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第参章 陰キャの心、熱を出す
1節目 やがて広い心へ
しおりを挟む翌日、私たちは宿を去る。
宿賃はびっくりするほど安かったけど、飯はまずかった。草食べた方がまだ美味しいと思うくらい。
とりあえず、支度してから宿を出た。
そして、例のバッジを下着の胸ポケットにしまった。効果はなくなっちゃうけど、発動するとめんどいし。
今日は珍しくアリサとレオンだけで冒険していた。ソラとサクラはいつの間にか意気投合したらしく、スイーツ店巡りするらしい。
アリサは強化魔法だけしかつかえないけど、レオンは攻撃魔法も使えるからまだ安心できる。
パーティーの組み合わせとして危険なのはサクラとアリサだな。
戦えるものは私だけで、強化魔法と機械式強化魔法だから勝利はほぼ不可能だな。やれない事はないけど、ものすごく激ムズになるね。
あれ、そういえばアリサは剣技もできるってことをソラに教えてもらったな。前にも木刀貰ったし。なら大丈夫だね。
安心しつつ、私はアリサとレオンと一緒に星の流れる海の絶景スポット、星降る砂浜に観光がてら魔物討伐に来ていた。
鉄蟹をバタバタ倒している時、突然目の前に魔法陣のような物がが発動された。
「ふぇ!?え、なになになに!?」
そこから、中学生くらいの少年がきた。
『うお!?は?マジで成功した!?俺最強じゃん!すげぇ異世界!!』とか訳の分からないことを言っていた少年に、私は戸惑っていた。
思わず、「だ、誰なの!?」と聞くと、その男の子は黒ふちの眼鏡を人差し指でくいっと軽く上げ、パーカーのスソをもってパンパンしてから、なぜかふんぞり返って話し出した。
『おう、俺の名前はシン。高野 心だ。おまえらが誰かは知らんけど、俺は異世界を楽しむために来たんだよ。』
意味不明なことを次々と語り出したシンという男の子をみて、私は久々にコミュ障発症した。
「わ、わたひ…あ、私はユキm…ユキです。よろしくおねが…えと、よろしくね。」と舌がズタズタになる勢いで噛みながら言った。さすがに恥ずかしい。
とりあえず、新しい仲間が増えた(強制)。
ちなみにシンとやらは、部活が弓道部で、小学校の時は柔道部ということもあり、弓や柔道技などが使えるとかとか、次々と情報を漏らして言った。こいつ馬鹿かな?と思った。
次の日。
サクラ達は別の宿に泊まってたみたいで、やっと合流出来た。ちなみに恋バナで盛り上がってたらしいけどね。
とにかくシンを見るなり、『こいつ誰なの!?』と明らかに嫌そうな顔でサクラは叫ぶ。
ソラはとにかく沈黙してた。というか、無表情でもなく、少し微笑んだまま喋らないからちょっと怖い。
ま、まぁとりあえずシンはチョロそうなので、情報を聞き出すと驚くべきことを言い出した。
『うーん、そういえば友桜 空音のやつ、最近異世界の神になったから日本には戻れないとかなんとか言ってたから羨ましくなってきたんだけどなぁ…てかどこいったんだよ…。』と重要そうなことを呟いていた。
なんか今後大事になってくる気がした私は、「え?その世界って何!?」と聞いてしまった。
でもシンは『あぁ、ソラネさんか。ソラネさんは、ウルワランドっつぅ世界の神になったらしい。えっと、その世界は日本みたいに美しく、とても幻想的な場所らしい。ここも似たような場所な気がするんだけど、まさかな。』と爆弾発言を軽くかます。
おもわず「はあああああああ!?!?」と叫んでしまった。
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