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第陸章 明日の音は、晴れ模様
8節目 しあわせを呼ぶ花は
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とりあえず、目的地の創造神泉を目指すことにした。
しかし、ちょっとだけ道が険しい。
何とかなるかな……?
そう考えていると、後ろの方からガサガサと物音がした。
「...ん!?敵っ!?…あ!ナツミだ!!なんでいるん?」
木陰から顔を出して、ナツミは珍しくモジモジしながら言った。
『あー、と、特に深い理由はないぞ?だが…何となくあたっ…我もついて行こうかと思ってな!マジで!!まじで特にふかぁーーい意味とかないからねっ?』
ナツミは素直じゃないなぁ。
「はぁ、仕方ない!いいよ、一緒に冒険しよ!」
『あ、あた……我は嬉しい…あ。えっと…小娘よ!感謝する…』
噛み噛みで言い直すナツミは、どこか照れくさそうにしていた。
とりあえず案内役のナウアエルさんと合流した。
『おや、ナツミ様もご一緒ですか。
では、創造神泉へ行く前に、皆様に大切なお知らせがございます。』
ん?なんだろ?
『えーと……、なんでしょうか?』
『んー、なんだー?プレゼントー?』
『……申し訳ございません。ご迷惑なのは重々承知ですが、こちらの扉をお開きになるためには魔族の街で創造の石を取得していただく必要がございます。ご理解賜りますようお願い申し上げます。』と悲しそうな顔でナウアエルさんは言う。
う、創造の石??
うっそまだ目的地行けないのかぁ。
とりあえず、魔族の街に行くしかないらしい。
『ねぇユキ、ほんとに帰れるのかな…。』
『魔族っすかぁ…はぁ……お姉ちゃんに会えると思ったんだけどな。』
「まぁ、ちゃっちゃとデルタナンチャラにいって、その後ソラネに会いに行きますか!」
『あー、それもそうだな。』
『リョーカイだぞ!』
『…ま、悪くないね?』
ユキも実はクウマから貰ったが、クウマは料理がセレンさんと同類だったので食べれなかったのは別の話。
*******
神様、聞いてください。
アタシの願いは叶いました。
幸せは来てくれました。
アタシはとっても幸せです。
この日々は、とてもとても楽しかったです。
友達が沢山出来ました。
みんなみんな、個性的で、優しくて、面白いんです。
そしてアタシにもついに、好きな人が出来ました。
昔の知り合いながら、優しくしてくれたんです。
アタシのことを覚えててくれたんです。
アタシはそこに惚れたんです。
アタシの誕生花の、そして好きな花の【カキツバタ】は、アタシの夢でもありました。
思い出したんです。
昔、お母さんが亡くなる前に言ってくれたんです。
「私の好きな花は、カキツバタよ。だって、あなたにどんな悪いことが起きても、きっと倍以上の幸せがやってくるから。私はあなたを愛してるのよ、夏海。」
アタシは訳が分からなかったけれど、なんだか嬉しかったんです。
…でも、それが母の最期の言葉でした。
いきなりだったので、アタシはびっくりしました。パニックになってしまいました。
母を亡くし、父は失踪、学校でも上手くいかなくて……。
アタシは不幸だ…ずっとずっと、今までそう思っていました。
今日、幸福に変わりました。
やっと、やっと幸福になれました。
ありがとう、ユキさん。
ありがとう、アタシだけの神様。
☆☆☆☆☆☆☆
クウマは夢を見た。
近いうちに、メンバーの中の一人が、
生贄として亡くなってしまう運命というものだ。
パニックになってしまった。
その運命から逃れるには、行く街を選ぶ必要があるそうだ。
トリカエという薬は余分に作っておくようにと。
そうすれば、あの雨雲は無くなるだろう。
そして、判断を間違えれば、世界は滅ぶだろう。
判断を間違えてはいけない。
間違えると最悪世界は滅ぶ。
軽くてもチーム全滅だ。
それだけは覚えておくんだ。
そして、みんなには
絶対に言わないこと。
言ってしまったら、君の時間はこの予言の時間に戻る。
そう、知らないだれかから言われ、クウマは飛び起きる。
クウマは予言をした。
そして、決心した。
(この未来を避けないといけないっすね…。)
クウマはそう、固く決意した。
第陸章 明日の音は、晴れ模様 完
しかし、ちょっとだけ道が険しい。
何とかなるかな……?
