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幻になる少女
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………静寂。
ふわふわの布団に包まれて、夢に微睡んでいる。
……また私は…保健室に運ばれたのかな。
少しづつ、目が覚醒していく。
ちがう…ここは。
…………この匂いは、私の部屋だ…!!
保健室だと思われていた場所は、私の自室だった。
道理で知っている天井だと思った。
そっか、私自分の部屋に運ばれたのか。
なんで??
え?えぇ??
えちょ待っ…でなんで私自室にいるの??
思わず困惑してしまったが、ひとつ思い出してしまったことがある。
お風呂に入らなきゃいけない。
……すんすんと、自分の体臭を嗅いでみるが。
…………え?
ボディーソープの匂い。
髪の毛もいつも使っているシャンプーの匂いがする。
いつの間に私はお風呂に入っていたのだろうか?
…とりあえずマリサに電話をかけようと、使い慣れたワイン色のガラケーをパカりと開く。
時刻は朝の六時二十分丁度。
今日は土曜日だ、時間を気にしなくても良い。
眠いまなこを擦りながら、私はムクリと起き上がる。
パジャマを着ている…と思っていたが
どうやら制服の上から外出用のコートを着ているみたいだった。
動きにくいとは思ったが、そのまま寝ていたなんて。
……では、何故ボディーソープの匂いがするのだろうか…?
私は知らない間にわざわざ洗った制服を着たというのか?
不可思議なことばかりだ。
意識を失っていたはずなのにどうしてこうも知らない間に私はここにいるのだろうか。
少しだけ恐怖を覚えながらも、暗い部屋に電灯を灯そうと扉の隣のスイッチをパチッと押して電気をつける。
ぱぁっと部屋が一瞬にして明るくなり、思わず視界が白み何も見えなくなる。
「うわぁ」
小さく声を上げて倒れ込みそうになるが次第に目が強い光に慣れて、視界がはっきりとする。
これまた見慣れた勉強机に直に置かれたメガネを手に取り、サッと慣れた手つきでかける。
ここで私は違和感を覚えた。
何かがおかしい。
………本はどこ?
図書室で借りて以来毎日寝る前に読み込んでいた古書…「幻想郷」と書かれた糸閉じの本が見当たらない。
慌てて探してみると、いつも本を置いていた場所には…
空間の綻びのような隙間が空いていた。
……………………
………どういうことだ?
えぇ???
えちょ………とまって??
理解が追いつかない。
驚きのあまり尻もちを着く。
私はこれが夢の中だと判断して、迷わず頬をつねる。
いたっ。
……………夢じゃない。
寝ぼけている訳でもない。
視界がハッキリとしているからだ。
それじゃあ何かの空見か…と思い、立ち上がって近づいて見てみる。
そこには綻びがあった。
…は?
ある!?
………エ…え?えなにこれ……は??
ちょっと……んん??
はぁ??????
まだある…!
二度見しても三度見しても、綻びはそこにある。
み、見間違えじゃない。
私はふと思い出した。
これは……もしかして!?
そう、それは本の中で読んだ、ある少女の項目。
幻想郷の大賢者の1人である、「八雲紫」の能力。
それは、「境界を操る程度の能力」。
本で見た彼女の能力は、この綻びと酷似している。
嘘…もしかして………これが、スキマ?
初めて見るそれに驚きを隠せない。
端っこにはご丁寧にリボンもついてた。
『あらあら…貴方がこれを持ってたのね?』
虚無の広がる隙間からとつぜん、金色の髪の女性がレースの日傘と共に飛び出した。
片手にはあの古書が。
…とても、強い何かを感じる。
この人にはどう足掻いても勝てない。
「えっ…え、えっえ???えっ…」
『そこの通りすがりの人間さん。ちょいとお時間いいかしら?』
「ふぇ…え、ほっ本物!?」
『偽物ではないわね。』
「て、てかそっそそそれ…。」
『古城』
「こ、古書…」
『これを頂きにまいりましたのよ。』
「で、ででもそれ学校のやつ……。」
『学校は、確か外の世界の寺子屋のことよね?』
「そ、そうだけどぉ…てっててか!カッ返してくださいよォ!」
『それは無理ね。この本を読んだからには…貴方には幻想郷へ来てもらうわよ。』
「えぇ!?えちょ……嘘ぉ!!なんでぇ!?」
『私が嘘をつくと思うのかしら?』
「えぇ……。」
『とりあえず、今すぐ来てもらうわよ。』
「ち、ちょっと待ってくださひっ!!」
『あら、何かしら。お化粧でもするの?』
「ちがっ……友達…を…連れていきたくて…。」
『そう?それくらいならいいわよ。』
「い、、いいんだ…。」
『で、誰を連れていくのかしら?ペットとか?』
「じゃなくて……えっと……。」
ガラケーを取り出し、素早く操作して写真を彼女に見せる。
この前コンビニで撮った先輩二人の写真と、いつの間にかとっていた私とマリサ、レミリア、サクヤ、そして宇佐見の5人が映った写真を見せた。
『じゃあ、あとこの6人を連れていけばいいかしら?』
「お、お願いします…。」
『わかったわ。じゃあ、早速行きましょう。幻想郷は全てを受け入れるのよ。』
その言葉を聞いた途端…
……いつの間にか私は、意識を失っていた。
『……それはそれは、残酷な話ですわ。』
最後に聞こえた言葉が、全てを物語っていたことを知らずに。
私は意識を手放した。
ふわふわの布団に包まれて、夢に微睡んでいる。
……また私は…保健室に運ばれたのかな。
少しづつ、目が覚醒していく。
ちがう…ここは。
…………この匂いは、私の部屋だ…!!
