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高根麗
ごめんねと
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久しぶりの学校。
正直、制服は動きにくい。
でも夏目ちゃんと勉強できると思うと、不思議となんとかなる気がした。
勉強、ついていけるかな…。
一抹の不安を抱えながら、夏目ちゃんと合流した。
ふと、私は思いついたことがあった。
「恋雪ちゃんって呼んでもいい?」
そう言ってみた。
夏目ちゃんは小さく笑みを浮かべて、いいよと言ってくれた。
夏目ちゃん…恋雪ちゃんも私のことを麗って呼んでくれるらしい。
なんだか友達ってかんじ!
ホントに、幸せだなぁ。
私は暫く保健室にいることになるけど、来週からは一緒にお勉強できるらしい。
楽しみ!
そう、思ってたけど…
なんだか外が騒がしかった。
蝉時雨の中に、悲鳴が聞こえた。
なんだろう?
お化け屋敷かなと、呑気なことを考えてたと思う。
保健室の先生は青ざめた顔をしていた。
これは、なんかやばい気がする…!
…はっ!!
恋雪ちゃんは大丈夫かな!?
そう思って私は、保健室を飛び出した。
騒ぎの原因は、どうやら佐々木くんが飛び降りたらしい。
とても衝撃的な内容で、思わずたじろいだ。
夏目ちゃんはなんだか浮かない顔をしていた。
後ろには、高橋くんがいる。
…なんか、怯えてる?
……なんでだろう?
そういえば、
なんで包帯巻いてるんだろう?
気がつけば
高橋くんは土下座していた。
なんで?
…どういうことだろう?
私、なにかしちゃったっけ…。
途端に不安が増した。
どうしよう。
帰り道。
なんか恋雪ちゃんがものすごく暗い顔をしてる。
なにか秘密があるのかな。
悩み事とかあれば相談に乗りたいな。
私は思わず、恋雪ちゃんに聞いてみた。
「なにか隠してない?」
……
…………
あぁ…
どうしよう
どうしようどうしよう…!
あぁ……うぁ…。
ぜんぶ…
全部私のせいじゃん。
なんで私、気づかなかったんだろう。
どうしよう。
恋雪ちゃん…
私のせいで、恋雪ちゃんが
私の、せいで。
…やっぱり、
私は孤独が一番いいのかもしれない。
恋雪ちゃんのために
私はいない方がいい。
恋雪ちゃんが悪い人にならないために。
……あぁ
どうして、浮かれていたのだろう。
私は、恋雪ちゃんを傷つけていたのに。
私が、傷つけていたのに。
気が付かないで、わたしは…
ごめんね
ごめんね、恋雪ちゃん。
わたし
私のせいで
……私が
私が、恋雪ちゃんの罪を全部
持って行ってあげるから。
ごめんね。
ごめんなさい。
ごめんなさい……。
やっぱり、私は
消えるべきだったの。
踏切の音。
思い出の音。
夏の音。
蝉の音。
あぁ、なんだか
少し、落ち着く。
もうすぐ、消えちゃう命なのに。
遠くから声が聞こえた。
恋雪ちゃん…?
なんで、来ちゃったの?
…ダメだよ、来ちゃったら。
恋雪ちゃんに、酷い姿を見せたくない。
私のせいで、貴女を傷つけてしまったのだから。
……でも私は、今から
貴女をもう少しだけ、傷つけてしまう。
「君が悪いんだよ」
私は、恋雪ちゃんを
あえて突き放した。
恋雪ちゃんが、私を嫌ってくれるように。
そして、私のことを忘れるように。
私は可能な限り、恋雪ちゃんを遠ざけようとした。
もう電車が来る。
恋雪ちゃん
見ちゃダメ。
見ちゃダメ!
「あっちいっ
あぁ
間に合わなかった。
途端に私は、酷く後悔した。
辞めておくべきだった。
生きて、恋雪ちゃんに謝ることも出来たのに。
なんで私は、こういう選択しか出来ないのかな…。
私って、ほんとに馬鹿だ。
恋雪ちゃん、ごめんね。
目の前で人が死ねば、誰だってトラウマになるよね。
よりによって、私だもんね。
…恋雪ちゃんは、私が好きだって言ってくれた。
それは、友達としてだと思った。
今思えば………違ったよね。
ごめんね。
もう、取り返しがつかないけど
どうしようもないけど…
どうにかして、償いたい。
あぁ、
とても痛い。
すごく、すごく痛い。
まるで、全身の皮を剥がされたかのような痛み。
神経を、素手で触られているかのような痛み。
死後って、こんな感じなんだね。
そりゃあ、身体っていう皮がなければ、敏感な魂の部分は守られなくなるから…
少しの風でも、痛かった。
気が狂いそうになる。
でも、だめ。
私は、恋雪ちゃんを守らなきゃ行けない。
辛くて、痛くて、泣きそうになる。
でも、これも私への罰。
私が、取り返しのつかない事をしてしまった故の、罰。
痛い、いたいよ。
でも、我慢しなきゃ。
恋雪ちゃんを、守らなきゃ行けないもん。
沢山沢山傷つけた分…償わなきゃ。
償わなきゃ行けない。
正直、制服は動きにくい。
でも夏目ちゃんと勉強できると思うと、不思議となんとかなる気がした。
勉強、ついていけるかな…。
一抹の不安を抱えながら、夏目ちゃんと合流した。
ふと、私は思いついたことがあった。
「恋雪ちゃんって呼んでもいい?」
そう言ってみた。
夏目ちゃんは小さく笑みを浮かべて、いいよと言ってくれた。
夏目ちゃん…恋雪ちゃんも私のことを麗って呼んでくれるらしい。
なんだか友達ってかんじ!