そう考えていると、後ろの方からガサガサと物音がした。
「...ん!?敵っ!?…あ!ナツミだ!!なんでいるん?」
木陰から顔を出して、ナツミは珍しくモジモジしながら言った。
『あー、と、特に深い理由はないぞ?だが…何となくあたっ…我もついて行こうかと思ってな!マジで!!まじで特にふかぁーーい意味とかないからねっ?』
ナツミは素直じゃないなぁ。
「はぁ、仕方ない!いいよ、一緒に冒険しよ!」
『あ、あた……我は嬉しい…あ。えっと…小娘よ!感謝する…』
噛み噛みで言い直すナツミは、どこか照れくさそうにしていた。
とりあえず案内役のナウアエルさんと合流した。
『おや、ナツミ様もご一緒ですか。
では、創造神泉へ行く前に、皆様に大切なお知らせがございます。』
ん?なんだろ?
『えーと……、なんでしょうか?』
『んー、なんだー?プレゼントー?』
『……申し訳ございません。ご迷惑なのは重々承知ですが、こちらの扉をお開きになるためには魔族の街で創造の石を取得していただく必要がございます。ご理解賜りますようお願い申し上げます。』と悲しそうな顔でナウアエルさんは言う。
う、創造の石??
うっそまだ目的地行けないのかぁ。
とりあえず、魔族の街に行くしかないらしい。
『ねぇユキ、ほんとに帰れるのかな…。』
『魔族っすかぁ…はぁ……お姉ちゃんに会えると思ったんだけどな。』
「まぁ、ちゃっちゃとデルタナンチャラにいって、その後ソラネに会いに行きますか!」
『あー、それもそうだな。』
『リョーカイだぞ!』
『…ま、悪くないね?』
ユキも実はクウマから貰ったが、クウマは料理がセレンさんと同類だったので食べれなかったのは別の話。
*******
神様、聞いてください。
アタシの願いは叶いました。
幸せは来てくれました。
アタシはとっても幸せです。
この日々は、とてもとても楽しかったです。
友達が沢山出来ました。
みんなみんな、個性的で、優しくて、面白いんです。
そしてアタシにもついに、好きな人が出来ました。
昔の知り合いながら、優しくしてくれたんです。
アタシのことを覚えててくれたんです。
アタシはそこに惚れたんです。
アタシの誕生花の、そして好きな花の【カキツバタ】は、アタシの夢でもありました。
思い出したんです。
昔、お母さんが亡くなる前に言ってくれたんです。
「私の好きな花は、カキツバタよ。だって、あなたにどんな悪いことが起きても、きっと倍以上の幸せがやってくるから。私はあなたを愛してるのよ、夏海。」
アタシは訳が分からなかったけれど、なんだか嬉しかったんです。
…でも、それが母の最期の言葉でした。
いきなりだったので、アタシはびっくりしました。パニックになってしまいました。
母を亡くし、父は失踪、学校でも上手くいかなくて……。
アタシは不幸だ…ずっとずっと、今までそう思っていました。
今日、幸福に変わりました。
やっと、やっと幸福になれました。
ありがとう、ユキさん。
ありがとう、アタシだけの神様。
☆☆☆☆☆☆☆
クウマは夢を見た。
近いうちに、メンバーの中の一人が、
生贄として亡くなってしまう運命というものだ。
パニックになってしまった。
その運命から逃れるには、行く街を選ぶ必要があるそうだ。
トリカエという薬は余分に作っておくようにと。
そうすれば、あの雨雲は無くなるだろう。
そして、判断を間違えれば、世界は滅ぶだろう。
判断を間違えてはいけない。
間違えると最悪世界は滅ぶ。
軽くてもチーム全滅だ。
それだけは覚えておくんだ。
そして、みんなには
絶対に言わないこと。
言ってしまったら、君の時間はこの予言の時間に戻る。
そう、知らないだれかから言われ、クウマは飛び起きる。
クウマは予言をした。
そして、決心した。
(この未来を避けないといけないっすね…。)
クウマはそう、固く決意した。
第陸章 明日の音は、晴れ模様 完
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