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第0怪 始まり
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―――ある夢を見た……。
その夢はどこか、懐かしく、そして儚げで……
その夢にはある女の子が登場していた。
その子は今にも死にそうで、口や腹部から真っ黒な血を流し倒れていた
そして、「こひゅー……」「こひゅー……」と、息を絞り出し、微量ながらにやっとの思いで呼吸をしている状態だった
風に揺らぐほどの弱い命の灯りが今消えかかってる時、何処からか声が聞こえてきた。
夢でありながらも何故か女の人の声が鮮明に聞こえてきた。
その声の主をよく見ると、顔はボヤけて見えなかったが、赤い着物を着て茶色のロングヘアの女の子だった。
艶気の含んだ低い声で、その子に語り掛けていた。
―――生きたいか?
そう言うと、呻きながらも答えようとするのが分かった。
かろうじて、喉から漏れた空気が声になる
「し……たく……な……い」
「しに……たく……ない……」
―――そうか……ならば生かしてやろう。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
―――夜中に1度目が覚めた。
「……あれ。何で涙が出てるんだろう。……ま、いっかまだ時間あるし少し寝よ……と、その前にトイレトイレ~」
こう独り言をしているのは、どこにでも居る量産型のOL 美影 李華
熊本に住んでいたが、ホワイト企業と言う宣伝文句に釣られ、東京に内定を貰うが、李華は人混みが嫌いで熊本に一人暮らしをする為にお金を稼いでいる。
それなら実家に移り住めば良いと思うが、李華は一人暮らしをしたいらしい。
―――――――――――――――――――――――――――
―――はぁ…街って 何か落ち着かないし、色んな匂いがするし排気ガス?体に悪いし本当…どこか空気が澄んで綺麗な所に行きたいなぁ…
ここら辺は森もなければ自然もない。あるのは道路沿いの木だけだ。少し行けば森はあるがやはり車の音が耳にまで届く。都会はゆっくり休めやしない。
―――ジリリリリッ ジリリリリッ
目覚まし時計のアラームが部屋に鳴り響く
出勤は8時までなのでまだ十分時間がある。
ご飯を食べて、歯磨きをする。
シャワーを浴びる余裕だってある。
そしてメイクをする。メイクと言ってもスッピンにほぼ近いナチュラルな感じ。髪に至ってはボブカットなのでセットはアイロンで前髪を軽く伸ばすだけ
準備を進めているうちに刻一刻と時間は流れる。
「やばっもう7時か。そろそろ行かないとね」
免許はまだ取っていないので走っていく。
家から徒歩二十分で職場なのでとても良い物件だ。
電車を使っても良いと思うけど遠出する時しか使わないようにしている。
人混みが大嫌いだからだ
私の今の目標はお金を貯めて、【空気の澄んだ田舎に一人暮らしをする】である。
人混みにはなるべく行かないように、ビルの裏の道を通る
やっと着いたとおもったら7時50分だった。ギリギリの出勤
はぁはぁはぁ…と息を上げ入口前で少し休憩をし、部署に入り「皆さんおはようございます!」と元気よく挨拶をすると、
「ギリギリだね~李華ちゃんはっはっはっ 」と笑いながら部長がやって来た。
「す、すみません部長…」
そう謝ると、
「いやいや遅刻じゃ無いんだから謝らなくても良いんだよ」と言ってくれた。
「部長ありがとうございます!」
「朝礼は8時15分からだからあと10分ゆっくりしてて良いよ。走り疲れてそうだしね はっはっはっ」
部長は優しいと会社で評判で、さらに人気もあり、昔同僚に金を貸したが逃げられたとの噂もある。
席に着くと、真向かいのデスクから声が聞こえて来た。
「おはよ~李華ちゃん」
そう声をかけてきたのは、八重 美里
会社で唯一の同期だ。
そんな事もあってか今は親友同然
美里ちゃんが居るだけで本当に救いなのだ。
「ん…あっ!美里ちゃん!おはよう!」
「李華ちゃん顔赤いよ~ ふふ。電車…使えば良いのに~」
「電車は苦手なんだよね…人混みがあまり好きじゃ無いからさ、やっぱそう言うの……慣らした方が良いのかな?」
