東方並行時空 〜Parallel Girls

桃源郷とされた処

　久遠。

　どれくらい時間が経ったのだろうか。
　もう長い時が経ったような気がするし、数秒しか経ってないような気もする。
　視界も思考も曖昧で、微睡みに揺蕩う。
　先の見えない茫漠とした暗闇は、思わず身震いしてしまうほどに怖いものだ。
　何も見えない。
　暗澹としてしまうほどに、何も見えない。
　私は
　私はどれくらいここにいるのだろうか。

　刹那。

　暗闇に硝子が鏤ばめられたかのように、キラキラと淡く光る星を視界が捉える。
　思わず安心感を覚えたと同時に、触覚に違和感を覚えた。
　私はどうやら、草むらに寝そべっているようだ。
　意識がゆっくりと覚醒していくと同時に、周りの状況も理解出来るようになってきた。
　そうだった
　私は…金髪の女性やくもゆかりにスキマきょうかいへ引っ張られて…。
　思い出してきた。
　私はむくりと起き上がると、直ぐにあることに気がついた。
　横に、マリサが眠っている。
　その横にも川の字に並ぶように、先輩たちや知り合いが並ぶ。
　…そうか、そういえば私が頼んだんだ。
　みんな何故か外出用の服を着ているが、今は気にしないでおこう。

　暗闇に目が慣れ、ある程度のものが見えるようになってきた。
　そこで、私はあることに気がついた。
　しばらく周りを見渡していると、少し遠くの方に赤い鳥居が見える。
　…どうやら、神社のようだ。
　本堂には電気が着いていない。
　ふと思い出したかのようにポケットに入っていたガラケーを取り出す。
　時間は23時頃。充電は残り40%程で、心元がない。
　とりあえずここで寝ていては危ない。
　拝殿の方に皆を運ぶことにした。
　とりあえずまずはマリサを背負って、拝殿に向かう。
　マリサはまだ眠っており、すぅすぅと小さい寝息が耳元で聞こえる。
　拝殿には誰もいない。
　鐘と賽銭箱と、そして閉じられた扉しかなかった。
　ふと淡く漏れ出す光を捉える。
　拝殿の後ろの方に、明かりが見える。
　誰か住んでいるのだろうか？
　少しの希望を抱いて、マリサを抱え直しながら淡い光を漏らす障子に手を置く。
　…と同時に、シュタッと障子が勢い良く開き、思わず尻もちを着いてしまう。
　その拍子にマリサも目を覚ます。
　痛たぁ…と腰をさすっていると、障子を開けた人物に声をかけられる。

『あら…こんな時間にお客さん？なんだ…妖怪だと思ったわ。』

　声の主を見ると、ハッと驚いてしまう。
　紅白の衣に身を包んだ、同じ歳と思われる少女が見える。
　その赤いリボンと焦げ茶色の髪も印象的だが、1番目に止まったのはその顔だ。
　少女の顔は……

　私と瓜二つだった。

　その時点で私はあるひとつの結論にたどり着く。
　この人が…
　この人が博麗霊夢だ……！！！