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第伍章 喧嘩するほど、沼に嵌る

3節目 湿地帯のウタヒメ

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「お父さんなの…?」
ちょっと聞いてみようと思った。
しかし男は返事しなかった。

なぜだろう?そう思ったら『なに?』と聞こえた。
声は女性だった。あれ?え、女なの!?
そうして彼女?彼?は応えてくれた。
『あー、僕?僕はセレン。セレン・ブレイクっていうよ。あ、男に見えるけど女だよ?』
まってまって。
理解が追いつかない!!
まず整理しよう。この人は女だよね??
そして、もうひとつがマリアーナさんとだってことだ。
姉妹なのかな…?それともたまたま??気になって聞いてみた。
「あの、セレンさんってマリアーナさんのいもu…」『僕はお姉さんですね。』
姉でした。2分の1の感がはずれました。とても恥ずかしいです。
なんか『あの人マリアーナ、嫌いなんだけどな…。うーん。』とか呟いてたけど気にしないでおこうかな。
というか、声や喋り方がふわふわしてた。
何となく優しそうだと思った。
…お兄ちゃん元気かな。
優しくてふわふわしたお兄さんを思い出したけど置いといて、セレンさんに聞きたいことがあった。
というか、なんで【展覧会】知ってるんだろ…?
「あの、セレンさん!なんでセレンさんは歌ってるのですか??」と聞いてみる。
すると『僕が弾かないと……というか歌わないと、ここ音楽の沼地は液状化しちゃうんだ。歌ったり演奏の長さによって硬さも変わってくるけど、誰かが歌わないと泥水になっちゃうんだ。』とセレンさんが言った。なぜかふんぞり返って自慢げに言ってるけど…。
あ!そうか!!だからって呼ばれてるんだ!!
あれ、なんか違和感が…。
まあ、今は気にしないでおこうかな。
あとちゃっかりセレンさんは私たちのボートに乗っていた。いつのまに!?
そしてセレンさんからあるものを貰った。
『ねぇ、ゆきちゃん…だっけ?えっと、僕がまりぃマリアーナから貰ったものだけど、あげる。』
と言って、地図を貰った。
地図にはウルワランドの地形が載っていた。
私たちが知ってる場所の他に、魔族の街デルタルファオメガータや、貧困の村ミチェル不毛の地アルマニス極氷の地アイワンスなどが載っていた。
めっちゃ便利だーー!!今度行ってみようかな…??
そして魔族がいることもわかった。獣人族ビーストマン宇宙族スペースマン人間族ヒューマン神族ゴッド、そして魔人族アンヒューマンがいることが現在わかっていることになる。
それは置いといて、私たちはこの沼地を越えることにする!
何故かセレンさんもちゃっかり着いてきていたが、そのまま行った。
賑やかの方がいいしね!
……あれ?沼地で歌わなくていいのかな?

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