と困った顔で言うと、
「んー不便だとは思うけど自分が嫌いなら良いんじゃ無い?無理して慣らさなくても良いと思うよ。」と励ましてくれた。
「そう…だよね!ありがとう美里ちゃん!」
朝礼も終わり、仕事を進め、あっという間に昼休みの時間になったのでお昼ご飯を食べに行こうとすると、美里ちゃんが私の方に駆け寄ってきた
「李華ちゃんご飯食べに行こう!お客さんが少ない所知ってるから!」
「本当?行こう行こう!そのお店ってどんな感じなの?」
「とりあえず行ってからのお楽しみ!本当に美味しいから」
しばらく歩くと人通りが少ない場所に出た。
「初めて見る場所…本当にこんな場所にお店なんかあるの?」と疑問に抱くと美里は笑顔で返答した。
「うん。めちゃくちゃ美味しいお店があるよ~!……あっ!!ほら着いたよー?」
「うどん屋さんなんだ~人が少ないなんて隠れ名店だねー」顔が少し引きつってたのだろうか美里ちゃんが少し苦笑いをしていた
お店の外観は普通に何処にでもある
うどん屋さんの様だけど……看板を見ると
うどん屋 花瀬と書いてある。
店に入ると、早速店員が来て、
「いらっしゃい!注文はお決まりですか?」と店員が言ったので私はすかさず
「今来たばかりなのに決まってるわけ無いじゃないですか」と少し笑いながら突っ込むと店員さんは照れ笑いをしながら謝ってきた。
カウンターに座り暫く壁に貼ってある板状のメニューを見ていると、美里ちゃんが注文が決まったようで先に注文していた。
「おじさん、きつねうどんお願い。」
「ありがとうございます!美里ちゃん本当にきつねうどん好きだね~」と店員さんが美里ちゃんと親しそうに話していた。
疑問に思ったが気にせず、私も注文をする。
「じゃあ私はこの月見うどんをください。」
「ありがとうございます!少々お待ちください!」
店員さんが奥に向かってる時私はある異変に気づいた。
この時は単なる目の錯覚と思い、うどんを待っていると、すぐ様 うどんが入った器がテーブルに置かれた。
黙々と食べていると、店員さんが美里ちゃんと雑談をしていた。
私は思わず「知り合い?」と聞くと
「私が小さい頃からこのお店にお世話になってるの」と返ってきた。
だから、親しかったんだ~と一人納得していると、厨房に戻る店員さんを見て私は思わず持っていたガラスのコップを落としてしまった
店内にガシャン!と言う音が響いたがそれより先に、悲鳴により掻き消された。
すると、美里ちゃんが心配して声をかける
「どうしたの李華ちゃん!?」
私は震え口調で
「あ、あの店員のおじさんのお尻見た?」と言うと
美里ちゃんはキョトンとした顔をしていた。
「え?どうして?見てないよ」
「あのおじさん、お尻に尻尾が生えてたの。」
「え?アクセサリーじゃないの?そう言うの付けてる人いるじゃん!」
「いや、でも違うの。左右に振ってたから絶対アクセサリーじゃない!」
驚き過ぎてあまり言葉にならなかった。
美里ちゃんは私の背中を撫でながら
「取り敢えず李華ちゃん落ち着こう?きっと疲れてるんだよ。帰りに栄養ドリンク奢ってあげるから。」と宥めてくれたが、やはり信じてはくれなかった。
私は本当に疲れてるのかな……と思っていた。
しかし、お会計をして、外に出ようとする前に、もう一度店員さんを見ると
少し口元がニヤけていた。
私は怖くなり、目を逸らし走って美里ちゃんと会社に戻った。
――――――そうこの時から私は妖怪の世界へと足を踏み入れていたのだった。
その夢はどこか、懐かしく、そして儚げで……
その夢にはある女の子が登場していた。
その子は今にも死にそうで、口や腹部から真っ黒な血を流し倒れていた
そして、「こひゅー……」「こひゅー……」と、息を絞り出し、微量ながらにやっとの思いで呼吸をしている状態だった
風に揺らぐほどの弱い命の灯りが今消えかかってる時、何処からか声が聞こえてきた。
夢でありながらも何故か女の人の声が鮮明に聞こえてきた。
その声の主をよく見ると、顔はボヤけて見えなかったが、赤い着物を着て茶色のロングヘアの女の子だった。
艶気の含んだ低い声で、その子に語り掛けていた。
―――生きたいか?