保健室だと思われていた場所は、私の自室だった。
道理で知っている天井だと思った。
そっか、私自分の部屋に運ばれたのか。
なんで??
え?えぇ??
えちょ待っ…でなんで私自室にいるの??
思わず困惑してしまったが、ひとつ思い出してしまったことがある。
お風呂に入らなきゃいけない。
……すんすんと、自分の体臭を嗅いでみるが。
…………え?
ボディーソープの匂い。
髪の毛もいつも使っているシャンプーの匂いがする。
いつの間に私はお風呂に入っていたのだろうか?
…とりあえずマリサに電話をかけようと、使い慣れたワイン色のガラケーをパカりと開く。
時刻は朝の六時二十分丁度。
今日は土曜日だ、時間を気にしなくても良い。
眠いまなこを擦りながら、私はムクリと起き上がる。
パジャマを着ている…と思っていたが
どうやら制服の上から外出用のコートを着ているみたいだった。
動きにくいとは思ったが、そのまま寝ていたなんて。
……では、何故ボディーソープの匂いがするのだろうか…?
私は知らない間にわざわざ洗った制服を着たというのか?
不可思議なことばかりだ。
意識を失っていたはずなのにどうしてこうも知らない間に私はここにいるのだろうか。
少しだけ恐怖を覚えながらも、暗い部屋に電灯を灯そうと扉の隣のスイッチをパチッと押して電気をつける。
ぱぁっと部屋が一瞬にして明るくなり、思わず視界が白み何も見えなくなる。
「うわぁ」
小さく声を上げて倒れ込みそうになるが次第に目が強い光に慣れて、視界がはっきりとする。
これまた見慣れた勉強机に直に置かれたメガネを手に取り、サッと慣れた手つきでかける。
ここで私は違和感を覚えた。
何かがおかしい。
………本はどこ?
図書室で借りて以来毎日寝る前に読み込んでいた古書…「幻想郷」と書かれた糸閉じの本が見当たらない。
慌てて探してみると、いつも本を置いていた場所には…
空間の綻びのような隙間が空いていた。
……………………
………どういうことだ?
えぇ???
えちょ………とまって??
理解が追いつかない。
驚きのあまり尻もちを着く。
私はこれが夢の中だと判断して、迷わず頬をつねる。
いたっ。
……………夢じゃない。
寝ぼけている訳でもない。
視界がハッキリとしているからだ。
それじゃあ何かの空見か…と思い、立ち上がって近づいて見てみる。
そこには綻びがあった。
…は?
ある!?
………エ…え?えなにこれ……は??
ちょっと……んん??
はぁ??????
まだある…!
二度見しても三度見しても、綻びはそこにある。
み、見間違えじゃない。
私はふと思い出した。
これは……もしかして!?
そう、それは本の中で読んだ、ある少女の項目。
幻想郷の大賢者の1人である、「八雲紫」の能力。
それは、「境界を操る程度の能力」。
本で見た彼女の能力は、この綻びと酷似している。
嘘…もしかして………これが、スキマ?
初めて見るそれに驚きを隠せない。
端っこにはご丁寧にリボンもついてた。
『あらあら…貴方がこれを持ってたのね?』
虚無の広がる隙間からとつぜん、金色の髪の女性がレースの日傘と共に飛び出した。
片手にはあの古書が。
…とても、強い何かを感じる。
この人にはどう足掻いても勝てない。
「えっ…え、えっえ???えっ…」
『そこの通りすがりの人間さん。ちょいとお時間いいかしら?』
「ふぇ…え、ほっ本物!?」
『偽物ではないわね。』
「て、てかそっそそそれ…。」
『古城』
「こ、古書…」
『これを頂きにまいりましたのよ。』
「で、ででもそれ学校のやつ……。」
『学校は、確か外の世界の寺子屋のことよね?』
「そ、そうだけどぉ…てっててか!カッ返してくださいよォ!」
『それは無理ね。この本を読んだからには…貴方には幻想郷へ来てもらうわよ。』
「えぇ!?えちょ……嘘ぉ!!なんでぇ!?」
『私が嘘をつくと思うのかしら?』
「えぇ……。」
『とりあえず、今すぐ来てもらうわよ。』
「ち、ちょっと待ってくださひっ!!」
『あら、何かしら。お化粧でもするの?』
「ちがっ……友達…を…連れていきたくて…。」
『そう?それくらいならいいわよ。』
「い、、いいんだ…。」
『で、誰を連れていくのかしら?ペットとか?』
「じゃなくて……えっと……。」
ガラケーを取り出し、素早く操作して写真を彼女に見せる。
この前コンビニで撮った先輩二人の写真と、いつの間にかとっていた私とマリサ、レミリア、サクヤ、そして宇佐見の5人が映った写真を見せた。
『じゃあ、あとこの6人を連れていけばいいかしら?』
「お、お願いします…。」
『わかったわ。じゃあ、早速行きましょう。幻想郷は全てを受け入れるのよ。』
その言葉を聞いた途端…
……いつの間にか私は、意識を失っていた。
『……それはそれは、残酷な話ですわ。』
最後に聞こえた言葉が、全てを物語っていたことを知らずに。
私は意識を手放した。
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