転生するなら人間がいいな~

獣野狐夜

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第陸章 明日の音は、晴れ模様

3節目 四体の大神

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真っ白な部屋に飛ばされた私は、
しばらく混乱した。
気がつけば着物は乱れ、髪の毛も解けてしまっていた。
そして、いつの間にか目の前にひとりの女の子がいた。
『こんにちは、ソラネさん。やっと、やっと逢えましたね。』
その子は突然、私の名前を呼んだ。
「え、なんで私の名前を…?」
私は驚いて、思わず尋ねる。
『私は“ラン”と申します。私は、知ってるので、当然あなたのことも分かりますよ。』
彼女は薄い笑みを浮かべて答えた。
やけにを強調している。
いや、ちょ、まって?普通に怖いんですけど。
もしかして、ストーカーかなにかですか??
『いいえ、私は悪い者ではございません。』
えっま、心読まれた!?え、まじ?
えっと、ちょ、え…お、おちついて…とりあえずなんか聞いてみようかな…。
『質問はなんでしょう??』
とりあえず、読まれてることは……うん、あとで聞いておくとして。
「えっと、ここは、どこ?」
『今日から、あなたには“神様”として過ごしてもらおうと思います。』
心地よい声が響いたかと思えば
その瞬間、頭に雷が降ったかのような強い衝撃と痛みが伴った。
「うぐっ、あがっ!!い…っ!……ゔぁ…!…ぁっ!!」
気が狂いそうだった。
これ以上、まだ痛みが必要なのだろうか?
もう………こんなの、いやだ。
私は、しばらく地べたでもがき、苦しんだ。
少しずつ痛みが引いてきたその時。
気が付くと目の前には実体のない鏡のようなものがあった。そして、そこに移る私の姿。
頭上に輪っかのようなものが2つ浮いていた。
え…?私は死んでしまったのだろうか?
私は混乱していた。が、よく良く考えればランって子の頭の上にも3つ浮いてるような気がする…
よく、見えないけれど。
『時期に慣れますよ。この輪は、貴女が“神様”という証です。あなたには“創造神”の力を、お渡ししました。』
状況が、掴めない。
突然知らないとこに呼ばれて、突然女の子が現れて、突然痛みに襲われ、突然神様にされる。
これだけでも充分、人は発狂するものだ。
こんな状況でも冷静な自分に恐怖を覚える。
私は、どうなってしまったのだろうか?
『これからよろしくね、トモザクラさん。』
私はどうやらこの、不思議な神様ごっこに付き合わないといけないようだ。
『…よろしく、お願いします。』

2018年6月5日、夏祭りの日。
私は突然、神様になった。
神様として…孤独になったんだ。



☆☆☆☆☆☆☆

とりあえず仮拠点(テント)を片付けることにした。
杭を抜いたり、折り畳んでしまうのがとにかくめんどくさかったが、そのまま置いておく訳には行かないのでいやいや片付けた。
片付けを終えた後、荷物をまとめて中に進むことにした。
貰い物のマフラーを首に巻いてみる。
以外にセンスあるようで、手編みなのにタータンチェック柄だ。私の好きな柄でもある。てか、マジでどうやって編んだんだろ…??
まぁ、気にせず巻き付けることにした。
クウマはとても嬉しそうだった。
ソラとシンは心無しか別々に歩いている…。
まぁそれはさておき、神々の湖レイクオブザゴッドズは、全体的に水色と白の神秘的な景色が広がっていた。
季節は冬なのにどこか暖かくて、心が安らぐような空間だ。
地面は鏡のようになっていて、でも実際は浅瀬みたい。道がないので、浅瀬を通るしかないけど。
よく見るとメンバーの足元には波紋が響いていた。めっちゃ綺麗。
少し暑くなってきたのでマフラーを腕に巻き直した。
しばらく歩いていると、空に沢山の影が見えた。と同時に、大きな塔が近くまで来ていた。
そして、影のひとつがこっちに向かって来た。見た目からして、天使……かな?
『ようこそ、冒険者たちよ。ワタクシは神々の楽園ウルワンドルゴッドランドの案内人兼環境管理長ナチュラルエンジェルのナウアエル・ネイティウロスと申します。お気軽にナウアエルと呼んでくださいませ。では、どちらへお行きになされるのですか?』
めちゃくちゃ丁寧な言葉とめちゃくちゃ長い自己紹介をされた。これには思わず固まってしまい、何も言い出せなかった。それを見兼ねたのか、ナウアエルさんは次々に説明してくれた。
まず、此処には四体の神がいるらしく、それぞれ全知神泉ジュウモンジ創造神泉トモザクラ豊作神泉ミサエラ生物神泉ナサリエルが居る。その神たちは大四善神マリーアルマゲドと呼ばれていて、大四善神達が治める大四大泉マリスワンドウルンスゲニオンがあるらしい。
待って待って長い長い…。名前が非常に長い。
これはさすがに覚えれないので、適当にすごい場所と覚えておいた。
とりあえず振り返ってみる。
まず、私たちの目的は創造神泉トモザクラで崇拝されている友桜 空音ソラネ・トモザクラと言う人物に会うことだね。それで人間に戻れる花の場所を聞いて、薬を作って帰らせてもらう……よし、大丈夫。
と考えてるうちにも、ナウアエルさんは説明していた。意外とお喋りなのね!?
まぁ………うん、一旦ナウアエルについて行くとしますか。

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