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課金令嬢はしかし傍観者でいたい

本能【episodeレイビー&イリス】

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 ───聞こえる。音が。



 マモレ



 それはため息のように、囁くように。



 マモレ



 それは命令のような、懇願のような。
   


 コノイノチ、ツキルマデ



 それは泣いているのか、歌っているのか。



 マモレ



 マモレ



 コノイノチ、ツキルマデ



 ただひたすらに繰り返される音。



 マモレ



 音はいつしか言葉となり、



 マモレ



 言葉は歌となる。



 コノイノチ、ツキルマデ



 これが自分にとって──いや、自分達にとって、何より大切で、そのために生まれたのだと瞬時に理解した。



 マモレ



 マモレ



 コノイノチ、ツキルマデ



 それは洗脳ではなく、本能。



 マモレ



 起き上がり隣を見れば、片割れもむくりと起き上がった。


 視線が絡む。

   

 マモレ



 腕を伸ばせば、片割れもそうした。指先が触れ、掌を重ねる。



 コノイノチ、ツキルマデ



 音は変わらず響き続ける。
 互いの額を合わせると、自分達は二人で一つなのだと確信した。



 マモレ



 目を閉じれば、繰り返される音が耳ではなく、体内から聞こえているのだと知る。



 マモレ



 これは、自身の魂の歌。



 コノイノチ、ツキルマデ



 知っている。自分の生まれた意味も、使命も。



 マモレ



 自分達には、宝がある。何よりも尊く、偉大で、愛しい存在。



 マモレ



 そしてそれが、どれほど危うい運命を担っているのか。危険に曝すものを、この手で全て消してやりたい。



 コノイノチ、ツキルマデ



 まだこの世の何も知らないはずなのに、その意思は呼吸をする度に高まっていくのが分かった。 



 マモレ



 重ねた掌。指を絡め、強く握りしめる。


 二人で絶対に、何があろうと、あの人を守る。 



 マモレ



「「この命、尽きるまで」」



 これは、本能だ。

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