そう言うと、呻きながらも答えようとするのが分かった。
かろうじて、喉から漏れた空気が声になる
「し……たく……な……い」
「しに……たく……ない……」
―――そうか……ならば生かしてやろう。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
―――夜中に1度目が覚めた。
「……あれ。何で涙が出てるんだろう。……ま、いっかまだ時間あるし少し寝よ……と、その前にトイレトイレ~」
こう独り言をしているのは、どこにでも居る量産型のOL 美影 李華
熊本に住んでいたが、ホワイト企業と言う宣伝文句に釣られ、東京に内定を貰うが、李華は人混みが嫌いで熊本に一人暮らしをする為にお金を稼いでいる。
それなら実家に移り住めば良いと思うが、李華は一人暮らしをしたいらしい。
―――――――――――――――――――――――――――
―――はぁ…街って 何か落ち着かないし、色んな匂いがするし排気ガス?体に悪いし本当…どこか空気が澄んで綺麗な所に行きたいなぁ…
ここら辺は森もなければ自然もない。あるのは道路沿いの木だけだ。少し行けば森はあるがやはり車の音が耳にまで届く。都会はゆっくり休めやしない。
―――ジリリリリッ ジリリリリッ
目覚まし時計のアラームが部屋に鳴り響く
出勤は8時までなのでまだ十分時間がある。
ご飯を食べて、歯磨きをする。
シャワーを浴びる余裕だってある。
そしてメイクをする。メイクと言ってもスッピンにほぼ近いナチュラルな感じ。髪に至ってはボブカットなのでセットはアイロンで前髪を軽く伸ばすだけ
準備を進めているうちに刻一刻と時間は流れる。
「やばっもう7時か。そろそろ行かないとね」
免許はまだ取っていないので走っていく。
家から徒歩二十分で職場なのでとても良い物件だ。
電車を使っても良いと思うけど遠出する時しか使わないようにしている。
人混みが大嫌いだからだ
私の今の目標はお金を貯めて、【空気の澄んだ田舎に一人暮らしをする】である。
人混みにはなるべく行かないように、ビルの裏の道を通る
やっと着いたとおもったら7時50分だった。ギリギリの出勤
はぁはぁはぁ…と息を上げ入口前で少し休憩をし、部署に入り「皆さんおはようございます!」と元気よく挨拶をすると、
「ギリギリだね~李華ちゃんはっはっはっ 」と笑いながら部長がやって来た。
「す、すみません部長…」
そう謝ると、
「いやいや遅刻じゃ無いんだから謝らなくても良いんだよ」と言ってくれた。
「部長ありがとうございます!」
「朝礼は8時15分からだからあと10分ゆっくりしてて良いよ。走り疲れてそうだしね はっはっはっ」
部長は優しいと会社で評判で、さらに人気もあり、昔同僚に金を貸したが逃げられたとの噂もある。
席に着くと、真向かいのデスクから声が聞こえて来た。
「おはよ~李華ちゃん」
そう声をかけてきたのは、八重 美里
会社で唯一の同期だ。
そんな事もあってか今は親友同然
美里ちゃんが居るだけで本当に救いなのだ。
「ん…あっ!美里ちゃん!おはよう!」
「李華ちゃん顔赤いよ~ ふふ。電車…使えば良いのに~」
「電車は苦手なんだよね…人混みがあまり好きじゃ無いからさ、やっぱそう言うの……慣らした方が良いのかな?」
と困った顔で言うと、
「んー不便だとは思うけど自分が嫌いなら良いんじゃ無い?無理して慣らさなくても良いと思うよ。」と励ましてくれた。