ホントに、幸せだなぁ。
私は暫く保健室にいることになるけど、来週からは一緒にお勉強できるらしい。
楽しみ!
そう、思ってたけど…
なんだか外が騒がしかった。
蝉時雨の中に、悲鳴が聞こえた。
なんだろう?
お化け屋敷かなと、呑気なことを考えてたと思う。
保健室の先生は青ざめた顔をしていた。
これは、なんかやばい気がする…!
…はっ!!
恋雪ちゃんは大丈夫かな!?
そう思って私は、保健室を飛び出した。
騒ぎの原因は、どうやら佐々木くんが飛び降りたらしい。
とても衝撃的な内容で、思わずたじろいだ。
夏目ちゃんはなんだか浮かない顔をしていた。
後ろには、高橋くんがいる。
…なんか、怯えてる?
……なんでだろう?
そういえば、
なんで包帯巻いてるんだろう?
気がつけば
高橋くんは土下座していた。
なんで?
…どういうことだろう?
私、なにかしちゃったっけ…。
途端に不安が増した。
どうしよう。
帰り道。
なんか恋雪ちゃんがものすごく暗い顔をしてる。
なにか秘密があるのかな。
悩み事とかあれば相談に乗りたいな。
私は思わず、恋雪ちゃんに聞いてみた。
「なにか隠してない?」
……
…………
あぁ…
どうしよう
どうしようどうしよう…!
あぁ……うぁ…。
ぜんぶ…
全部私のせいじゃん。
なんで私、気づかなかったんだろう。
どうしよう。
恋雪ちゃん…
私のせいで、恋雪ちゃんが
私の、せいで。
…やっぱり、
私は孤独が一番いいのかもしれない。
恋雪ちゃんのために
私はいない方がいい。
恋雪ちゃんが悪い人にならないために。
……あぁ
どうして、浮かれていたのだろう。
私は、恋雪ちゃんを傷つけていたのに。
私が、傷つけていたのに。
気が付かないで、わたしは…
ごめんね
ごめんね、恋雪ちゃん。
わたし
私のせいで
……私が
私が、恋雪ちゃんの罪を全部
持って行ってあげるから。
ごめんね。
ごめんなさい。
ごめんなさい……。
やっぱり、私は
消えるべきだったの。
踏切の音。
思い出の音。
夏の音。
蝉の音。
あぁ、なんだか
少し、落ち着く。
もうすぐ、消えちゃう命なのに。
遠くから声が聞こえた。
恋雪ちゃん…?
なんで、来ちゃったの?
…ダメだよ、来ちゃったら。
恋雪ちゃんに、酷い姿を見せたくない。
私のせいで、貴女を傷つけてしまったのだから。
……でも私は、今から
貴女をもう少しだけ、傷つけてしまう。
「君が悪いんだよ」
私は、恋雪ちゃんを
あえて突き放した。
恋雪ちゃんが、私を嫌ってくれるように。
そして、私のことを忘れるように。
私は可能な限り、恋雪ちゃんを遠ざけようとした。
もう電車が来る。
恋雪ちゃん
見ちゃダメ。
見ちゃダメ!
「あっちいっ
あぁ
間に合わなかった。
途端に私は、酷く後悔した。
辞めておくべきだった。
生きて、恋雪ちゃんに謝ることも出来たのに。
なんで私は、こういう選択しか出来ないのかな…。
私って、ほんとに馬鹿だ。
恋雪ちゃん、ごめんね。
目の前で人が死ねば、誰だってトラウマになるよね。
よりによって、私だもんね。
…恋雪ちゃんは、私が好きだって言ってくれた。
それは、友達としてだと思った。
今思えば………違ったよね。
ごめんね。
もう、取り返しがつかないけど
どうしようもないけど…
どうにかして、償いたい。
あぁ、
とても痛い。
すごく、すごく痛い。
まるで、全身の皮を剥がされたかのような痛み。
神経を、素手で触られているかのような痛み。
死後って、こんな感じなんだね。
そりゃあ、身体っていう皮がなければ、敏感な魂の部分は守られなくなるから…
少しの風でも、痛かった。
気が狂いそうになる。
でも、だめ。
私は、恋雪ちゃんを守らなきゃ行けない。
辛くて、痛くて、泣きそうになる。
でも、これも私への罰。
私が、取り返しのつかない事をしてしまった故の、罰。
痛い、いたいよ。
でも、我慢しなきゃ。
恋雪ちゃんを、守らなきゃ行けないもん。
沢山沢山傷つけた分…償わなきゃ。
償わなきゃ行けない。
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