、逃げるってんカ?』
『ちげぇよクソ女!!お前は分かってねぇみたいだけどよ…俺ァまだ本気出してねぇんだよ!!』
『それはアタイもネ!!こんなガキ一人に本気出すほど、アタイは弱っちくないのサ!!』
(完全に舐められてるな。…まあいい、この方が好都合ってもんだ。)
素早く拳を避けながら、シンは狙いを定めた。
『……ん、なんだ?なにをする気ネ?』
拳を強く握り締め、空気を圧縮した。
そして…空気を切り裂くような一振をリュウへ向けた。
『!?』
バコォン!と破裂音のような音がした。
『……ぐはっ…!?』
『へ、どうだ…俺の必殺技!空気殴はよ!!』
『…アタイとしたことが…油断、してしまったようだネ…。』
『これで諦めて、戦争を辞めるこった。』
『………子供一人に負けてるようじゃ、アタイもまだまだってことネ。……しょうがない……負けを認めるよ、少年。』
『……っしゃ!!やったぜ…!』
『……にしても少年、アンタ…いい拳だネ。アタイの弟子になる気はないかい?』
『…わりぃが、俺ァもう先約済みなんだよな。…でも、楽しかったぜ!リュウさん!!』
『…アタイも、楽しめたネ。』
『そんじゃあな!』
シンはリュウを一瞥してから、その場を後にした。
『…………あの夢とは違ったが、認めざるを得ないナ…。アタイの、負けだヨ…こんちくしょう。』
ただ1人、建物の破片を被ったリュウは、そのまま気を失ったのだった。
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