「そう…だよね!ありがとう美里ちゃん!」
朝礼も終わり、仕事を進め、あっという間に昼休みの時間になったのでお昼ご飯を食べに行こうとすると、美里ちゃんが私の方に駆け寄ってきた
「李華ちゃんご飯食べに行こう!お客さんが少ない所知ってるから!」
「本当?行こう行こう!そのお店ってどんな感じなの?」
「とりあえず行ってからのお楽しみ!本当に美味しいから」
しばらく歩くと人通りが少ない場所に出た。
「初めて見る場所…本当にこんな場所にお店なんかあるの?」と疑問に抱くと美里は笑顔で返答した。
「うん。めちゃくちゃ美味しいお店があるよ~!……あっ!!ほら着いたよー?」
「うどん屋さんなんだ~人が少ないなんて隠れ名店だねー」顔が少し引きつってたのだろうか美里ちゃんが少し苦笑いをしていた
お店の外観は普通に何処にでもある
うどん屋さんの様だけど……看板を見ると
うどん屋 花瀬と書いてある。
店に入ると、早速店員が来て、
「いらっしゃい!注文はお決まりですか?」と店員が言ったので私はすかさず
「今来たばかりなのに決まってるわけ無いじゃないですか」と少し笑いながら突っ込むと店員さんは照れ笑いをしながら謝ってきた。
カウンターに座り暫く壁に貼ってある板状のメニューを見ていると、美里ちゃんが注文が決まったようで先に注文していた。
「おじさん、きつねうどんお願い。」
「ありがとうございます!美里ちゃん本当にきつねうどん好きだね~」と店員さんが美里ちゃんと親しそうに話していた。
疑問に思ったが気にせず、私も注文をする。
「じゃあ私はこの月見うどんをください。」
「ありがとうございます!少々お待ちください!」
店員さんが奥に向かってる時私はある異変に気づいた。
この時は単なる目の錯覚と思い、うどんを待っていると、すぐ様 うどんが入った器がテーブルに置かれた。
黙々と食べていると、店員さんが美里ちゃんと雑談をしていた。
私は思わず「知り合い?」と聞くと
「私が小さい頃からこのお店にお世話になってるの」と返ってきた。
だから、親しかったんだ~と一人納得していると、厨房に戻る店員さんを見て私は思わず持っていたガラスのコップを落としてしまった
店内にガシャン!と言う音が響いたがそれより先に、悲鳴により掻き消された。
すると、美里ちゃんが心配して声をかける
「どうしたの李華ちゃん!?」
私は震え口調で
「あ、あの店員のおじさんのお尻見た?」と言うと
美里ちゃんはキョトンとした顔をしていた。
「え?どうして?見てないよ」
「あのおじさん、お尻に尻尾が生えてたの。」
「え?アクセサリーじゃないの?そう言うの付けてる人いるじゃん!」
「いや、でも違うの。左右に振ってたから絶対アクセサリーじゃない!」
驚き過ぎてあまり言葉にならなかった。
美里ちゃんは私の背中を撫でながら
「取り敢えず李華ちゃん落ち着こう?きっと疲れてるんだよ。帰りに栄養ドリンク奢ってあげるから。」と宥めてくれたが、やはり信じてはくれなかった。
私は本当に疲れてるのかな……と思っていた。
しかし、お会計をして、外に出ようとする前に、もう一度店員さんを見ると
少し口元がニヤけていた。
私は怖くなり、目を逸らし走って美里ちゃんと会社に戻った。
――――――そうこの時から私は妖怪の世界へと足を踏み入れていたのだった。
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